66 つよつよミミックの下僕3(ハコザキ視点)
ボクは凄まじい光景を目の前で見ていた。
それは国内でもかなりヤバい組織だと言われている鬼神会がなす術もなくミミックのボックスに蹴散らされる光景だった。
鬼神会の連中は戦争でも始まるのか? と言わんばかりの重武装でボックスに戦いを挑んだ。
だがあの最強ミミックはそんな連中をモノともせずに舌だけで返り討ちにしている。
これが海外の動画サイトだからどうにか配信出来ているが、もし国内のサイトならあっという間にBAN確定だ。
腕や足がちぎれ飛び、あちこちが血の海だ。
まあ悪人に人権は無いと思うやつが大半なのでこれは特に誰も批判せずむしろボックスを称賛する意見が大半だ、
ホント、このダンジョン配信が法律の外側で良かった。
ダンジョンの中は日本の法律が一切適応されない未開の地という扱いになっているので、ここでいくら社会のゴミのヤクザが始末されようと何のお咎めも無い。
むしろ最強ミミックによる虐殺エンターテイメントをみんなが楽しんでいるくらいだ。
鬼神会がどれだけの連中に煙たがられた上嫌われてるのかがよくわかる話だ。
まあこれでもうあのイケメン冒険家村田もおしまいだろう。
ボクは匿名でアルカちゃんの撮ってくれた鬼神会内部の映像を警察に届けておいた。
これでもう村田はDプレイヤーとしての資格も剥奪されるだろうし、女の子を騙していた映像も全て提出しているので逮捕は確実だ。
——だが、話の展開はボクの思うよりさらに変な方向に進んでいた。
鬼神会ほなんとバズーカ砲でミミックのボックスを吹き飛ばそうとしたのだ!!
一体そんなもんどこから持ってきたのやら。
ボクとアルカちゃんはいったん透明化してバズーカの爆風から離れた場所に移動して、ズーム機能でバズーカ砲ヤクザ対ボックスの対決を見ていた、
バズーカ砲が発射され、ボックスが吹っ飛んだ!!
だが、ボックスはそれでも無傷で起き上がり、バズーカ砲ヤクザの頭部を吹き飛ばした!
頭部を失ったヤクザの体はそのままバズーカ砲を暴発させ、周りのヤクザも全て吹き飛ばした。
——凄い! 圧倒的に強すぎる!——
アレが本気のミミックの強さなのか。
確かにアレならドラゴンですら倒せるのも納得だ。
ミミックのボックスは残ったヤクザの五十鈴を捕まえて、雑巾を絞るように腕をねじ切った。
うわー、アルカちゃんの言ってたねじ切りをマジで実現するとは……。
流石に音はギリギリギリバツーンではなかったが、マジでグロ注意としか言えない。
全身をねじ切られた五十鈴は絶命し、ミミックのボックスのエサになっていた、
国内最強といわれた武闘派ヤクザ、鬼神会は壊滅し、死屍累々となった。
おや、そう言えばケツ持ちが壊滅したのにイケメン冒険家の村田と魔獣使いの田部井がいないな。
確かアイツら、五十鈴に大きな箱を運べといわれていたが、外でも逃げ回っているのかな……?
そう思っていたボクだったが、アイツらは血相を変えて東京ダンジョンの中に走って逃げてきたようだ。
「オイ。田部井! なんだよアイツら!? なんでオレ達が追いかけられてんだよ、五十鈴さんはどうしたんだ?」
「おれもわからねえよ、外じゃオレ達のスキルが使えないから一旦ここに逃げようとは言ったけどさ!」
何だ何だ。
どうやらイケメン冒険家村田と魔獣使い田部井は外で何者かに追いかけ回されてこの東京ダンジョンに逃げ込んで来たみたいだな。
「とにかくその部屋に入るぞ! 田部井。何でも良いからアイツらを追い払う魔獣を呼べ!」
「わかったよ、待ってろ!」
魔獣使いの田部井が何かのモンスターを呼んだようだ。
しかしアイツら一体何からあんなに血相を変えて逃げまくってたんだ?
ひょっとして、あの大きな箱の中身に秘密があるのか?
ボクはアルカちゃんに頼んで透明化したままイケメン冒険家村田のいる部屋に入り込んだ。




