50 つよつよミミックの決意
ダメだダメだ、今のままではダメだ。
確かにピザは美味い、だが以前オレ様の懸念していた事が、ずっとこればかり食べているとそれ以外欲しくなくなってしまう危険性だ。
マジでそれが現実化しようとしている!
そういえば最近何度かアルカの見た目がふっくらと美味しそうになってきている……。
ハコザキは元からガリガリで食えるとこなんてほとんど無さそうだが。
このままここで暮らしていたらオレ様だけでなくアルカやハコザキもダメになる。
そうなるとせっかくのエサを食べ放題のこの生活を続ける事が出来なくなり、本当にオレ様がハコザキやアルカを食べるハメになる。
もしこの世界であの二人を食べてしまえばオレ様がケーサツだのジェータイだのキメンライダーツルギだのダンジョン戦隊ハイシンジャーとやらにやられてしまう!
元の強さのオレ様なら返り討ちにも出来るが、もしあのテレビで見るような強さのヤツらが今のオレ様を攻撃したら、このオレ様の箱は木っ端微塵のバラバラだ!
まったく、ハコザキのヤツは一体どこへ行ったんだ?
しばらくしてハコザキが帰ってきた。
とりあえずピザ一枚残しておいたぞ、冷めてるけどな。
しかし、冷めたピザはイマイチ美味くないな。
「ハコザキ、ピザ置いてるぞ」
「ありがとうございます、でも今は先に調べ物があるのでそちらを先にやります」
そういうとハコザキはまたパソゴンの前に座って何かを打ち出した。
「よし、コイツだな。下村聡子、コイツがイジメを見殺しにしていた教師だな。やはり他の学校でもコイツのいた学校はホームページが改ざんれて教師紹介が見れなくなってるな」
ハコザキが何かを見つけたようだ。
どうやらエサになるやつのヒントみたいだな。
最近はピザばかり食っていたのでそろそろそれ以外も食わないと。
「ハコザキ、ダンジョンに行くぞ」
「えっ!? 今からですか?」
「そうだ、最近ダンジョンに入ってないからカンを取り返すんだよ」
「えぇー、アタシまだスターゲイザーくりあしてないのにぃ」
「アルカちゃん、それ携帯ゲーム機だから持ち運べるよね」
アルカが納得したような顔をしていた。
「あっ、そういえばそうだったわぁ」
「アルカ、お前最近太ったな。全体的にふっくらしてるぞ」
「ええぇー!? そんなぁ、アタシィ、そんな太ったのぉ?」
「アルカちゃん……確かに最近ちょっと顔がぷくっとしたような……」
「レディになんて事いうのよぉ! このバカァ!!」
ハコザキはアルカに爪でバリバリと引っかかっていた。
「イタタタ、痛い、痛いってば!」
「アンタがデリカシーない事言うからでしょぉ!」
おやおや、コイツらはまたか。
「煩い、ケンカしてると食ってしまうぞ!」
だがコイツら、オレ様のいうことを聞かずにケンカを続けている。
仕方ないな、一度殴っておくか。
ゴンッガンッ!
「いたーい、なんなのよぉ」
「お前達がオレ様の言う事を聞かないからだろうが!」
「「すみません」」
ようやく反省したか。
「ハコザキ、今から出かけるぞ」
「わかりました」
ハコザキとアルカはオレ様を台車の上に載せ、ダンジョンの入り口に向かった。
この東京ダンジョン、全国にあるダンジョンと繋がっているようだがあくまでも入り口から入った場所にリンクする為、別の入り口に出る事はできないようだ。
全くワケのわからない仕組みだ。まあ東京ダンジョンから入ったオレ様達はまた東京ダンジョンに戻る事になる。
さあ少しは下の階層に行ってどうにかオレ様のレベルを取り返さないと、ハコザキとアルカは戦力にならないがオレ様の側が一番安全だろうから着いてこさせた。
さて、この地下に行くぞ。
オレ様達がダンジョンの奥に向かうと一階のボスオークリーダーが姿を現した。
だがしょせんオレ様の敵ではなくあっという間にオレ様の口の中に放り込まれて死亡した。
うん、不味い。