6 つよつよミミックの初仕事
どうやらハコザキが連れてきた奴らが来たようだ。
ハコザキの連れてきた奴らは男数人にメス一人か。
あのメスは、弱そうなくせに偉そうな態度だな。
「ザコ、あたし喉乾いたの、すぐジュース用意しなさいよ」
「はい、ですがこんなダンジョンの中でジュースなんて、自販機もありませんし……」
「ハァァア? 何口答えしてるのよ! ザコの分際で。タケちゃんこいつウザい」
あのメスの話を聞いていた男が数人でハコザキを殴り出した。
アイツ、マジで弱いな。
「オイ、ザコ。あっちゃんがジュース飲みたいと言えばすぐに用意するのがテメェの仕事だろうが! 無ければその辺のパーティから奪ってこいや!!」
ダメ出しとばかりにハコザキがゲンコツで殴られている。
「タケちゃんつよーい!」
「ヘッ、当然だろ。オレは素手でゴブリンを殴り殺してブレイクしたんだからな! 元ボクサーを舐めんじゃねーぞ!」
「そうですよね、高島さん。網膜剥離さえなければ今頃……」
バギィィッ!!
どうやらハコザキ以外のやつが殴られたようだ。
「テメェ、その話をしたぶっ殺すって言ったよなぁ!! まあいい、新入りのザコにオレを舐めたヤツがどんな目にあうか教えてやるよっ!!」
そう言ってガタイのいい男は殴った相手を血まみれにしていつまでもパンチを浴びせ続けた。
最後にはソイツは血のションベンを垂れ流してグッタリしていた。
「ヘッ、くたばりやがった。どうだ? ザコ。視聴数はどこまで伸びた?」
「四万……です。まだ伸びてます」
「そりゃそうだろうよ、オレは他人に手を出さないヘタレの代わりにパンチで色々なやつを倒して見せてやってるのよ、それでスカッとしないわけねーだろ!」
「そ、そうですね。高島さん」
ドガッ!
ハコザキがまた殴られたようだ。
「なんだその口のききかたはよぉ!? そうですねなんて同等の相手に言う言葉だろうが! オレはテメェと同等なのか? あっ!???
——フン、弱い犬ほどよく吠えるな。
まあ所詮ゴブリン程度を殴ってイキッてるだけのヤツだ。
「タケちゃーん、ソイツらここに捨てていこーよ、ダンジョンだから死体をゴブリンとかが片付けてくれるでしょ」
「あっちゃんは頭いいよな、じゃあそうしよう」
オレ様はアルカに音を立てるように命令した。
どうやらレプラコーンのアルカのスキルは透明化らしい。
まあよわよわのアルカには相応しいスキルだ。
コーン!
「ん? なんだ、なんの音だ??」
アルカが立てた音に、あの男達は気がついたようだ。
「タケちゃん、あそこにいい箱があるよー、ソイツらの死体その中に入れちゃおうよ」
「あっちゃん、いい考えだな! それなら宝箱だと思って開けた奴らの嫌がらせにもなるからな。当然中身は取った後だよな」
どうやらアイツら、オレの中にさっき殴り殺したやつを捨てようというみたいだな!
「オラ、ザコ。きちんと配信しろよ。この嫌がらせ、みんな楽しみにしてるからよ!
——今だッ!!——
バクッッ!!
「エッ!? オレの腕、世界を取るはずだった黄金の右がぁぁぁぁあ!!」
不味いな、血の味が染み込みすぎてしょっぱい上に固い。
まあ吐き出すのはオレ様の流儀に反するのできちんと噛んで食べるけどな!!
「ヒ、ヒイイイイイッ! こ、コレ、ミミックだぁぁあ!」
ハコザキは部屋の入り口に荷物を置き、エサの奴らを外に出れなくした。
そして何か変なお面を被って何かを持っている。
「さあ、皆さん。暴力系配信者を気取っていた高島が社会のゴミ箱に食べられようとしています。私は配信者のジャスティス、正義の執行者です!
あいつ、何言ってんだ? まあいい、オレはアイツが用意してくれたエサを食う時間だ。
「ザゴォオォォオ! テメェ、うらぎりやがっだなぁああ!!」
「いやあぁぁぁぁあ! タケちゃんがぁぁあ!!」
「この女はアツコ、有名なサークルクラッシャーです。コイツのせいで潰された配信グループは星の数ほどあります」
オレはハコザキの用意したエサのメスを品定めしていた。




