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ゲーマー魔王の異世界録  作者: 青瑠璃しおり
1章 異世界転移
1/11

気づけば森の中にいた。

周りにはクラスメイト達が恐らく先程までの出雲真白と同様に倒れている。


「ここは…?みんな、起きて!」


目覚めたクラスメイトの少女によって次々と級友たちが…クラスの他人たちが起こされていく。


「さて、現状の把握から始めようか。ダメもとだけどここがどこかわかる人がいるか?」


クラスの中心人物である富士宮勇聖によって集められ、勇聖はそう切り出した。

だが、その問いに答えるものは誰もいない。

それもそのはずだ。さっきまで、教室で来月の文化祭について話し合ってたのだから。


「くっそ!だれだ!こんなことしやがったやつは!絶対にぶっ飛ばしてやる!」

「憲剛、落ち着いて。今は、状況の把握が優先だ」


勇聖の親友である鷹月憲剛は気を荒立て、姿の見えぬ犯人へと憤りを感じている。

とはいえ、クラスメイト全員を教室から拉致することなど可能なのだろうか。

なにか、常軌を逸した力が働いてるのではないかと真白は暗擬する。


「とりあえず、周囲を探索してみようか。何かヒントが見つかるかもしれないし。3人一組くらいで分かれて、10分後に集合しよう」


皆が適当に3人組を散り散りに分かれていく中、ぼっちの真白は一人こっそり森の中へと入っていく。

スマホのコンパスを起動し、ある程度の方向を把握しながら森の中を進んでいく。


「シロ。待って」

「…学校では話しかけないんじゃないの?」

「緊急事態故」


ジト目に真一文字に結んだ真っ赤な唇。

表情の読めない彼女はクラスでもカーストが高いグループに所属する、真白の幼馴染である火扇凛だ。

少しくせの入った黒髪を高い位置で結び、左右にフラフラと揺らしながら真白の後をついてくる。


「電波ない」

「そうだな。ソシャゲのログボも今日の分貰ってないのに…」


こんな緊急事態でもソシャゲのログインボーナスの心配をする呑気な廃人ゲーマー二人。

引きこもりには辛いけもの道を進みながら現状について考察する。


「どう思う?シロ」

「普通の人間にできることではないよね。そもそも、最後の記憶が休み時間で異変も何も感じなかったしね。んー、異世界とか?なんて」


馬鹿馬鹿しい、と思いながら冗談を吐く。

そうだったらいいね、と凛は願望を込めて呟いた。

結論から言うと、その冗談は現実になった。


「…マジかよ。あれって…」

「ドラゴン…!あんな大きい生き物、日本にいない!」


大空をはばたく巨竜の方向は真白たちのいる森へと響き渡った。



「みんなも空の生き物を見たと思う。他にも、見たことのない果物や謎の緑色の生物などいろんな報告を受けた。考えたくはないが…。どうやらここは異世界らしい」


富士宮の言葉にクラスメイトの大半は驚きと恐怖、そして不安に包まれていた。

一部、オタクたちは異世界無双を夢見ているのかワクワクが隠しきれていない。

かくいう、真白と凛の二人も内心ワクワクしていた。


「みんな落ち着いてくれ!とりあえず、俺たちは力を合わせて生きて行かなきゃならない!そのために…」

「ねえ、シロ。シロ」

「…今、富士宮くんがしゃべってるだろ。静かに」

