31 つよつよミミックの手加減
不快な声のエサはオレ様に右腕を食われ、倒れてわめいている。
だがオレ様が沈黙の魔法で声を奪ったので何も言えないようだ。
『ミミック様、お願いがあるんですが』
『おや、ハコザキか、お前……こんなスキル持っていたのか? MPも無いのに』
どうやらハコザキはどういう原理か分からないがオレ様と声を出さずに話すスキルを身に付けたようだ。
まあこのスキルは消費MP1なので乱発しなければ使い放題ではあるが……。
『ボクのことはどうでも良いですから、一度コイツの声を元に戻してもらえますか? 苦しんでいる声が無いと動画にしにくいんです……』
うーむ、イマイチ言っている意味がよく分からないが、まあ良いだろう。
オレ様は沈黙の魔法を解除してやった。
「……い……いでえよぉおお! 何でこんなことをするんだよ! オレが何をしたってんだ」
そこにあの変な仮面をかぶったハコザキが姿を現した。
「ジャスティスチャンネルの視聴者諸君、私が正義の配信者ジャスティスだ! 今からこの勘違いした勝ち組気取りのクズガキがお仕置きされるところを配信しようと思う。その前にこれを聞いてほしい」
そう言ってハコザキは先程のこのクソガキが話していた言葉を何かの魔道具で再現していた。
その声を聞いたクソガキが仮面をかぶったハコザキに詰め寄ろうとした。
「テメエ、嵌めやがったな! 何が正義の配信者だ! オレをこんな目にあわせやがって、オレの親父に言ってテメエをぶっ殺してやる!」
このクソガキ、ドアを閉めたハコザキに対して何かわめいているようだ。
「さて、このクソガキ、いじめていた相手の右腕と左足、それに目を潰した事をさぞ自慢げに言っていたので同じ目にあってもらおうと思うんだ。さあ、今からがショーの始まりだ!」
「テメエ、まさかこのミミックと組んでるのかよ。オレを騙しやがったな!」
煩い。まあハコザキに頼まれたように左足を奪ってやるか。
オレ様は具現化した斧を空中に作り上げ、その斧でこのバカガキの左足を一気に切り落とした!
「ギャアアアァアァアーッッ!! いだいっ いだいっいだだいいいいぃぃぃいいー!!」
左足を切り落とされたバカガキはその場に倒れたようだ。
「そんな、サッカーで国体行って活躍して女共を根こそぎモテない奴から奪うつもりだったにぃー」
コイツが何を言っているかはわからんが、まあお前はもう終わりだ。
さて、ついでに片目も奪ってやるか。
「ひ、ひいい、わるかった、悪かった……謝るから、だから、命ばかりは助けてくださいぃいい!!」
知るか、バカ。
オレ様は舌を鋭い針のようにし、先端から唾液を一気にバカガキの目に目掛けて撃ち込んだ。
「グギャアアアっ!! 熱い、痛い いたいいいいー」
さて、これでハコザキの言ったようにしてやったからな。
後はアイツの好きにやらせてやろう。
そのかわりこれが終わったらピザ食わせろよ。
「あらあら、金持ちに生まれて恵まれた体格を手に入れても、欠損が出てしまえばもう日常生活を送る事は出来ないね。下手すりゃ弱者と思っていた相手より最低の生活が待ってるんじゃないかな?」
「ずびばせん、よのなが……なめでまじた。おねがいしばず……命だけはたすけてぐだざい……」
まあ手加減しろと言っていたからこの程度にしてやったが、コイツ弱すぎだろ。
この程度でイキっていたなんてお笑い種も良いところだな。
「お前は殺さない、そのままここに放置していく。誰か親切な人がいたら助けてもらう事だな」
「ぞ、ぞんな……おでをみずでないでぐでぇえええ!!!」
まあそうは言いつつもここにモンスターが入らないようにしてくれとハコザキには頼まれているからな。
オレ様はまた普通の箱のフリをし、アルカがオレ様の体に触れた。
するとオレ様も透明になったので、そのままバカガキをここに放置し、オレ様とアルカ、それにハコザキはこの部屋から離れた。
部屋の中からはいつまでもバカガキの泣き続ける声が聞こえたが、煩かったのでもう一度沈黙の魔法をかけてから放置してやる事にした。