66 つよつよミミックのねじ切り(アルカ視点)
ご主人様はアタシとハコザキにイケメンボウケンカのところに行けと言われたの。
まぁアタシのスキルがあれば安全だし、万が一の時はご主人様が呼び寄せてくれるみたいだから。
そしてアタシとハコザキはダンジョンの外に出てイケメンボウケンカとあの魔獣使いを探した。
どうやらハコザキがキシンカイとかいう奴らのいる場所を調べたみたいで、アタシ達はどこかのビルの中に入ったのぉ。
ビルの中は変な臭いでいっぱいだった。
ハコザキが言うにはこれはタバコってやつの臭いなんだってさ、ニンゲンってよくこんな変なモノの臭いの中にいれるわわね、アタシならとても耐えられないわぁ。
透明化スキルでビルの中に入ったアタシ達は半裸でビルの部屋の中に駆け込んだイケメンボウケンカを見つけた。
「オウ、村田。一体その姿どうしたんじゃい?」
「五十鈴さん、ヤバいヤツが出ました! あのダンジョンからは手を引きましょう!!」
「なんじゃい、ポリにでも嗅ぎつけられたか? それならワシがナシつけたるけのう。可愛い弟分のためじゃ」
イケメンボウケンカはムラタって言われてた。
ソイツが話してる相手がイスズとかってヤツみたいね。
「アルカちゃん、ボク達の姿が見えないならそのままデジカメ撮ってておいてね」
「わかったわよぉ、その代わり後でゲーム買ってよねぇ」
アタシはハコザキに頼まれて透明化スキルを使ったままコイツらをデジカメで撮ることになったの。
「いや、警察なら女を当てがえばどうにかなりますよ、それよりタチの悪いやつに見つかりました、最近話題のジャスティスってやつです! アイツはオレの攫った女を全部奪いやがったんです!!」
「なんじゃと!? もうすでに政治家のお偉方に女を当てがう算段が整ったったのに全部パァだというんか!?」
「はい、あのジャスティスとかいうやつ、あの魔獣使いの田部井よりよほど強いバケモノを従えてるんです」
まあご主人様の強さに比べれば魔獣使いなんてヤツがいくらどんなモンスターを出しても勝てるワケないけどねぇ。
「舐めやがって……ワシら舐めたらどうなるか思い知らせてやるわい。オウ、そこの、うちの鬼神会の若い衆集めろ。ワシらを舐めたジャスティスとやらを片付けるけのう。村田、お前には別の仕事を任せる。そこの箱の中のモノ、確実に江藤先生に届けろ、ええな!」
「は、ハイ。わかりました、五十鈴さん!」
「この五十鈴貴利、メンツで生きとんじゃ、極道は舐められたら終わりじゃけのう。島崎のオジキに鍛えられたワシがそのジャスティスとかいうガキ、血祭りにしたるけ、見とれよ」
このイスズとかって男、今までの相手とは明らかに空気が違う。
このままここにいたらいくら透明化してると言っても危険かもしれない……。
「ハコザキ、ねぇ、一度ここ出ようよぉ……」
「そうだね、しかしまさかあのイケメン冒険者村田のケツ持ちが鬼神会の五十鈴とは、それにあの政治屋の江藤まで繋がってたか……これは良い映像が撮れた」
ハコザキ、一体何言ってるの!? 早くここを投げ出さないとヤバいってばぁ!
「オイ! 誰かおんのか!? コソコソしとらんと姿見せえやっ!」
えっ!? アタシ達、透明化スキルで姿見えてないわよね、それなのにあのイスズとかって男、アタシ達がいる事に気がついてるの!?
「五十鈴さん。おれです、田部井です。どうにかここまで逃げてきました」
「何じゃ。貴様か、まあいい、貴様らに仕事を任せる、そこの箱を確実に江藤先生に届けろ。それで今回の件は水に流したる」
ほっ、どうやらアタシ達が見つかったわけではなかったみたい。
ハコザキ、もうこんな危険な場所帰りましょうよぉ。
「ねぇ、ハコザキ、早くこんな場所でましょ」
「そうだね。デジカメで確実にイケメン冒険者村田とヤクザの繋がりも取れたしそれじゃあここを出よう」
ようやくここから出れる、そう思うともうアタシは怖いのと嫌な臭いですでに泣きそうになっていた。