21 つよつよミミックの剣戟
とりあえずダンジョンに戻って来たオレ様達は中に入ってみた。
するといきなりモンスターに襲われた。
このダンジョン、どうやら弱肉強食らしく、モンスターの間でも生き死にの食い合い殺し合いが行われている。
オレ様達を襲ってきたのはゴブリン数体の群れだった。
「ミミック様、武器って使って戦えますか?」
「ハコザキ、それはどういう意味だ?」
「あくまでも人間がモンスターを倒したように擬態して倒す事は可能なのかと思いまして……」
コイツの言っている意味がまるで分からんが、まあようはコイツらを剣を使って倒せばいいのだろう。
「剣で良いか? それよりも剣は持っているのか?」
「一応、護身用の安物ですが……」
ハコザキはオレ様に剣を手渡してきた。
まあ何ともナマクラというか、ガラクタというか……いかにも安物の攻撃力の無さそうな剣をハコザキはオレ様に渡してきた。
まあオレ様にかかればこんな武器でもマスタークラスに使いこなせるがな!
オレ様は以前食べた剣士の十六連続斬りというスキルをその剣で舌を使ってゴブリン相手に再現しようとした。
パキィイイインッ!
オイッ! 脆すぎだろ! 何だよこの剣は。
ゴブリンを斬った瞬間折れたぞ。
まあ所詮よわよわのハコザキが持っていた剣だ、弱いのも仕方ない。
だがハコザキにコイツらを倒すと言った手前、ここで剣でゴブリンを倒さないと箔が付かん。
……そういえば、オレ様がラストダンジョンで喰らってラーニングした相手にソードマスターと呼ばれる最強クラスの剣士がいた。
オレ様はそのソードマスターと戦い、三日三晩死闘を繰り広げた。
――最後、勝負を分けたのは……ソイツの目に入った血だった。
一瞬ひるんだ隙を狙い、オレ様は鋭く槍状にした舌でそいつを貫き、倒した。
そういえばアイツ、死ぬ際に――ワタシの誇りであるこの剣、是非とも貰ってくれ――と言っていたな。
こんなナマクラよりよほど優れた剣だったが、オレ様はその剣を噛み砕いて食べた。
かなり噛み応えがあったが魔力と経験値をふんだんに蓄えた剣を食べた事で、オレ様は大幅にレベルアップしたもんだ。
そういえば、オレ様……以前食べた物を再現する事が可能だったはずだ。それならあの剣を再現することも出来るのでは?
オレ様はあの時の剣を思い出し、魔力を使って具現化させてみる事にした。
「な、何だあの剣は!?」
不思議な道具越しにオレ様の姿を覗いていたハコザキが驚いている。
まあオレ様の具現化した剣は、レジェンドクラスの剣だ。
「さて、オレ様のエサになれ!」
「ゲゲゲギャギャギャーッ!」
「ゲッッゲッゲッッ」
ゴブリンがハコザキとアルカの方に襲い掛かってきた。
「キャアアッ!」
アルカが頭を抱えてしゃがみこんでいる。
ハコザキはそんなアルカをかばおうとしていた。
仕方ないな、コイツらがいなくなったらエサを手に入れにくくなる。
オレ様が守ってやるしか無いな。
オレ様は舌に具現化したレジェンドソードを絡みつかせ、一気にゴブリンの群れを切り裂いた!
ズバシュッッ!
オレ様の一閃で数体のゴブリンの胴体と頭が離れた。
まあ食う時に細かくなっていれば食いやすくなるだけだ。
オレ様は舌を使い、ゴブリンの群れを一瞬で十六連続斬りで殲滅した。
瞬きする程度の時間にゴブリンは肉塊になり果て、オレ様の前を邪魔していた敵は全て消え去った。
ハコザキはそんなオレ様を先程から変な道具を通して覗いている。
マジで意味が分からん。
さて、ピザを食ったのも少し消化されてきたのでこのゴブリンを食ってやるか。
オレ様は舌を伸ばし、バラバラに切り裂かれたゴブリンを拾い集めた。
うむ、あまり美味くは無いがピザばかり食っていると他の物が食えなくなる。
それにあのやせ細ったネズミに比べればどんな奴でもまだ食えたもんだ。
オレ様は殲滅したゴブリンを捕食し、じっくりと噛み砕いて飲み込んだ。