16 つよつよミミックの宅配ピザ(ハコザキ視点)
ボクがミミック様の部下になって半月が過ぎた。
おかげで僕の生活は一変したと言える。
好きな時間に寝ていいし好きな時間に何をしてもいい。
ただし間違いなく逃げたら殺されるだろう……。
それにこのミミック、ものすごく強いので下手に逆らえば確実に死が待っている。
敵に回すと恐ろしい相手だが、もし身内だとするとこれほど心強い存在もいない。
なんせまず負けるわけが無いんだ。
本来ミミックなんてあのダンジョンで出てくるとしたら二十階より下だ。
この魔法生物のミミック、本来はA級モンスターと言われている。
魔法の使える上位種になるとAどころかS級モンスターだ。
このミミック、間違いなく魔法を使いこなすのでS級モンスターだと言える。
配信者でもトップクラスがようやくレベル20台後半だ。
レベル30以上なんて世界に何人いるかというくらいだろう。
だからもしこのミミックを敵にしてしまえば絶対的な死から逃れる事は不可能。
だから何が何でもボクは絶対に彼を怒らせるわけにはいかないんだ。
大高や高島くらいは言ってもまだ人間だ、ボクがいくらオール1のステータスでも死ぬほどの攻撃をされる事は無い。
散々半殺しにはされたが、何故か誰も僕を殺すとは言わない。
いや、殺そうとしても何故か生き残ったというべきか……。
まあ死んでいたらミミック様には会えなかったわけで、そういう意味では生き残れたのは悪運といえるのかな?
それとあのアルカって妖精の女の子、ボクと同じミミックの部下になった娘だ。
口は悪いけど可愛い子で、ボクにしたら妹みたいな感じだ。
でももし妹なんて言われたらあの子、嫌がるんだろうな。
アルカちゃんは透明化の魔法が使える。
あの魔法、使い方を上手く使えば復讐代行業に物凄く便利かもしれない……。
でもあの子が素直にボクに従ってくれるとはとても思えない。
だから、美味しい何かで釣ってみるのはどうかなとも思う。
女の子だから美味しいお菓子とか好きかも。
でもその為にはお金が無いと……。
さて、お金をどうにか手に入れてこよう。
大高のヤツに強制的にやらされていた助成金の申請がまさかこんな風に役に立つとは思わなかった。
口座はボクの口座にしておこう。
大高のヤツ、通帳の番号分かっていたから引き出してやろうと思ったら……まさか凍結とは。
まあアイツ、以前から出会い系サイトとかで警察にマークされていたからな。
このダンジョン配信の前に出会い系サイトの出し子やサクラで捕まらなかっただけ不幸中の幸いってとこかな。
ボクは申請書類に動画を添付し、国のダンジョン課にメールを送った。
毎月15日申請で次の月の10日にお金が入る形だ。
今回の申請は大高のヤツを15日までに申請差し替えで口座をボクの物にしておいた。
だからこの助成金は確実にボクの物になる。
ボクは銀行で口座の金額を確認した。
通帳の中身を見てボクは驚いた!!
一、十、百、千、万、十万、百万!?
そうか、ボクは申請だけやらされていたけど、実際の金の引き出しは大高とその手下がやっていたので実際の金額がどれくらいか分からなかったんだ。
これだけのお金があればホテル暮らしも出来る。
満喫での仕事前に呼ばれる生活とはおさらばだ。
最近はダンジョンにいたり、異世界での生活だったので中々風呂にも入れなくて、カロリー携帯食しかほとんど食べられなかった。
でもこれだけあれば一流ホテル暮らしをしながら、東京ダンジョンに挑むことも出来る!
ボクは一旦家に帰りたいとミミックに伝え、電車移動でアルカとミミックを連れて帰宅。
どうにか家から色々と用意する事にした。
しかしこの食いしん坊ミミック、何かエサを与えないと機嫌が悪そうだ。
人間をずっと用意するのも大変だし、ここはダンジョンじゃないからそんな物を食べさせるわけにもいかない。それなら……そうだ、何かこの世界の食べ物を食べさせてみよう。
ラーメン、寿司、ピザ、パン、ハンバーガー、色々な食べ物があるから、適当にいろいろ買って帰れば何かアイツの好物になりそうなものがあるだろう。
ボクは必要なアイテムと、大量の食べ物を買い、ミミックの待つ自分の家に戻った。