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ポチと陽葵  作者: 黒楓
47/50

第二部 不都合な子供たち  ㉒ 不都合な大人たち

いよいよ最終回!


エピローグ的なものとなります(*^。^*)

<今回は“伊麻利さん”視点です>



 ふとした時に思い出す。


 安岡くんにまつわる一連の出来事を……


 あの時、陽葵は随分と悩み傷付き苦しんだのだと思う。


 彼女が悩み傷付き苦しむごとに私は心を抉られ、そのいくつかは私自身のせいだと……自分を責めた。


 こういう状況に陥っても陽葵をキチンと支えてあげる事の出来ない私は……本当にダメな人間で……奥様に顔向けできない。


 けれども!

 こんな……

 資格の無い私だけど……

 やっぱりこの世で一番 陽葵が好き!


 大好き!!


 胸の奥で、そうつぶやくだけで

 涙が零れるくらいに


 陽葵を送り出して……

 朝の片付けや洗濯を済ませ

 最後に自分の部屋を掃除して

 ホッと一息ついて

 コトン!とベッドに横たわったら……


 陽葵を産んだ夢を見た。


 子供を産めなかった私には記憶があるはずの無い……腰骨が折れるのではと思うほどの痛みで……声が枯れるほどに叫んでいても……全然夢から覚める事ができなかった……

 そして元気な泣き声が聞こえた途端に私は大泣きして……


 この腕に……自分の身の内で命を育んだ()()()()子供をそっと抱かされた。


 ああ!! 今度こそ元気で!!今度こそ健やかに!!


 と言葉に出していたのだろうか……

 腕の中の小さな小さな()()()()……それは私が飽くことなく見ていたアルバムの中の陽葵そのままだった……を抱きしめた。


 ふんわりと……けれども果てしない重さを腕に感じながら目を上げると医療用白衣(スクラブ)を纏った優しい笑顔の看護師さんは“奥様”だった。


「あっ!」

 と発した自分の声で

 私は目が覚めた。


 また自分勝手で都合のいい夢を見てしまって……


 私は目を閉じ手を合わせ

 “ふたり”に深く詫びて……

 自問する。


 あの『今度こそ元気で!!今度こそ健やかに!!』という声にならない声……


 その“声”を発した私と……安岡くんのお母さんとに……いったいどれほどの差があると言うのだろう。


 人は条件さえ整えば……いくらでも“心”を置いて来てしまえるのだろうか?


 それとも……


 “私達”が心無いだけなのだろうか……


 そうではなく……

 安岡くんのお母さんが言外に匂わせたように『自然淘汰』こそが摂理なのだろうか……


 だとしたら……

 恐らくは“不都合な子供だったであろう”私が生き残っていること自体、不自然なのかもしれない。


 そんな私に……

 そんな私なのに!


 身に余る愛情を

 陽葵は私に注いで……

 いや、ぶつけてくれる。


 その勢いが


 私を幸せという“高み”へ押し上げてくれる。


 きっとそんな感じだから


 私は陽葵を愛して止まない。

 止められない。


 でも私が四六時中くっ付いていては

 陽葵の為にはならないだろう……


 壁時計を見ると


 陽葵をサーフショップへ送り出してから、それほどは経っていない。


 陽葵は……

 きっとこれからビーチへ向かうのだろう

 私は海へと自転車を走らせる陽葵の姿を思い浮かべる……



 いけない!

 テレワーク中の康雄さんに

 何か飲み物を……

 あの人、自分じゃ何もしないから……


 ベッドから身を起こそうとすると


 “例の”トートーバッグが目に入った。


 そう言えば昨夜


 康雄さん、意味深な事を言ってたなあ……


 俯いて

 ちょっとはにかんでみる。


 ……今日は康雄さんのお部屋かな……


 私はトートバッグを腕に引っ掛け、枕を抱えてドアノブを回す。


 オトナでズルい私は……


 こうやって


 康雄さんが与えてくれる快楽に身を任せ


 しばし陽葵を忘れる。






                第二部 不都合な子供たち   <了>







長らくお付き合いいただき本当にありがとうございました<m(__)m>


あとがきを書かせていただきます。

お付き合いいただければ幸いです。



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!

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