61 つよつよミミックの余裕(アルカ→ボックス視点)
アタシのスキル、インビジブルアイテム。
これは本来のインビジブルのスキルと違い、物体に魔力を与えることで透明化出来るスキル。
非力なレプラコーン族のアタシ達はこのスキルのおかげで強敵を免れたり出来ている。
例えば投げるナイフを透明化することで相手に見せずにダメージを与えたり、壁の一部を透明化することで相手には見えているのに通れない透明な壁を作ることもできるの。
アタシはそのスキルを使ってカバンの中からデジカメでこの部屋の中を撮ることにした。
このスキル、魔力が高ければ後や触感すらも透明化、無音化が可能。
今のアタシはどうやらご主人様のおかげで無音化までは出来る魔力が身についたみたい。
だからアイツらにはバレずにこのデジカメを使ってここに攫われた女の子達の様子を撮れている。
アタシが周りの子に聞いたら、どうやらここに攫われた女の子達はあのイケメンボウケンカとやらにさんざん弄ばれた挙句にキモい奴に好き放題にされ、最後はダンジョンに捨てられてモンスターのエサにされてしまうって聞いた。
あんなのに騙されて悔しいって言っている女の子達が沢山いる。
あんな女の敵、ギリギリギリバツーンと、ネジ切れてしまえばいいのにぃ。
あのニンゲンのクズに比べればハコザキの方がよっぽどいい奴に見えるわ。
って、アタシ何で今ハコザキのことを考えちゃったのかなぁ。
ダメダメ、そんな気持ちじゃあのニンゲン達に負けちゃう。
アタシは泣くわけにはいかないの。
周りの女の子は騙されただの、おうちに帰りたいだのって泣いてるけど、アタシはニンゲン達のせいでもう帰る家なんて無いのよぉ!
ダメよ、こんな気持ちじゃ勝てるものも勝てなくなる。
アタシがどうにかここで出来ることを考えていると、ご主人様から魔力で会話してきた。
『アルカ、今どこにいる? ハコザキから話は聞いた。今からそちらに向かうから場所を教えろ!』
ハコザキはあの後すぐにご主人様にアタシのことを話してくれたのね……。
◆
オレ様はピザを食べた後一眠りしていた。
まあハコザキとアルカが出かけたようだが少ししたら戻ってくるだろう。
そう思ってオレ様はテレビを見て待っていた。
すると血相を変えたハコザキが戻ってきてオレ様に話を伝えた。
『ボックス様! 大変です、アルカちゃんがイケメン冒険家の村田に捕まってしまいました!!」
「何だと!? 一体どういう事だ。詳しく説明してみろ!」
するとハコザキはファミレスってところでアルカをイケメンボウケンカってヤツに奪われたらしい。
何というか情けないというか……。
しかしそのバカ、よりによってオレ様の持ち物に手を出すとは、絶対に許さんぞ。
「ハコザキ、それで……アルカは無事なんだろうな!?」
「まだ今は大丈夫かと、アイツはダンジョンに女の子達を拉致監禁してその後に手を出すみたいですから……」
「オレ様は一度アルカに連絡してみる!」
そしてオレ様の魔力通話でアルカがダンジョンの中に捕まっている事がわかった」
「ハコザキ、すぐに出かけるぞ! オレ様を持っていけ!」
「は、はい! わかりました」
そしてオレ様はハコザキに運ばれてダンジョンに向かった。
アルカとの魔力通話でアイツが捕まっている場所は想像がついた。
地下五階の隠し部屋だ!
オレ様はハコザキと移動し、フロアボスを次々と薙ぎ倒して5階の監禁部屋の前に着いた。
「ガルルルル……ガアッ!」
何だ何だ、魔獣というからキマイラくらい出てくるかと思ったら下位互換のヒポグリフか……。
この程度のモンスターでオレ様を止められると思われるとは! 舐めるな!
オレ様は伸ばした舌でヒポグリフの翼をはたき落とし、絡めて引きちぎってやった。
空の飛べなくなったヒポグリフなぞ俺様にとってはただの雑魚。
オレ様は余裕でこのヒポグリフをバラバラに引き裂き、牙で噛み砕いて飲み込んだ。
こんな程度のモンスターでオレ様に勝てるわけが無かろうが! 最低でもキマイラくらい連れてこい!!