44 つよつよミミックの投擲
「イタタタタ、叩く事無いだろ」
「アンタがアタシのおっぱいに触ったからでしょぉ、このスケベッ!!」
「誰がそんな小さな胸、ボクの好きなのはもっと品が良くて大きい奴なんだから」
「何よそれぇ! アタシをバカにしてぇ……もう許せないんだからぁ!」
また始まったかこの二人は……。
「煩い、ケンカしてるとここで二人共食ってしまうぞ!」
「「スミマセン……」」
まあこの二人がオレ様に勝てるわけが無いので、ケンカしたらオレ様が仲裁するのが最近の流れになっているな。
「でもあのホストクラブのあくどく稼いでいる証拠は見つけた。動画だけだと弱いけどね……」
「悪かったわよぉ、アタシがもう一度あそこに言ってこればいいんでしょぉ」
「いや、今は無理だ。誰か本当に客になるようなのがいて、大金を使ってもそいつ等を釘付けにしてその間に悪事の証拠を見つけ出さないと……」
どうやら今回の依頼とやらは失敗したのかもしれんな……。
まあいい、それでもアレだけモンスターを倒せばジョセイキンとやらでジュウマンエンを手に入れてピザに変える事は出来るだろう。
「オイ、ハコザキ。依頼失敗とかはどうでもいいが、オレ様のピザはきちんと用意出来るんだろうな?」
「大丈夫だよ、とりあえず投げ銭が思った以上に有ったからね」
「ナゲセン? オレ様にコインを投げつけてきたニンジャとかいう奴らの得意技か? まあそいつ等も喰ってやったからオレ様もナゲセンだのダーツだのは得意だがな」
オレ様はそう言うとその辺にあった紙くずを舌で拾い、壁の隅のゴミ箱に向かって投げた。
オレ様の投げた紙くずは十回中十回が全部同じ場所に入った。
「す、凄いスキルですね」
「フン、こんなモノ遊びにもならないけどな」
アルカがオレ様のマネをして紙くずをくしゃくしゃにしてゴミ箱に投げたが、十回中入ったのは一回だけだった。
「あー、もー、どうして入らないのよぉ!」
「そりゃあスキルが無いからでしょ」
「何よ、それじゃアンタがやってみなさいよ、このオール1のダメダメステータス!」
そうなんだよな、ハコザキは何をやってもダメ、ステータスがオール1みたいだ。
だが、不思議な力を持っているのも事実だ。
アイツ……MP1のスキルだと無尽蔵に使い放題なのかもしれん。
実際MP1消費のはずの魔力通話をアイツはオレ様とMP消費関係なく使い放題で話している。
だから今回もそのホストクラブとやらから助け出してやる事が出来たわけだがな。
「それで、ハコザキ。この後どうするつもりだ?」
「そうですね、とりあえずまたあのブイアバターを作ってもらえますか? 配信でちょっと小銭稼ぎと情報収集してみますから」
「わかった、終わったらピザを食わせろよ」
「アタシはポテトチップだからね、あと他にもお菓子あったら何か別のやつもね」
ハコザキは配信の連絡をすると言ってイッタッターとやらに何かを書きこんでいた。
――ブイアバターのミミッカちゃん公式イッタッター、明日の夕方配信をやります。みんな見に来てくださいね――
どうやらこのパソゴンという魔道具でハコザキはハイシンとやらをする為の連絡を手紙で出したようだ。
まあいい、明日の昼か、それまで少し休むとしよう。
もうテレビも面白いのをやっていないようだ。
「アタシはまだあんこくこうていカオスが倒せてないからゲームの続きやるからね」
「アルカちゃん、やってもいいけどイヤホンにしてね、ボクちょっと調べものあるから」
「わかったわよお、今やっとラストダンジョンの伏魔殿って場所だからもうちょっとで終わるわよぉ」
「アルカちゃん、それ……隠しダンジョンあるからね」
まあ何だ言いながら最近はハコザキとアルカの仲が少しずつ良くなってきているようだな。
「えー、まだまだ続くって事ぉ?」
「そうだよ、攻略本見る?」
「いらないわよぉ、アタシ自分の力でクリアするんだからぁ」
あーそうかいそうかい、わかったからオレ様の寝るのを邪魔しないでくれよ。