70 つよつよミミックの探索
アイツら、今度は失敗していないだろうな?
オレ様はハコザキとアルカに魔力で通話してみた。
『オイ、ハコザキ。今はどんな状態だ?』
『ボックス様、大変な事になりました! このままでは警察が来ます、すぐボク達をそちらに戻してください!!』
『わかった、少し待っていろ』
オレ様は拠点移動の魔法をハコザキ、アルカ、エスペランサの三人に使った。
この魔法はリーダー、つまりオレ様の所にパーティーメンバーが集合するダンジョン内で使う移動魔法だ。
その魔法でオレ様は一瞬でハコザキ、アルカ、エスペランサをオレ様の今いる部屋に呼び寄せた。
『あ!? 何だよこれは!」
何だ? エスペランサの様子がまるで前と違うぞ。
「ボックス様、今のエスペランサさんは何かがおかしいです!」
まあそれくらいは見ればわかる。
今のエスペランサは白い服が血まみれになっていて、何かと戦った後のようだ。
「へっ! 強そうなやつが出たじゃねえかよ! オレと勝負しろや!!」
そう言うとエスペランサはいきなりオレ様に殴りかかって来た。
オレは手足が無いので攻撃を避けることが出来ない!
エスペランサのパンチは鋭くオレ様の箱にぶち当たり、オレ様は壁まで吹っ飛ばされた!
「ぐわっ!?」
何て力だ!? まさかこのオレ様を吹き飛ばす人間が現れるとは、こんなのは魔王城にいた時以来だ。
「エスペランサさん、いったいどうしたんですか?」
「うっせえなぁ、オレはエスペランサじゃねえ。オレの事はデセスペラシオン、またはデセスペランサって言いな!」
どうやらコイツ、見た目はエスペランサと同じだが中身が全くの別物だ。
コレを人間の言葉で言うなら二重人格というのか?
コイツは普段のフワフワしてマイペースのエスペランサとは真逆の、触ると反撃されそうな凶暴性が服を着てるようなヤツだ。
「テメェ強いんだろ、見てわかるぜ。そのビリビリとした強敵のオーラがよ! どうだい、オレと一戦やろうぜ!!」
コイツ、舐めてかかったらオレ様が返り討ちにあいそうだな。コレは本気でやらないと……!
「ボックス様もエスペランサさんもやめてくださいよ! 何で今ここで二人が戦わなきゃいけないんですか!?」
ハコザキは必死にオレ様とエスペランサの対決を止めようとしている。
だが、俺様はともかく、エスペランサはオレ様とやり合う気満々だ。
「おらよ! オトコなら拳で勝負だ!!」
男だって? お前はどう見ても人間のメスだろうが!
「うらぁ! これでも喰らえやぁ」
ゴスッ! かなり鈍いパンチがオレ様にめり込んだ。
難だコイツの力は……勇者とか言われてたやつくらい強いんだが……
これはオレ様も本気を出さないとやられる!
――オレ様がそう身構えた時……。
「ん。くそっ、時間切れかよ。久々に……暴れられたって……の……に……」
何だ何だ、エスペランサがいきなり力尽きたようにその場に倒れてしまった。
オレ様が倒れたエスペランサを確認すると、コイツ、気持ちよさそうに寝ているじゃねえかよ。
「は……はは、助かりました、でもエスペランサさん、一体どうしたんだろう?」
「アタシだって分からないわよぉ!」
どうやらエスペランサはいきなり眠気に襲われてその場に眠りこけてしまったようだな。
ハコザキが寝てしまったエスペランサを抱えて部屋のベッドに連れて行った。
さて、オレ様が留守番している間に何があったのか、ハコザキ達にはきちんと説明してもらわないとな。
「オイ、ハコザキ。一体何があったんだ? オレ様にきちんと説明してみろ」
「それが、ボクにもワケわからないんです。多分……お酒が原因だと思うんですけど」
「オレ様が聞きたいのは、お前達が出かけた後の話だ。一体何があってアイツがあんなふうになってしまったんだ?」
ハコザキはホストクラブに潜入した時の話をオレ様に話始めた。