24 つよつよミミックの魔法
「ひええええ、何だよ!? 何でミミックを冒険者が持っているんだよっ」
「こ、コイツまさか……最近噂の人食いミミックじゃないのか!?」
「それって、あの高島さんが食われたってヤツかよ!!」
煩い、黙れエサ共。
「って事はコレって、あのジャスティスとかいう奴の……?」
「マジかよ、おれたち先発隊なのに。本隊ならまだしもおれ達が勝てるわけがねーよっ」
フン、先程までとはまるで態度が違うな。
まあいい、オレ様の下僕であるアルカとハコザキを痛めつけてくれた礼はしてやろう。
さて、何のやり方でコイツらを痛めつけてやろうか……。
そうだ、生肉にも飽きてきたところだ、コイツらを魔法で焼いてやろう。
「ひええええ、に、逃げろぉぉぉぉお!」
男達は仲間を見捨てて逃げだそうとしている。
所詮コイツらはその程度の雑魚か。
「逃げられるとでも思っているのか、ファイアーボール!」
ボウゥッ!!
「ぎゃわっちっちいいいぃぃい!!」
オレ様は魔法使いや賢者と呼ばれる連中も食べた事がある。
ようやく腹が満たされてきた事でMPも戻ってきたオレ様は初期魔法である火炎魔法を逃げようとする男目掛けて放った。
男は一瞬で火だるまになり、隣にいる奴に助けを求めようとして、隣のやつも燃え移りそのままその場に倒れた。
肉の焼ける臭いがあたりに漂う。
うむ、火を通した肉を食ってみるとするか……。
オレ様はこんがりと焼けた男達を下で絡め取り、一気に口に放り込んだ。
バリバリゴリゴリ……ムシャ、クチャ……。
うむ、美味い。
火で通した肉も悪くはない。
ただちょっと火が強すぎたかも知れないが、焦げた部分は苦くてイマイチだったな。
「ひえええー、ゲルドン様が食われたー!!」
「に、逃げろ。エックス様にお伝えするんだ!!」
どうやらアイツら、どこかに逃げようというらしい。
まあ逃がしてやろう、ああいった連中は逃がしたからといってすぐに逃げていくとは限らない。
むしろ逃げた先で仲間を集めて徒党を組んで再び襲ってくるのは目に見えている。
「お、覚えていろっ!! 」
ああいった連中の言葉は単純だ。
どうせそういう事を言った後仲間を連れて戻ってくるのは見え見えだ。
だからこそ喰らい甲斐があるといったもんだがな。
「ミミック様、先程の魔法は?」
「ハコザキか、オレ様は魔法も使えるのだ。以前食った魔法使いや賢者と言われる連中の能力をラーニングしたからな!」
「凄いです! この魔法を使ってモンスターを倒した映像が撮れれば、助成金申請の動画が作れます」
どうやらハコザキが言うにはこの魔法を使ってモンスターを倒せばあのピザをたくさん食べる事が出来るらしい。
うむ、アレが食べられるというなら協力してやろうではないか。
あのマヨコーンとかいうのも捨てがたかったが……テリヤキチキンも捨てがたい。
カニスペシャルも良かったが激辛ハバネロボンバーも変わっていて美味かったな
ハコザキがオレ様の魔法を使うシーンを撮りたいと言っていたが、まあ良いだろう。
敵はゴブリン三体にホブゴブリン四体、それにゴブリンの亜種のデブゴブリンが五体か……。
よかろう、オレ様の魔法を見せてやろう!!
「さあ、消し飛べ! ファイアーボール! ファイアーボール!! ファイアーボール!!!」
「ゲギャアアアア―ッ!!」
ファイヤーボールに包まれたゴブリンが次々と引火して燃え広がっていく。
そして少し経つと、ゴブリンだった者達は消し炭になり、その場にいた者全てが燃え尽きた。
「ミミック様、とても良い映像が撮れました!」
「そうか、これでピザが食べられるのだな」
「はい、助成金申請出来ますから!」
「そうか、それではここでピザを食いたい。あのタクハイピザとかいう奴はどこにでも持ってくるんだったよな?」
「え? ま、まあ出来るとは思いますが……」
オレ様はピザを食いたくなったのでハコザキに用意させる事にした。