「ステータス見れた」


凛の前に青透明なステータスが表示されていた。


「魔法剣士…。スキル。火魔法、剣術、危険察知…。ユニークスキル。あたりっぽい」


箇条的にステータスを読み上げていく凛に続いて、真白もステータスを開く。

表示されたステータスは平均値がわからないので一旦流し見程度に通り過ぎる。


「クラスは…ウェポンマスター。大当たりだな」

「ゲームと一緒だね。これはいける」


真白は思わぬ幸運にニヤリと笑う。

某有名VRMMOにおいて対人戦闘ランキング一位を誇った真白のジョブと偶然にもそれは一致していた。

悪逆の限りを尽くし、時には疾風のごとく。時には轟雷のごとく戦い続けた。


「ねえ、シロ。うるさい」

「僕はそんなにうるさくしてないだろ。どっちかと言うと凛の方が…」

「違う。頭の中でアラームが…」


茂みが揺れる。富士宮の話を遮るように突然、緑色の影が六匹飛び出してきた。

1メートルほどの小さな亜人だ。


「ゴブリンだ!」

「はしゃぐな!」


皆がパニックに陥る中、一人歓声を上げる凛の口を押え、流れに乗って退却する。


「憲剛!殿を!」

「おう!ぶっ飛ばしてやるぜ!」


富士宮は竹刀を鷹月はバットを取り出し、構える。

対して、ゴブリンズは錆びていたとしても武器を構えている。

六匹のゴブリンのうち、2匹は二人と打ち合い残りの4匹は脇を抜けて、クラスメイト達へと襲い掛かる。


「…こうじゃないなぁ。こう?」

「なにぶつぶつ言ってるかわからないけど、さっさと走れ!」


「あ」っと声が上がる。

恐怖で足がもつれたのか、一人の女子生徒が転んだ。


「走って!」


長く美しい黒髪を揺らしてクラス委員長の八重桜を女生徒へと手を伸ばし、引っ張り上げる。

しかし、そのロスは大きく手を伸ばせば背に届きそうなほどまでに接近していた。


「…ごめん」


女生徒は桜の肩を強く引き、結果、彼女はゴブリンの前へと身をさらした。


「あ、こうだ」


何か呟いたと思うと凛は手のひらをゴブリンへと向けた。

幾何学的な陣が生まれ、豪火の球が空を裂いてゴブリンへと直撃した。


「ストライク」

「今のもう一回うてるか!?」

「撃てるけど…」

「あとは任せる!」


誰のカバンかわからないがそれを盾にして、突撃する。

軽いゴブリン2匹は体当たりを受け、転がるように吹き飛んだ。

もう一匹のゴブリンによる錆びたナイフの一撃は幸運にも盾にしたカバンに突き刺さった。


「出雲くん!?」

「ごめん、ちょっとだけ我慢して。そしたら…」


桜に庇うように覆いかぶさる。

その上をすれすれに火の球が飛んでいく。

赤い軌跡を描いて、飛来した6つの火の球はゴブリンに炸裂し、小さく爆ぜた。


「大丈夫?」

「う、うん…。ありがとう」


恐怖に腰が抜けたのか安堵に力が抜けたのか。

力なく地面に座り込む桜に手を貸し、富士宮たちの方を見ればそちらの方も戦闘を終えていた。

異世界最初の戦闘は快勝だった。



「やーい、ぼっち」

「うるせえ、人気者」


クラスでは初勝利の喜びを分かち合い、富士宮や鷹月などは凛に魔法を教えてもらっていた。

しかし、感覚派筆頭である凛の説明は難しかったのか数人の友人たちとあーでもないこーでもないと唸っている。


「出雲くん、今大丈夫?」

