68 つよつよミミックの部屋移動
オレ様の下僕に一人妙なメスが増えた。
エスペランサというヤツだ。
コイツ、やる事成すこと何かとオレ様の調子を狂わせてくるマイペースなヤツだ。
だが、あのオレ様の人間を食った光景を見てもまるで怯えようともしない、普通のメスとは何か違うみたいだな。
まあとにかく変なヤツには違いない。
ハコザキはこのエスペランサに何か感じているようだが、オレ様には何故ハコザキがそこまで驚いているのかが分からない。
「オイ、ハコザキ。お前はなぜそんなにエスペランサに驚いているんだ?」
「そりゃあ驚かないわけないですよっ! 都市伝説だと言われていたラビリントスや女王パンドラが存在した上、その娘さんがそこにいるエスペランサさんなんだから!」
ふむ、そんな物なのか……だが、オレ様にはイマイチよくわからん。
エスペランサはハコザキやアルカに色々と質問をしていた。
「あのー。ハコザキ様達はなぜこんな所にいたのでしょうかー?」
「こんなとこって、この東京ダンジョンの事?」
「そうなんですねー、ここはトウキョーダンジョンというのですねー」
「ねぇ、ハコザキ。アタシ色々聞かれてもむしろ分からない側なんだけどぉ……」
アルカが困惑しているようだ。
まあ仕方あるまい、オレ様もアルカもハコザキの世界の事はまるで分らんからな。
「と、とにかく一旦ホテルに戻ろう。それでそこで色々と考えよう」
ハコザキの提案でオレ様達は一旦ダンジョンから出てホテルに戻った。
エスペランサもホテルについてくるようだ。
まあオレ様の下僕になるなら一応エスペランサのヤツも面倒を見てやらんといかんな。
オレ様達はハコザキの取っている部屋に戻った。
どうやらエスペランサの分もホテルの人数に加えたようだ。
しかし何かホテルの中にいたヤツが色々と確認をしていたようだが、その後は何の問題も無かったかのように部屋に通されたみたいだな。
いや、何の問題も無かったワケでは無い、むしろオレ様達は元々いた部屋より広い部屋に移動させられたようだ。
どうやらここはロイヤルスイートルームというらしい……。
「エエエエ……エスペランサさん!? こんな高い部屋、どうするんですか? ボク達そんなお金持ってませんよ!」
「あらー、そうなのですかー? わたくしのこのカードがあれば問題無く部屋を変えて頂く事ができましたわー」
ハコザキはもう言葉も出ないようだ……。
「まさかあのブラックカード、冗談じゃなく本当に二億ユーロも入ってるの!?」
「はい、お母様がわたくしの好きに使っていいとお渡し下さったカードですわー。ですから何の問題もございませんわよー」
だが、しばらくしてホテルのヤツがオレ様達の居る部屋にやって来た。
「お客様、申し訳ございませんが、このカードは現在使用できなくなっております。別の支払い方法でお願いできますでしょうか?」
「えー? コレ使えないのですかー?」
「ハイ、数日前に口座に凍結がかかっているようでして、現在このカードはご使用できません……」
オイオイ、何かあったのか?
「そんなー、ボクこんな部屋の支払いをしたらあっという間に破産だよー!!」
「仕方ありませんわ、それではこちらでいかがかしらー?」
エスペランサが何かを首から外したようだ。
「こちらでしたらこのお部屋の金額になるかしらー?」
「お客様、困ります! 現物では当ホテルではお受け取りできません!」
「わわ、わかりました。ボクがお支払いしますから!」
どうやらハコザキがこの部屋をジュウマンエン渡す事で使えるようにしたみたいだな。
「ハコザキ、この部屋、ジュウマンエンがいくつだ?」
「そうですね、ここは一泊五十万円です……三日持つかどうか……早く助成金を手に入れないと」
どうやらハコザキが困っているようだな。
「エスペランサさん、外に行きますよ。それを売れる店を探すから! ボックス様、お留守番お願いします」
「わ、わかりましたわー」
「わかった、ピザだけ頼んでおけよ!」
ハコザキはオレ様を置いてエスペランサとアルカと一緒に出掛けた。