41 つよつよミミックの感知能力
アルカはその場から一瞬で姿を消した。
「どおぉ。すごいでしょぉ! アタシのスキル、これで見えないんだからぁ」
――いや、オレ様にはお前のドヤ顔が丸見えなんだが……。――
エサをきちんと食べて魔力を取り戻したオレ様は、魔力感知、嗅覚感知、聴覚感知、赤外線感知、音波感知、空間感知、あらゆる感知能力があるので、どのように隠れても見つける事が可能だ。
「凄い! アルカちゃん。今どこにいるの?」
だが、ハコザキには見えていないようだ。
なるほどな、このアルカのスキルは透明化か。
だが運が良かったな、もしあの魔王城がまだ魔王が健在な頃ならお前は見えないと思っていたまま丸見えで何かのモンスターに食われていただろう。
あのラストダンジョンと呼ばれた場所、一番厄介と言われたモンスターがラストテンタクルマンイーターだ。
このテンタクルマンイーター種、魔法使いのボックスが作った最悪の植物種のモンスターだったのだが、このラストテンタクルマンイーターは触手に加え、あらゆる感知能力を持ったモンスターで、逃げるのはほぼ不可能だった。
アイツにやられた冒険者と呼ばれる人間が多いのでオレ様もエサを奪われて困っていたぐらいだ。
だからアイツがオレ様のテリトリーにエサを求めて入り込んできた時はとても嬉しかったもんだ。
これでようやくエサの横取りをする邪魔者を食えると。
――だが、アイツはクソ不味かった……。――
ハッキリ言って今まで食った物の中で一番不味いエサだったのがアイツだ。
アイツに比べればまだ人間の汚物の方がマシだ。
それくらい毒耐性を持つオレ様がもう食いたくないと思うレベルだった。
まあアイツの臭いは麻痺、呪い、毒、混乱、能力低下、老化、石化、狂戦士、ゾンビ化、カエル化、ブタ化、小人化、樹木化、ゴースト化といったランダムバッドステータスを複数付与の最悪な攻撃だったからな。
まあ全耐性を持つオレ様だから倒せたというべきか。
それでもHPの減少化はかなりキツかったがな!
このオレ様がそれだけ苦労した相手だ、もし姿を透明化するだけのスキルのアルカが出会ったら瞬殺は確定だっただろうな。
「アルカちゃん、今デジカメ持ってるよね、使い方わかる?」
「そりゃあもちろん……分かるわけないじゃないのよぉ!」
そりゃあそうだ……初めて見た魔道具を使えと言われてすぐ使える奴はそうはいない。
「それじゃあそこのとこにボタンがあるはずだから、そこを押してみて」
「ボタンって……これ? あっ」
カシャーン。
ハコザキのデジカメは透明化から実体化してそのまま床に落ちた。
幸い床はカーペットだったのでそんなに壊れてはいないようだ。
「あー、ボクのデジカメがー。高い金払って以前ローンで買ったのにー」
「ハ、ハコザキ……ゴメン、ゴメンってばぁ」
「いいよ、結構長い間使ってたからね、それにボックス様のおかげで助成金でもっと新しい良いの買えるから」
「それじゃあ悪いから、アタシどうにかこれ使えるようになるわよぉ、だから使い方教えてよぉ」
なんだかんだで、最近ハコザキとアルカの仲が良くなってきたようだな。
まあ下手にケンカされるよりはマシか。
「でもアルカちゃんのスキル凄いんだね、本当に見えないよ」
「おーい、アタシ今こっちなんだけどぉ」
ハコザキが誰もいない方に向かって話をしていたのはシュールだった……。
「でも本当に手を離したらデジカメが元の形に戻ったね」
「そうよぉ。アタシのインビジブルスキルはねぇ、アタシが触れた相手や物に魔力を伝えている間透明化できるのよぉ」
「なるほど、それでアルカの手を離れたから、デジカメが実体化して落ちちゃったわけだね」
「そ、そういう事になるのかしらぁ」
ハコザキは何かを考えているようだった。
さて、ハコザキは一体この後どうしようというのだ?