「八重さん。どうぞ」



凛と二人でいると目立つので追い返したのち、狙いすましたかのように桜が声をかけてきた。

夜を閉じ込めたような黒髪と誰もが振り返る美貌に一瞬だけ見惚れてしまう。

少しだけ横にずれて、隣を勧める。


「さっきはありがとうございます。助けてくれて」

「凛がいなかったら二人まとめてゴブリンの餌だよ。お礼なら凛に言ってくれ」

「でも、出雲くんが庇ってくれなかったら間に合わずに餌一直線でしたよ」


桜の眩しい笑顔に思わず眼を逸らす。決して照れたわけじゃない。決して。

どことなく気まずさが漂い、無言のまま時間が過ぎていく。

しかし、やはりクラスでもトップクラスの美少女なだけあって、注目を浴びている。


「…ごめん、ちょっと用事が…」


あまりの居心地の悪さにありもしない用事をでっちあげその場を去ろうとする真白の裾を桜が掴んだ。

無意識だったのか焦ったような表情の後、すぐに手を離した。


「ご、ごめんなさい。用事、ですよね。引き留めてしまってすみません」


心細そうに自分の手を握り、本音を押し殺す。

ああ、そうか。気丈に振舞っていようがまだ子供で友達に裏切られたばかり。

よく見れば裏切った友人は友達に囲まれ遠巻きにこちらを見ている。

そのまま真白は座りなおした。


「用事はいいんですか?」

「用事なんてあるわけないだろ。ぼっちだぞ。だから…一人が心細かったら声かけてよ。僕も誰かいると心強いから」


どことなく頼りなく、それでも精いっぱいの真白の慰め。

少しだけ微笑むと嬉しそうにうなずいた。


「ありがとうございます。出雲くん」



その日は、混乱のまま一日が終わった。

時間が深夜になる前に、ほとんどの生徒が眠りについた。

例外といえば、二人だけ。


「「じゃんけんぽん!」」


凛と真白の渾身の一振りは凛に軍配が上がった。


「やった!これで最後のエナドリは私のもの」

「くっ!徹夜にエナドリは必要不可欠だというのに!…まあ、仕方ない」


鞄に入っていた最後の一本を凛に手渡す。

プシュッと爽快な音が響き、凛はおいしそうにそれを飲み干した。


「それで、これからどうするの?」

「どうするもなにも、生き残るしかないだろ。必要な知識はサバイバルゲームで蓄えた。まず木を切ってブロックにしよう」

「それって世界一売れてるゲーム?」


焚火がチリチリと燃え、暗闇を少しだけ明るくしてくれる。

だから、こんな状況でも二人は必要以上に暗くならなくてすんでいるのかもしれない。

もしくは、元来の能天気ゆえか。


「そろそろ、本気で話し合お。いつも通り。考えて」

「凛が手足で僕が頭脳ね。いつも通り」


ゲームと一緒だ。僕が作戦を立てて、凛が暴れる。


「じゃあ、働いてもらうよ。作戦会議は夜だ。まとめて指示を出すからしっかり覚えてね」

「おーきどーきー」



「それじゃあ、今日からどうするか方針を決めようと思う」


翌朝、富士宮に集められたクラスメイト達に向けて言い放った。

真白は輪の端へ、凛はクラスの中心。富士宮の隣に座っている。


さて、凛は昨日言った通りに動いてくれるか。


「『まず、探すべきは川だ。食料自体は最悪野草でもゴブリン肉でもどうとでもなるけど、水は3日以内。できれば明日のうちに見つけたい。脱水症状だけはシャレにならないからね』」


