7 つよつよミミックの下僕1
今回はつよつよミミックの下僕になった箱崎くんの話です。
ボクの名前は箱崎貢、どこに行ってもつけられるあだ名はザコだ。
今からボクの語る話は独り言だ。
でもコレは配信の練習なんだ……。
突如世界中に現れたダンジョン。
それは日本にも出現した。
その中からはモンスターが出てきて、自衛隊が出動する羽目になった。
だが、現存する自衛隊の武器はモンスターには歯が立たず、自衛隊も撤退せざるを得なかった。
だが、ダンジョンにはある力があった。
それは、このダンジョンに入った人間は異界の神にスキルが与えられるという事だ。
スキルは人それぞれ別のものだ。
人によっては怪力を、またある人は超能力を、またある人は魔法が使えるようになる。
コレらのスキルのおかげで力を手に入れた人達はプレイヤーと呼ばれ、ダンジョンに挑戦できるだけの強さを手に入れるのだ。
だが、ボクに与えられたスキルは——オール1!——
全ての能力が1で、成長もレベルアップも出来ないというものだった。
神様、ボクそんなに何か神様に嫌われるような事をしたんですか?
結局ボクは配信のやり方だけを覚えたものの自分では戦えない事でダンジョン配信を諦めた。
そしてまっとうな仕事をしようと面接に行った先にアイツがいた……。
小中通してボクをいじめたアイツが社長の会社にボクは運が悪い事に面接に行ってしまったのだ。
アイツに実家と今の家の両方がバレてしまい、僕は逃げる事も出来なくなり、アイツにタダ働きをさせられた。
振込詐欺の出し子、出会い系サイトのパソコン入力、つまり、あの大高に一番現行犯逮捕される確率の高い犯罪の片棒を担がされた。
そして、ダンジョン配信がトレンドになると、アイツは仲間と女型モンスターを嬲る動画を配信し始めた。
アイツはこの世界の生き物ではない上、人類の敵と認識されたモンスターには、動物愛護法も人権擁護法も存在しないのを利用したグレーゾーンのスナッフ動画で視聴者を集めたわけだ。
また、モンスターを退治したら国から助成金がもらえる。
動画配信はその申請の証拠にもなるわけだ。
——ダンジョンが出現し、国会の決議でその中の扱いは国外という事になった。
新たに大臣になった衆議院議員の松永氏は、松永ダンジョン大臣に任命され、モンスター討伐助成金を制定したのだ。
それ以降ダンジョンへの挑戦は国や各自治体への書類申請の上、ダンジョン渡航(扱いが海外とみなささる為)許可証を発行してもらう事で挑戦可能になった。
なお、ダンジョン討伐に限り、銃刀法も特別許可という形になった。
ダンジョン配信者はDプレイヤーと呼ばれ、一番のトレンドだ。
また、ボクは最悪のハズレスキルだったが、人間がダンジョンに入るとその中に限り特殊スキルを手に入れる事が出来る。
残念ながらダンジョンの外に出るとそのスキルは使えないので異世界限定スキルなのだろう。
このスキル勘違いのせいで、中では怪力を手に入れたやつがダンジョンの外に宝を持ち出そうとして怪力の効果が切れ……仕方なく宅配便を呼んだ動画はこの事例の紹介として数百万再生されたようだ。
ボクは大高にこき使われ、動画撮影をやらされていた。
だがアイツは仲間達と浅い回にいるはずのない最強モンスターのミミックに喰われた。
そしてボクも、そのミミックに食われそうになった!
——でもその時ボクは閃いた!——
この強いミミック、もし彼の手下になれればこの世界の嫌な奴らを一掃できるかもしれない!
ニュースで見るような不起訴や名前を隠される凶悪犯、ソイツらをこのミミックに食べてもらえば世界はもっと綺麗になる!!
ボクはそう思い、彼の手下になった。
大高に強制された録画技術、コレを使いボクは正義実行の配信者になろう!
そしてボクは、子供の頃一番好きだったヒーロー、——鬼面ライダー正義——のマスクを被り、正義の配信者ジャスティスになった!