3 つよつよミミックの食事
ザコ崎だと謎の配信者やる際に箱崎と身バレする可能性があるので彼のあだ名はザコに変更しました。
アルカはオレ様を両手で運んでどこかに連れて行こうとしている。
何というか、オレ様は無機物には変化できてもその場から動く事は出来ないのだ。
だからこうやって運んでもらう事で初めてオレ様はラスダン以外の場所に行く事が出来た。
途中で何匹かこのアルカを食べようとしたモンスターがいたが、そいつ等はオレ様が返り討ちにして食ってやった。
――しかしどれも不味かったな。
サイクロプス、レッサードラゴン、ナイトスケルトン、ロックゴーレム、キマイラ、どれもオレ様が食い飽きた奴ばかりだ。
肉は硬いわ生臭いわ……モンスターの肉ってあんなに不味かったっけ??
「ご主人様ぁ、ご主人様ってメチャクチャ強いんですねぇ」
「フン、あんなのオレ様のエサでしかない!」
「信じられませんよぉ、アタシ、あんなのに一人で出くわしたら絶対に勝てないですもん」
まあそんなこんなでオレ様はアルカに運んでもらい、最近盛況のダンジョンに連れてきて貰ったわけだ。
「ご主人様ぁ。ここが最近一番話題のダンジョンですぅ。どうやらここは異世界と繋がっていて、人間達がよく来る場所なんだそうですぅ」
言っている意味はよくわからんが、とにかく確かにここは人間の臭いがプンプンする。
ここなら思ったように人間を食えるかもしれないな、
そしてオレ様はアルカに好きにしていいと伝え、エサが来るのを待つ事にした。
「キャアアアー! 助けてぇえぇ!」
オイオイ、離れてすぐに泣き叫ぶって……アイツどれだけよわよわなんだよ……。
「へへへっ! 女型のモンスターだぜ、いつもみたいにいたぶって殺してやろうぜ!」
「そうだな、視聴者はメスモンスターを嬲り殺しにするのを楽しんでくれてるからな! おれたちってサービス心旺盛だよなー」
「オイ、ザコ! しっかり配信しておけ! 無能のテメーにはそれくらいしか出来ないんだからよ!!」
どうやら人間共がアルカを追いかけているようだ。
泣きべそをかいたアルカがオレ様の所に逃げ込んできた。
「お、宝箱だぜ! メスモンスターだけじゃなくてこれまでゲットって、オレ達ついてるよな!」
「そうだよな、まさかこんな浅い階にミミックが居るわけないしな! 今日はついてるぜ。オイ、ザコ! テメーはただ動画取ってるだけだから当然分け前は無しだからな、わかったか!」
「ハイ……わかりました」
どうやら人間の中にも序列とやらがあるみたいだな。
まあそんなのはどうでもいい、確かにアルカの言う通り人間を食い放題ってのは本当のようだな。
さあ、オレ様の蓋を開け。そうすれば一瞬で食ってやるからよ。
「それじゃあ、お宝とご対―面―」
バカな人間共がついにオレ様の蓋を開けやがった。
さあ、それじゃあ一度喜ばせてやろうか、モンスターを食った事でオレ様の魔力も少しは回復したからイミテイトの魔法くらいは使えるようになったからな。
――イミテイトの魔法――
つまりはニセモノの宝を相手に見せる事で本物の宝箱だと思い込ませる魔法だ。
これはレベルが上がれば上がるほど効果付属が出来て、偽物に呪いを付けて身につけて動けなくしてから食ったりする事も出来る。
残念ながら今のオレ様には偽物の宝を作って中にしまっておくくらいしか出来ないがな……。
「良いだろ、ザコ。テメーはそこで見ていろ、宝を手に入れたらあのメスモンスターを嬲るからそれまで待機してろよ」
箱に手を突っ込んできたバカの手を、オレ様は物凄い速さで閉めて噛みついた。
バグンッ!
「へ? どうなってんだ?? おれの手……おれの手……いでぇ……いでええよおおおお!!」
不味い肉だ。
コイツら、レベルも大して高くなさそうだな、さあ全員食ってやろう。
さあ、食事の時間だ。
「ひいいい、コレ……ミミックだ! た、助けてくれぇぇ」
だが腕を食われたヤツを助けようと言う仲間はいなかった。
さらにオレ様の方に向かって仲間を蹴り飛ばす奴がいた。
そしてコイツらがザコと呼んでいたヤツは……さっさと逃げだし、部屋の入口のドアを閉めてしまったようだ。
「ザコぉぉおっ! テメエェェエ! ぶっ殺してやる!!」
ぶっ殺す? むしろ今からオレ様のエサになるのはお前達だ。
オレ様は数人の人間を一気に貪り食った。
その様子を何か薄気味悪い笑いをしながら見つめている奴がいた。
あいつ等がザコと呼んでいた奴だ。
オレ様が食事を終わらせると、ザコは部屋を開けて中に入ってきた。
「素晴らしいです! とても良い映像が取れました」
「フン、どうした。お前もオレ様のエサになりに来たのか?」
「いえいえ、ボクは貴方様の部下になりたいのです」
コイツ、一体何を言っているんだ??