「…凛、なんか口調おかしくない?どうした?」


誰が口調ごとそのまま完コピしろと。

だが少し怪しまれたとはいえ、問題はない。


「でも、凛の言うとおりだね。それでいこう。みんな、準備して!」


富士宮の鶴の一声でクラスメイト達は出発の準備を始める。

とはいえ、鞄を持っていくだけなので一行はすぐに出発する。

森の中のけもの道を、森の中に自然にできた林道を皆で歩いて進む。


「…むり」

「…異世界に床エスカレーターを作るべきだ…。魔法の箒はないのか」


最初に体力の限界が来たのは凛と真白の二人だった。

真白は休日は引きこもってゲームをするだけ、凛も運動神経は抜群だがなにぶん運動嫌い。

ゲーマー二人は体力がなかった。


「ゲーム内のキャラってこんなにきつかったんだな」

「国から国を一晩で走らせてごめん。次からは優しくする」


架空のキャラにすら謝罪の意を発するほど二人は限界に近かった。


「出雲くん、大丈夫ですか?お辛いなら荷物くらいお持ちしますが…」

「ここで八重さんに荷物を持たれるのは男の沽券に関わるから大丈夫」

「じゃあ、私の分よろしく…」


さりげなく割って入ってくる凛の荷物を優しい桜は嫌な顔一つせず受け取る。

しかし、でこぼこで歩きにくい道だというのに桜は一切、疲れを見せない。


「…ねえ、水の音しない?匂いも。微かにだけど」

「しないけど。けど、凛だしね。調べてみないとだな」


常人とは一線を画す五感を有する半分野生児の凛が言うのだ。

間違いなく近くに水辺があるのだろう。


「凛。これ」


鞄の中からゴブリンの短刀を取り出す。

錆びたナイフは切れ味は最悪だが、同じ錆びた同士の武器なら打ち合うくらいはできるだろう。


「八重さん。二人でちょっと道を外れるから」

「私も行きます!出雲くんに付いて行った方が楽しそうなので」

「えー」


お気楽な返答に真白は少し困るが断り切れずに同行を許すことに。

最後尾からこっそりと道をハズレ、凛の嗅覚と聴覚を頼りに茂みの中を進んでいく。

全く聞こえなかった音は、微かに、そして確かにと徐々に川へと近づいていく。


「あった。苦節3時間、長い道のりだった」

「今日見つかっただけラッキーだよ。誰かが倒れる前にくらいに思ってたからね。けど、その前にゴブリンだ」


昨日のゴブリンの数の更に倍の数。

川辺を縄張りにしてるのか12匹のゴブリンたちがギャッギャと汚い笑い声をあげ、騒いでいる。

その上、こちらのまともな戦力は凛だけときた。


「作戦は?」

「作戦もくそも凛が魔法撃つ以外ないが?」

「もっと考えてよ」

「頑張って撃つか、めっちゃ撃つか、めちゃくちゃ頑張って撃つか。好きなの選べよ」

「そ、そんなこと言ってる間に気づかれましたよ!?」


緊張感のない二人に鬼気迫る表情で桜がツッコむ。

各々が武器を拾い、少しずつ距離を詰めてくる。


「出雲くん!火扇さん!何とかしてください~!」

「らじゃ。ファイヤーボール。トリプル」


一介の魔法行使で三つの炎弾が生じる。

燃え盛る火球は前列3体にヒットする。


「相変わらずずるない?凛のユニークスキル」


マルチプル。ダブルからディカプルまであり魔法生成を省略し、多数の魔法を発動させる。

マジチート。


「そういえば、真白のユニークスキルって何?」

「どたばたで確認しそびれてたな」

「なんでそんな呑気なんですか!?」


やはりゴブリンは異世界でも最弱らしく12体のゴブリンは凛の魔法によってあっさりと倒されましたとさ。

その後、一度合流したのち凛によって富士宮を誘導し、川へ到着した。


「それじゃあ、今日はここを拠点にしよう。まずは食料調達だね」

「魚なら食べられるか?」

「確かに。可食判定はどうするべきか…。だれか、分かる人いるかな?」


誰もが口をつむぐ中、一人の少女が手を挙げる。

たしか、料理部の宮内さんだ。


「私、クラスが料理人なんですけどスキルに食材鑑定ってスキルがあります」

「本当!?なら、宮内さんを中心に数人で食べられるものを取ってきてもらってもいいかな。えっと、じゃあ…」


鷹月を筆頭に3名+凛、桜、真白が呼ばれる。

他の皆は飲み水の確保や拠点の作成に動くそうだ。


「なんで俺が食材調達なんか」

「憲剛は向いてない」


ぶつくさと文句を言いながら、川の中へと入る。

確かに大雑把で細かいことを気にしない鷹月には向いていない。


「出雲くん!捕まえました!」


対して、桜は意外にも楽しそうに渡したナイフで魚を取っている。

その腕前は鮮やかで、すでに3匹目を捕まえようと狙いを定めている。


「前世は北海道のクマかな?」


