70 つよつよミミックの探索(アルカ視点).
アタシはハコザキとホストクラブゴージャスの中に入った。
この店、前回アタシが客として来たら子供は立ち入り禁止だと言われて追い出された場所だ。
あーあの時のこと思い出したら腹が立って来た!
こうなったらそこにある果物つまみ食いしてやる!
うん。悪く無いかな。
でもこれだとハコザキがその辺のスーパーで買って来たフルーツ盛り合わせの方がよほど美味しいわね。
これ多分ケチってるわ。
「アルカちゃん、つまみ食いしてる場合じゃ無いでしょ!」
「アハハ、ついぃ……」
アタシがつまみ食いしたのはメロンの上のハム、それにチーズ数切れとフルーツ。
「アレ? フルーツ盛りこんなに少なかったか? まあ良い、どうせ酔っ払ったバカ女に渡すものだから量が少なくても気づかれないだろ、ちょっと得したかもな」
バカだ、コイツ……アタシがつまみ食いしたのに気がついてないまま持って行っちゃったぁ。
まあ持って行かれたテーブルはエスペランサのとこだからいいか。
アタシどうもあの子好きになれない。
ハコザキはあの子を信頼してるみたいだけど、あの子何かとんでもない邪悪なモノを感じるのよねぇ……。
「フルーツ盛りいただきましたー!」
「「「「ありがとうーございます!!」」」」
この店のホストって言われてるヤツら、全員がエスペランサの事に釘付けになっているみたい。
アタシとハコザキは、ジムシツって部屋に入り、手当たり次第に何でもカバンにしまった。
アタシの透明化スキルに触れた物はアタシの魔力が通じると何でも透明になるの。
それでアタシとハコザキはウラチョウボってのとコキャクリストってのを手に入れてその場を離れるところだったの。
でも、その時とんでもないことがおきてしまったのぉ!!
「姫、どうしたのですか? 何かありましたか?」
「黙れ、クソやろう……! オレになにか用でもあるのか!」
ガシャーン!!
「ウギャアアアッ! どうしたのですか? 姫?
「うるさい、黙れ。オレはデセスペラシオンだ! 文句あるか!?」
アレって、エスペランサよね??
いったい何が起きたの??
「姫、怒った貴女は美しくありませんよ」
バキッ!!
「黙れ、オレをわずらわせるな。テメェ死にたいのか?」
アレはエスペランサの本性?
どう見ても男の人の挙動よね……。
「クソッ! 仕方ない、お前達、そのオンナを取り押さえろ!!」
「わかりました、カズトさん」
「へっ、これで合法的にオンナを殴れるぜ!!」
「へっ! ケンカかよ、ちょっとは楽しませろよ!!
だけど、あのヘタレホスト達は簡単にエスペランサに蹴散らされていた。
「何だよ。ヒック! あっけないな。テメェらそれでもタマついてるのか? あまりふざけた態度だとタマもぐぞ!!」
「ひいいいいーっ! お代は結構ですからお帰りください!」
だけどエスペランサはホストを踏みつけながら財布の中のお金をばら撒いた。
「へっ、拾えよ。テメェらみたいなザコのウジムシはその金欲しさにオンナを泣かせてるんだろうが、それならありがとうございますと無様に言いながらその金を拾えよ!」
そうかー。アタシがエスペランサの中に感じていたのはあの相だったんだ。
ハコザキもエスペランサのあまりの変貌に驚いて動けないようね。
一通り暴れたエスペランサは笑いながら瓶でホストの頭を殴った。
「アッハハハハハ、ワインの色? それとも血の色ぉ??」
エスペランサは地面に倒れたホストを見ながら指差して笑っている。
あまりの彼女の傍若無人ぶりにホスト達は全員が酷い目に遭ったみたい。
他にいた客は全員が逃げ出したので店の中はエスペランサとホスト、それにアタシとだけだった。
「アルカちゃん、一旦ここを出よう。もうここには用はないから」
「わ、わかったわよぉ」
アタシとハコザキはエスペランサを店に置いたまま店の外に抜け出した。