67 つよつよミミックの感心
このエスペランサとかいうヤツ、どうも話していると調子が狂う……。
コイツ、オレ様を怖がる様子も無ければ、オレ様に何やら興味があるようだが……ミミックを知らないって、いったいコイツは何者なんだ??
「エスペランサ、お前はオレ様が怖くないのか?」
「はい、食べられるかもと聞いた時は怖かったですが、食べられないと分かったら怖くないですー。むしろ、なんだか可愛いと思いましたー」
「可愛い?? オレ様がか??」
マジでコイツわけわからん。
今まで生きてきてオレ様の中で寝ようとしたわけわからんやつ、オレ様の部下になりたがったニンゲンといったわけわからんのはいたが、コイツはそれ以上にわけわからん……。
生まれてこのかた、怖いだの強いだのは聞き飽きたが、可愛いと言われたのは初めてだ。
このメス、実はすごい大物なのかもしれないな。
「可愛いって、いったいオレ様の何が可愛いというのだ?」
「えーっとー。なんか子供っぽいとこー。さらにアナタ悪い人じゃないでしょー。わたくしにはわかりますわー」
そりゃどう考えても悪い人間のわけないわな。
オレ様は人間じゃないんだから……。
ダメだ、コイツと話してるとマジで調子が狂う。
ハコザキ、あとは任せた。
「おい、ハコザキ。オレ様なんだか疲れた。お前がソイツと代わりに話せ」
「わ、わかりました。ボックス様」
「そちらの箱の方はボックス様とおっしゃられるのですね。よろしくお願い致しますわー」
「エスペランサさん、貴女は何故誘拐されたのですか?」
「んー、わかりかねますわー」
オイオイ、狙われた理由がわからなきゃまた攻めてくるかもしれんのに、頭のおめでたいヤツだな。
「でもー、わたくしを取り返しに来た黒服の方々はおられませんでしたかー? そちらには心当たりがございますわー」
「あのメチャクチャ強そうな奴らか! エスペランサさん、彼らは誰なんですか?」
「んーと、そうですわねー。多分、お母様の私設軍隊かとー。
「施設軍隊だってー!? エスペランサさんって何者なんですか??」
ハコザキが驚いている。
どうやらこのエスペランサってメス、アイツが驚くほどのヤツみたいだな。
「えー、わたくしですかー? わたくしはお母様の娘ですわー」
「そ、そりゃお母さんの娘さんってのはわかるけど、それじゃあ質問を変えるね。エスペランサさんのお母さんって何者なんですか?」
「えーっとー、お母様はわたくしのお母様ですわー」
「だからそうじゃなくて、エスペランサさんのお母さんって、何処のどんな事をしている方なんですか? と聞きたいんです!」
どうやらハコザキもこのマイペースすぎるエスペランサに振り回されているみたいだな……。
「えーっと、お母様はー、確かラビリントスって企業のCEOだったかとー……」
「ラビリントスだってぇー!?!?」
「ハイ、わたくしの名前は、エスペランサ・クノッソス・ラビリントスと申します」
エスペランサの名前を聞いたハコザキが驚いていた。
「エッ、エスペランサ……さん」
「ハイ、何でしょうか? ハコザキ様」
「それ、冗談だよね?? まさか、そんな都市伝説の名前を出すなんて……」
「えー? どうしてでしょうかー? わたくしは本当にラビリントス家の者なのですがー」
ハコザキのこの驚きよう、オレ様はアイツがこれほどまでに驚いた姿を見たのは初めてだ。
「ひょっとして、君の……お母さんの名前って、パパパパ……パンドラっていうんじゃないの??」
「あら、違いますわ。お母様は名前はパパパパパンドラではなく、パンドラですわ。ハコザキ様、人の名前は正しく覚えてくださいませ」
パンドラの名前を聞いたハコザキがひっくり返った。
「ちょっとぉ、ハコザキ、アンタいったいどうしたってのよぉ!?」
「ハ、ハハハ……。ボク達、とんでもない案件に首を突っ込んでしまったのかもしれない……」
ハコザキがひっくり返ったままうわごとを言っている。
いったいなにがあったというのだ?