というか、当たり前のように隣にいるようになったな。

楽しそうで何よりだが、目立つのは少々困る。


「八重、コツ教えてくれよ。俺じゃ、どうにもならん!」

「コツも何も足元に来た魚を上から刺してるだけなので」


順調に皆が今日の食料を取っていく中、鷹月だけは苦戦している。

富士宮が鷹月に食料調達を期待していたとは思えないので、なにか別の意図があるのだとは思う。

例えば、護衛など。


「お出ましだね。やっぱ水辺は魔物も多いのかな」

「一瞬。一掃」

「待って、凛。僕も戦う。半分こだ」


鷹月やその他のクラスメイト達が気づくより先にゴブリンへと駆け出す。

気づかれる前に森の中へと身を隠す。

女の子を囮にするのは気が引けるが、こちらの方が勝率が高いので仕方がない。


「ふぁいやーぼーる!」


一発の火球がゴブリンたちの手前の川へと着弾し、激しい水しぶきをあげる。

ゴブリンの群れには一気に動揺と混乱が伝播する。

その隙に回り込んで後ろの一匹の喉元へ全体重を乗せてつきたてる。

まだ気づかれていないので背後から喉元を切り裂いた。

残り5匹。


「凛!」

「あいあいさー」


気の抜ける返事の後、5発の火球がゴブリンたちを燃やし尽くした。

そして、真白が生き残った最後の一匹の左胸にナイフを突き立てた。


「ぶい」

「奇襲成功。作戦勝ちだね。じゃあ、魚とって帰ろうか」



とった魚はなんの味付けもないというのにおいしく、塩がないのが非常に惜しい。

そして、今日も早々に皆が眠りについた。

やはりいつ敵が襲ってきてもおかしくない緊張感に精神が擦り切れているのだろう。


「じゃあ、今日も作戦会議だ」

「進捗生臭い仕事を達成した。次はどうする?」


食料の確保はできた。飲み水もばっちり。

問題は山積みだが生息してる魔物がゴブリン程度なら当分生きていくことはできるはずだ。


「一番の問題は森のでかさだな」

「高い木の上から確認したけど辺り一帯森だった。20キロ以上は森が続く」


集団で行動すればスピードは落ちる。

20キロ程度ならまだいい。100キロ以上続くとなると今日のスピードでは2週間以上はかかる。


「どうするかなぁ。レベル上げか、まっすぐ進むか」


前者であれば安定を、後者であれば時間を。

拙速は巧遅に勝るとも言う。精神的負担を考えればこの森を早く抜けるに越したことはない。


「大丈夫?今なら二人で逃げれば…」

「冗談。このくらいで音を上げるほど無能じゃない」


余裕綽々と言った表情で真白は不敵に笑う。


「ということで、やることは決まった。凛、レベル上げは好き?」

「地道で嫌い」

「これから僕らのやることは大きく二つ。日々の生活に必要なことはもちろん別としてね」


二つの指を立て、真白は説明を始める。


「一つは地図を作ること。大雑把にね。最初はここを拠点にして徐々に移動していく。そして、最終的に森を抜ける。二つ目にその過程でのレベル上げ。今回は巧遅でいこう」


ゲームならともかく今回は人命がかかっている。


「それでもって、問題点が2つ。一つはレベル上げに付随する危険。怪我人や死人が出ることによる士気の減少。そして、最大の問題点が今は大人しいけどいつ暴れ出すかわからない夏目一派」


夏目草一。同じクラスの不良で4人の不良グループをまとめるリーダー。

クラスの大人しい子を標的に暴力やカツアゲを繰り返している問題児だ。

かくいう、真白も目を付けられ、何度もカツアゲをされていた。

その度に、あらゆる手段を用いて回避してきたため他の子と比べてより一層目をつけられている。


「だから、まずは富士宮くんグループを中心にレベルをあげようと思う。夏目一派の対抗策になってもらう」

「それは問題ないけどシロは?レベル上げ大好きでしょ?うちのグループと一緒に来たら不自然だよ?目立つの嫌なんでしょ?」

「僕は夜にこそっとレベル上げするよ」


目立ちたくはないが対抗する力は欲しい。

それは別にして僕はレベル上げが趣味なのだ。


「あ、私レベルあがってる。3」

「僕は…まだだな」


ついでにステータスを細かくチェックする。

傾向的には紙装甲のAGIとATKでゴリ押すアタッカータイプか。

しかし、全体的に凛よりステータスが低いのは気のせいか?


「私はINTとATKが高い両刀タイプ。万能型。そういえば、シロのユニークスキルってなんだったの?」

「そういえば…。えっと、大器晩成?レベルアップに必要な経験値が五倍になる…。くそスキルじゃねえかぁぁぁぁぁ!」

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