25 つよつよミミックの無茶振り
オレ様は無性にピザが食いたくなってきた。
どうやらハコザキが言うには、ケータイデンワやスマホという魔法具があればここでもピザをタクハイというやつが届けてくれるらしい。
ただし一度入り口まで戻らないといけないが。
「オイ、ハコザキ。一度ダンジョンの入り口に戻るぞ」
「え? もうですか??」
いきなりオレ様が戻ると言ったのでハコザキは驚いたようだ。
コイツ、もう少し先に進む予定だったらしい。
だが結局は戦えるのはオレ様だけなので、戦うのはオレ様だけという事になる。
だからオレ様が行かないと言えばコイツらは戻るしかないのだ。
「ピザが食いたくなった。本当はお前の家に戻るまで我慢するつもりだったが、焼いた肉を食ったらアレが無償に食いたくなってきてな」
「わ、わかりました。それじゃあ一旦入口への階段を探す事にします」
オレ様達は上に昇る階段を探した、その間に何回かモンスターに襲われたが、この回にいたモンスターはホブゴブリンにリザード、ポイズンフロッグ、マッドマッシュルームといった上の回よりも少し強いモンスターだった。
まあどんな奴が出てもオレ様に勝てるわけも無く、あっという間にオレ様の胃の中に収まったがな。
ハコザキは相変わらずオレ様の食事シーンを謎の道具を通して見ているようだ。
もう慣れたので特に質問もしなくなった。
まあどうやらこれをすればオレ様のピザを買う金になるらしい。
そういう事ならいくらでも協力してやろう。
ピザが食えるのならモンスターの相手なぞ何の問題も無い。
オレ様は次々と襲いかかるモンスターをハコザキの言うように武器や魔法を使って倒してやった。
どうやらオレ様の舌だけで倒すとどうもピザを買う金にならないらしい。
そういう事なら仕方ない、ここはハコザキのいう事を聞いてやるか。
ピザの為だ、少しくらいの事は目をつむってやろう。
そしてオレ様達はついに上の階層に戻る階段を見つけた。
アルカがどうにかオレ様を持ち上げ、上に昇ったが、ハコザキ……お前小さな女の子のアルカよりも力が無いってどれだけ弱いんだ??
オレ様達が扉を開くと、扉は奥側に開いた。
そしてオレ様達がその扉をくぐると、バンッというデカい音を立て、扉が閉まった。
この扉、オレ様が舌を伸ばして引っ張ろうとしてもまるでビクともしなかった。
オレ様の力がまだ全盛期に比べて足りないから引っ張っても開かないのか、それとも別の原因があるのか?
とにかく一方通行と言われた扉は開かずオレ様も諦めた。
さあ、とりあえず入り口に行くか、そこならピザを頼む事も出来るようだ。
ハコザキとアルカとオレ様はダンジョンの入り口にまで戻ってきた。
ここならデンパとやらが通じるらしく、あの魔法具でピザヤとやらに連絡できるらしい。
「毎度ありがとうございます、ピザマッドです」
「あ、あの……大変申し訳ありませんが、ピザの宅配をお願いしたいのですが、二十人前お願いします」
「二十人前ですね、承知いたしました。場所はどちらですか?」
「あの……それが、東京ダンジョンの入り口なんですが、大丈夫ですか?」
ハコザキはオレ様の命令通りにピザヤにピザを持ってくるように伝えた。
「ダンジョンの入り口なら大丈夫です。中にまで入らないですよね?」
「はい、入口まで戻ってきました、入口で大丈夫です。それではお客様の電話番号を……」
どうやらハコザキはピザの注文が出来たようだ。
ここでちょっと待っていればピザが届くというわけか……。
オレ様はピザが到着するまで少し眠る事にした
「毎度ありがとうございます、ピザマッドですー。ガリバタ醤油コンボ、辛辛テリヤキチキン、チーズてんこ盛りスペシャル、サラミまみれマックス、ハンバーグ鬼乗せ、それにジャンボマルゲリータお待たせしました」
どうやらオレ様の待ち望んだピザが到着したらしい。