5 つよつよミミックのチーム結成
ハコザキの提案はコイツがオレ様の下僕になり、オレ様にエサを連れてくるというものだった。
まあこれを断る理由も無い、むしろ定期的にエサを連れて来るならコイツを下僕にしておいて正解かも知れない。
「ミミック様、先程貴方が食べたヤツは、ボクが中学高校とイジメにあっていたヤツです。アイツは会社社長になって半グレ連中を使った振り込め詐欺をやっていたのですが、最近ダンジョン配信がトレンドになると女型モンスターを中心に狙っていたぶる事を仕事にしていたゲス野郎なんです」
そんなこと本音どうでも良いんだがな。
エサの事情を知ったからと味が変わるわけでもあるまい。
「ひどーいぃ! そんなヤツ食われて当然よねぇ!」
おや、ハコザキの話を聞いたアルカが反応したようだ。
「ボクは就職できずに運悪く面接で行ったその会社でアイツに会ってしまい、こき使われていたのです。そしてダンジョン配信を始めるようになってからは……アイツはボクには何も与えずにずっと配信を命令し続けていたのです」
それでさっきの妙な行動をしていたのか。
「ですがミミック様がアイツを食べてくれたのでボクはアイツから解放されました。でもこのままボクが何かやろうとしても力がありません。だからそれなら強いミミック様の下僕になる事でボクは自分のやりたい事を叶えられると思ったんです」
「ほう、それがオレ様のエサを用意する事になるというのだな」
なるほど、コイツのやりたい事とオレ様のエサを用意するのが同じという事だと考えれば良いのか。
「はい、ボクが食べて欲しい社会のゴミをここに連れてきます。そうしたらミミック様はそいつ等を食べてくれれば世界はどんどん綺麗になるのです、まさに社会のゴミ掃除……ミミック様は社会のゴミ箱なのです!」
コイツ、オレ様を褒めているのだろうが……何だかムカつくな。
「ハコザキぃ! アンタご主人様をゴミ箱って、死にたいのぉ? エサになりたいのぉ??」
「いや、そうじゃないですって、ボクは社会の縮図や揶揄の話をしたのであって……」
「うるさい、ケンカするようなら二人共食ってやるぞ!!」
「「スミマセン……」」
まあこの二人、使いようによってはオレ様に有意義な下僕かも知れないな。
アルカはオレ様を運ぶ事が出来る。
そしてハコザキはオレ様の所にエサを連れてくる。
まあそれでコイツらが納得するなら食わずに生かしておいてやった方がオレ様の為になるな……。
「良いだろう、ハコザキ。それじゃあ次のエサを連れてこい、話はそれからだ」
「わかりました。ミミック様!」
「アンタ、逃げるんじゃないわよぉ」
まあコイツに逃げ出すだけの意志の強さは無いだろう。
様子を見ておくとするか。
「ご主人様ぁ。アタシ、ここに残った物貰って良いですかぁ?」
「フン、好きにしろ。残したものなんて不味くて食えたもんじゃない!」
オレ様がそう言うとアルカは喜んでエサが持っていたキラキラ光る何かを集めだした。
何でこんなものを欲しがるのかな? 不味くて食えないような物に意味があるのか?
オレ様はアルカの行動を見ながらその意味を考えたが、やはり答えは見えなかった。
そして次の日、ハコザキが戻ってきた。
「オイ、ザコ。本当にここに宝が有るんだろうな! もし無かったらお前殺すからな!」
「大丈夫です、前の会社の社長から命がけで盗んできた情報なんです。こちらだって命がけで手に入れた情報、ウソなんて言いませんよ」
「フン、まあお前みたいな社会のド底辺、拾ってやるのはオレくらいだからな!」
――ハコザキが何かと話をしているようだ。
さて、オレ様は箱のフリをしてここで待っているとしよう。
「高島さん、ボク……力も無いし、頭も良くないから、貴方みたいな人に従った方が良いと思ってるんです。最近暴力系配信者としても有名な貴方の下ならボクも強くなれるのかな……と」
ボガッ! どうやらハコザキが殴られたようだ。
「ザコよー。人間生まれ持った才能ってのが有るんだよ。お前は生まれながらのド底辺、オール1人間なんだよ。だからお前みたいな奴は常に死ぬまで下っ端、夢を見る資格なんてねーんだよ。ナマイキ言ってんじゃねーよ!」
「ハイ、スミマセン……」
ハコザキはエサに殴られ、謝っていた。
そしてその後、ハコザキがオレ様の所にエサを連れてきた。