35 つよつよミミックの分身体(アバター)
オイオイ、ミミッカって何だよ。
オレ様の名前とアルカの名前を合わせたにしても、安直すぎだろ……。
だがどうやらオレ様の作ったイミテイトの魔法での分身体を使ったドーガとやらはかなり受けているようだ。
一応オレ様はこの世界の人間を食っているのでこの世界の文字も読める。
それを見ると……。
――可愛い――
――結婚して――
――俺の嫁――
――パンツ見せて――
――愛してます――
といった文字が大量に出ている。
意味はよくわからんが、恐怖や憎悪の感情はなさそうだな。
そして文字の読めないアルカの代わりにハコザキが説明してやってるみたいだが、可愛いと言われている事にアルカはかなり機嫌が良さそうだな。
「えー、ミミッカちゃんってそんなに可愛いぃ? やーだぁ、褒めても何も出ないわよぉ」
――最高!――
――ファンになります――
――掲示板からきますた――
――彼氏いるの?――
またわけのわからない文字の羅列だ。
ハコザキはオレ様のイミテイトの魔法の分身体とアルカの声を合わせて同時に動かさせているようだ。
「ミミッカちゃんは、まだはじめたばかりなのでなにもわかりませーん、みなさん色々教えてくださーいぃ」
どうやらハコザキの指示はアルカに直接の伝達魔法で伝えているらしい。
しかしアイツ、あれだけMP無いのにどうして伝達魔法使い放題なんだ??
普通あんなに伝達魔法を使えば、あっという間にMPが枯渇してしまうはず。
だがハコザキは常人が一日十回も使えばMP切れになるはずの伝達魔法をずっと使い続けている。
ひょっとしてアレがハコザキのスキルなのか??
「ミミッカちゃんはね、正義の味方なのぉ。だから悪い奴は許せないぃ! みんな、グロイザーとかったやつ知ってるぅ?」
ハコザキが焦っている、どうやらグロイザーの話は勝手にアルカが始めたらしい。
――グロイザーって異世界系迷惑配信者だろ――
――アレ評判悪いよね――
――ミミッカたんの敵はオレ達の敵!――
――でもリーダーのエックスってやつ、A級Dプレイヤーだったはずだぞ――
このドーガとやらは便利だな、聞きたい事を聞いたらすぐにそれについて詳しい奴が手紙を出してきた。
しかしこの手紙、紙もペンも無く何も無い場所に文字が浮いている、これも魔法の一種なのか。
「みんな、グロイザーのこと教えてくれてありがとう」
――ミミッカちゃんの好きな食べ物は何ですか?――
そんなのピザに決まってるだろうが! オレ様の分身体だぞ。
「えーとね、ミミッカちゃんが好きなのはね、ポテトチップスかな。のり塩とかコンソメとか美味しいよねー」
――おれコンソメ派――
――ぼくバター醤油派――
――塩一択――
――ここはピザ味にしておこうぜ――
お、ピザ味のポテトチップスなんてものがあるのか。
今度ハコザキに買って来させよう。
しかしこの分身体、ここまで人間達の受けがいいとはな。
今度これを使ってオトリを作ればエサを簡単に釣れるかもしれないな。
ハコザキが何かをアルカに伝えているようだ。
「みんな、ちょっと言いにくい事だけど、言っていいかな?」
――どうしたんだい?――
――おれたちミミッカちゃんの味方だぜ――
――そんなに悲しい顔しないで――
「実はね、ミミッカちゃん、家族をあのグロイザーに殺された異世界からの旅人なのぉ。だから、仇を摂りたくて……ジャスティスさんにお話をしたら、仲間にしてくれたのぉ。それでミミッカちゃんはジャスティスさんのチャンネルに出してもらったの。だから、グロイザーを倒す為にみんな協力してくれるかなぁ?」
――当然だ!――
――愚露威座亜ゆるすまじ――
――ジャスティスさんなら安心して任せられるな――
どうやらこのドーガをハコザキが作ったのは、情報収集の為みたいだな……。