47 つよつよミミックの理解不能
人間共とアルカは何か謎の言語で会話をしている。
ハッキリ言ってオレ様にはワケわからん。
ハコザキも一応その言語は理解しているようだが、オレ様のわかる事といえば……ラストダンジョンの魔王上にいたモンスターの名前がその会話の中にたまに出てくるくらいだ。
「しんけんマサムネのある場所って、絶対に分からないよねぇー」
――アレ手に入れるの苦労した――
――あんなもんわかるか!――
――パンツ見せて――
――↑お前それしか言わんのか?――
コイツら盛り上がってるな。
まあオレ様の食った剣の中にそれっぽい物はいくつかあるので、魔力で再現は可能なんだがな。
試しに作ってみるか。
――イミテーション!――
オレ様はアルカの前に以前食ったサムライの持っていたメイトウとやらを食ったものを再現して作ってみた。
「これって、しんけんマサムネェ? なんかちょっと違うかなぁ」
――どうやってそれ作ったの!?――
――驚異の技術――
――本物は銃刀法違反じゃないの?――
――↑本物なわけないだろ、撮影用に用意したんだよ――
どうやら盛り上がってるみたいだな。
まあこのイミテーションの魔法、実際には存在しても使えない物なので問題無いが、流石に本物の具現化となると別の魔法で錬成魔法となるので今のオレ様にはまだレベルが戻っていないから作るのは無理だ。
あの錬成魔法を取り戻すには俺様のレベルが後20は足りない。
そして、ピザは確かに美味いがレベルには全く何のプラスにもならない。
だからオレ様が本来の力を取り戻すにはやはりどうしても人間のプレイヤーやモンスターを倒さないといつまでも今のレベル30台後半のままなのだ。
あの錬成魔法、確か魔王軍四天王の魔法使いボックスがレベル60で使いこなしていたからな。
「ミミッカちゃん、これ持ってみようと思うけどぉ……残念、無理でしたぁ」
――ですよねー――
――いや、これだけのCG作れたらゲーム会社入れるって――
――目指せトライエニアックス――
――でも最近あそこ落ち目じゃね? 社員が車で事故死したって聞くけど――
――いやいや、新人が入って建て直し中だって聞くぞ――
コイツら一体何を話ししているんだか……。
何だか考えているとアホらしくなってくるのでこの配信とやらが終わったらオレ様は寝るか。
「ねえ、ミミッカちゃんがもしゲーム配信やったら見てくれるかなぁ?」
――もちろん見ます!――
――可愛い女の子の配信って下手プレイに萌えるよね――
――最近のゲームはよくわからんのでレトロな奴おねがい――
どうやらアルカは人間嫌いが最近少しずつ直ってきたみたいだな。
――そうそう、グロイザーの事調べといたよ――
――空気読めバカ、今はゲーム配信の話だ――
「えっ!? グロイザーって奴ら……何かわかったのぉ!?」
お、何か話に進展があったようだな。
このハイシンとやら、本来はオレ様のエサを手に入れる為の情報収集が目的だったからな。
――グロイザーが新規メンバー募集してるんだってよ――
――何かメチャクチャ強いミミックに食われたとかなんとか――
――でも一階二階にそんなミミックいなかったぞ、本当に都市伝説の悪人の前にだけ現れるミミックか?――
――ここにいるおまいら全員食われるな――
成程、グロイザーとかいう奴ら、オレ様に仲間を食われたので新しい仲間を募集しているという事か。
これはハコザキに行かせるべきだろうな。
「みんな、ありがとぉ、グロイザーはジャスティスが必ずギリギリギリバツーンとねじ切ってやっつけちゃうんだからぁ」
――ギリギリギリバツーンって、何をねじ切るんですか?――
――そりゃもちろん、アレだろ!――
――オレ、タマヒュンなんだけど…――
「そろそろ時間が迫って来たから今日はここまでねぇ。それじゃあまたぁ、バイバーイィ」
どうやらアルカによるミミッカの配信が終わったようだ。