54 つよつよミミックの具現化魔法
オルトロスはオレ様に牙を立てて飛びついてきた。
鋭い牙だ、だが……オレ様の牙に勝てるかな!?
「ギャオオウッ!!」
飛びついたオルトロスは、オレ様に牙を折られて口から血を流している。
悪かったな、オレ様の牙はドラゴンすら噛み砕くんだ。
たかだか地獄の犬を気取る犬ッコロにオレ様が負けるわけが無い。
牙を折られたオルトロスはうずくまっている。
もう一つの頭はあのグールの焼け焦げた臭いを鼻に押し付けられ、苦しんでいる。
さて、久々のAクラスモンスターだ。
コイツを食えば久々のレベルアップになりそうだな。
「悪く思うなよ!!」
オレ様は牙を立て、オルトロスの首を掻っ切った。
「ゲグウウウウェェェェッッ!!」
頭の一つを失ったオルトロスだが、もう一つの頭が残っている。
だが、牙が無いオルトロスの攻撃方法なんてあの爪くらいのモノだ。
オレ様は舌を伸ばし、オルトロスの身体を絡め取り、壁に向かって何度も投げて叩きつけた。
「ゲェエエ……グゥ……」
全身の骨をバラバラに砕かれたオルトロスはもう立ちあがる事も出来なかった。
「オイ、お前達。もう出てきていいぞ。コイツにドトメをさせ」
「わかったわぁ。それじゃあやるわよ、ハコザキ」
「アルカちゃん、ボクに命令しないでよ」
アルカとハコザキは死にかけのオルトロスの身体をナイフで傷つけようとした。
だがアルカの攻撃はまるで鋼のような毛皮に阻まれ、通用しない。
いくら死にかけとはいえ、A級モンスターの防御力は普通のナイフ程度では傷一つ付かない。
「あぁー。もう、何で攻撃できないのよぉ?」
「アルカちゃん、何度も同じところを攻撃すればどうにかダメージ与えらえるよ」
どうやらハコザキはオレ様の読み通り、どんな相手でも確実に1のダメージは与えられるようだ。
これはひょっとすると使える能力なのかもしれないな。
どれ程攻撃力が弱くても一度に1ずつのダメージを与えられるなら、何十回も斬りつければどんな敵でも倒せると言えるのだから。
それに対してアルカは非力すぎてナイフでは攻撃できず、反対についにはナイフが折れてしまった。
「あー、もう、どうなってるのよぉ」
オレ様は具現化の魔法を使ってみる事にした。
今のレベルのオレ様なら短時間なら武器を具現化する事も出来そうだ。
「アルカ、これを使ってみろ」
オレ様が具現化した武器はマジックソードだ。
これは非力な魔法使いを食った際に一緒に食った武器で、魔力を攻撃力に変更する事の出来る物だ。
「ボックス様ぁ、これってぇ?」
「魔力が剣になる武器だ。今のお前の魔力なら使えるだろう」
「わかったわぁ、やってみるぅ」
アルカはオレ様の渡したマジックソードに魔力を込めた。
すると、刀身が光り、マジックソードに攻撃力が付加された。
「退いて、ハコザキィ。アタシがそいつをやっつけるんだからぁ」
アルカは魔力を込めた剣を思いっきり投げつけた。
投げられたマジックソードはオルトロスの首に突き刺さり、その魔力が体内で暴走する!
「ギャアアアオオウッッ!!」
魔力の迸ったオルトロスはその力に耐えきれず、ついには焼き切れてしまった。
オルトロスは二度と動かなくなり、その場に力尽きた。
オレ様達はついにこのフロアボス、オルトロスを倒した。
このA級モンスターを倒した事でアルカとハコザキのレベルが上がったようだ。
オレ様も一つレベルが上がった。
オレ様 レベル41
アルカ レベル11
ハコザキ レベル10
コレでついにコイツらはいっぱしの冒険者と言えるレベルの10に達したようだ。
さて、次の階に行くか。
オレはアルカに抱えてもらいながら下の階に降りた。
すると、七階、八階では、C級モンスターに混ざって大型のB級モンスターが出てきた。
「ボックス様、コイツらはちょっと強すぎます、一旦戻りましょう」
「そうか、まあここまで来ていれば拠点移動魔法でここに戻っては来れるからな。オレ様もピザが食いたい。それでは戻るとしよう」
オレ様達は拠点移動魔法で一階のダンジョン入り口から東京ダンジョンの外に出た。




