66 つよつよミミックの下僕3
ふう、少しは動いた分エサが美味くなるかな。
しかしコイツらどいつもコイツも変な味がするな。
この変な味、あの身体に落書きしてるヤツの大半からするのだが、あの変な落書きが味を落としているのか?
オレ様はキシンカイとか名乗るザコどもを片付け、バラバラになった肉を舌で掬い取って食べた。
うむ、不味くはないが美味いとも言えない。
やはりあの変な味が響いているのかも知れないな。
まるで何かの薬のような味だ。
これは毒耐性をつけておいた方が良さそうだな。
オレ様のスキルの一つが毒耐性だ。
これはMPを消費する事で一定時間の間、毒を無効化するスキルだ。
このスキルを使えば不味いものでもどうにか食べられる。
オレ様はこのスキルを使いワーストテンタクルマンイーターを食った。
それでも最低最悪の味だったので、あのモンスターがどれだけ最悪の存在だったかと言えるだろう……。
それに比べればまだこのキシンカイの肉塊共は変な薬っぽいってくらいの味なのでまだ食えるか。
オレ様が食事を終えた頃、ハコザキとアルカが何かを持ってオレ様のところに戻ってきた。
この二人、何やら大きな箱を持っている。
「オイ、お前ら。その箱の中身は何だ? オレ様に見せてみろ」
「あ、ボックス様、その中身は……」
ハコザキが何か狼狽えている。
その中に一体何が入ってるんだ?
「どうした、オレ様に見せられないものなのか?」
「いいえ。そういうわけではないのですが……」
「こ。この箱の中、大したものは入ってませんよぉ」
何だ何だ、ハコザキだけではなくアルカも何か隠しているのか?
「怪しいな、お前ら、その箱を開けてオレ様に中を見せてみろ」
「あっ、その中は!」
ハコザキがオレ様が蓋を舌で開けると慌てた様子だった。
そこまで焦るって、いったいこの中に何が入ってるんだ?
「ああっ」
オレ様は制止するハコザキとアルカを押し除け、箱の中身を覗いてみた。
すると、その中に入っていたのは眠り続けているメスの姿だった。
全身白く髪は銀髪。
見た感じ妖精やモンスターではなく人間のようだな。
「何だ? コレは?」
「ボ、ボク達もわかりません。あのイケメン冒険家の村田がこの子の入った箱を持っていて、何者かに追いかけまわされていたようです」
人間のメスは寝息を立てて何も怖さを感じない様子で寝ているようだ。
「可愛い子ねぇ」
「いったいどこの娘なんだろう? 村田のやつ、この子の箱を持ってたからあんなに追いかけ回されてたけど……」
美味そうな人間のメスだ。
混ざり物のない純粋そうな美味そうな肉、適度に張りのある身体。
これはオレ様の中でもかなりの上位に入るご馳走になりそうだ。
じゅるり……、オレ様はついついヨダレを垂らしてしまった。
これほど美味そうな人間を見たのは久々だからだ。
「ボックス様、絶対その娘食べないでください! この娘は何かとんでもないものを感じるんです」
「ハコザキ、それはどういう事だ?」
「ボクにも……わかりません。でも、この娘からは何かを感じるんです!」
オレ様はハコザキにおあずけを食らった。
これほどの上物の人間のメスはこの後どれくらいのお目にかかれるかわからないくらいの最高のモノだ。
だがここでは下手にハコザキの言う事を突っぱねればオレ様はもうピザにありつけなく可能性もある……。
「わかった、ハコザキ。その代わり後でピザ普段の倍よこせよ!」
「わかりました、スペシャルなヤツ頼みますから」
オレ様達が会話をしていると……その声を聞いたからか、寝ていたメスが目を覚まして箱から顔を出した。
「ふあぁぁ。ココ、ドコー?わたくしー、どうしてこんな所にいるのかしらー?」
目を覚ましたメスはとても可愛らしい声でオレ様達にはなしかけてきた。
「オイ。オレ様の言葉がわかるか? お前は一体誰だ?」
「わたくしー? わたくしの名前はー。エスペランサですわー。ご機嫌ようー」
箱の中に入っていたメスは自分の名前をエスペランサと名乗った。