36 つよつよミミックのツッコミ
どうやらハコザキはグロイザーとやらの情報をアルカにミミッカとして集めさせているみたいだな。
――グロイザー許さん――
――地球人の恥――
――オレはあの異世界お邪魔しますシリーズ好きだけどな、やり方はともかく――
――異世界以前からコンビニで金払えばいいだろで店の中の物食い漁ってたよな、アイツら――
――おれの友人あのコンビニで働いてたけど本部からフランチャイズ切られたんだよあの後、被害者なのにな―
まあグロイザーとかいう連中、マジで評判が悪いのな。
「みんなぁ、ありがとう。グロイザーはいつか絶対にやっつけてやるんだからぁ」
アルカの声が少し明るくなったようだ。
どうやら人間にも少しは信用して良いのがいると思ったのかもな。
それよりオレ様はピザが食いたい。
ハコザキ、その配信とやらが終わったらピザを食わせろ。
「それじゃあみんな、チャンネル登録お願いねぇ。また次回会いましょおぉ」
――ミミッカちゃんさよならー――
――次回配信待ってます――
――グロイザーについてもっと調べとくね――
――さよならー――
そして配信とやらが終わった。
「アルカちゃん、お疲れ様。ほら、これ梅昆布味と明太風味、それにモンゴル岩塩」
「まったくぅ、アタシにこんなことやらせてぇ。まあ、少し楽しかったけどねぇ」
アルカはそう言ってハコザキからポテトチップの袋を取り上げると一人でパクパク食べ始めた。
オレ様も少し舌で何枚か取って食ってみたが、確かに美味いな。だが量少なすぎだろ。
もしオレ様が満足するまでこれを食べるとしたら袋五十個は必要だ。
だがずっとそのポテトチップばかりを食べ続けても飽きる。
だからやはりオレ様はピザだな。
「アルカちゃん、愚盧威座亜についてはボクも調べてみる、その上で今度絶対にやっつけよう! アルカちゃんの仇をとってあげるよ」
「本当にぃ? 絶対、絶対だからねぇ……」
まあ、直接そのグロイザーとやらを食うのはオレ様なんだがな、まあいい。
そしてハコザキがまた何か銀色の魔法具で文字を打ったり読み始めたようだ……。
何々? 何かハコザキに手紙が届いているようだな。
――ジャスティス様、お願いです。ホストクラブゴージャスのホスト、カズトを退治してください。わたしはアイツに人生を潰されてしまいました。アイツは女の心につけこみ、骨までしゃぶるクズです。騙されたわたしも悪かったのですが、アイツは……心理学を悪用して女を食い物にしているのです。お願いです、アイツの顔を二度と見れないレベルにして、仇を取ってください。――
骨までしゃぶる? そこまでやられてよく生きてられるなコイツ……。
オレ様は骨は噛み砕くけどな。
女を食い物に? いや、そりゃあエサは食い物だろう……。
その手紙を見たハコザキが何とも言えない表情をしていた。
隣ではポテトチップを食べながらアルカが怒っているな。
「ひどーい! 女の敵よねぇ、ソイツ。そんな奴ギリギリギリバツーンとねじ切れてしまえば良いのよぉ」
アルカよ、そのギリギリバツーンってどういう意味だ?
オレ様にもわけわからんぞ。
「困ったな、とりあえずこのカズトってのは後回しにしながら情報を手に入れた方が良いな。それよりもこないだの件をもう少し調べたらあのいじめられっ子をダンジョンに置き去りにした下村とかって女教師、かなりのクズみたいだな。結構被害者がいるみたいだ」
どうやらハコザキはオレ様の次のエサの候補を決めているようだな。
まあその前にピザを食わせろ。
「ハコザキ、オレ様はピザが食いたいのだ」
「わかりました、それじゃあ今から注文しますね。たまには別の店にしてみるか……」
そして少ししてピザが届いた。
「毎度ー、キングピザです。マルゲリータマルゲリータ三枚、それにパーティースペシャル四枚、和風シーフードカニスペシャル二枚、チキンファイヤー四枚、キングコンビネーション五枚お届けに参りましたー、付け合わせのフライドポテトパーティースペシャルも五人前です」
どうやらこのタクハイピザは前回の所とは別物らしい。