逢魔が時横断歩道の怪異少女
夕方になる時にだけあらわれる幽霊がいるって知ってる?
私は、ちょうど通りかかった男の子に話しかける。
ランドセルを背負ったその子はキョトンとした顔。
もしかして知らないのかな。
私は彼にその話を詳しく聞かせた。
夕方くらいの時間。横断歩道に幽霊が現れる。
その幽霊は、そこで死んだ女の子。
現れると、生きた人をあっちの世界にひきずりこむの。
そこで男の子が、あっちの世界って?
って聞いてきた。
ああ、それも知らないんだ。
何て説明すればいいかな。
死んだ人達が住む世界、で通じるかな。
私が言うと、男の子はふうんといった顔。
信じてくれたのか、そうでないのか。
でも、もういいかな。
もう目的は果たしたから。
私はバイバイといって、男の子に手を振る。
僕は、ただいまといった。
学校から帰って、家に上がろう。
そう思って、玄関前で鍵を取り出す。
でもおかしい。
開かない。
不思議に思っていると、周りの景色がおかしい事に気が付いた。
学校から家まで一時間。
田舎だからそれくらいかかるのに。
どうしてこんなにも、空がまだ、赤いのだろう。