13 つよつよミミックの訪問(アルカ視点)
アタシがご主人様の下僕になって何日かが過ぎた。
彼はとっても強くてぇ.アタシがイジメられるようなモンスターを次々とあっという間に倒したの。
そんな中、アタシのことをイジメようとすると人間達に見つかってしまい、ご主人様に助けてもらったんだけど、そこで変な人間が仲間になっちゃったの!
ハコザキってヤツなんだけど、アタシコイツ嫌い。
見るからに頼りにならないし、それにアタシはお父さんからニンゲンがいかに信用できないか聞いている。
お父さんは村から出て人間のいる場所に出かけたんだって。
そこで靴を作ってニンゲンと生活してたこともあったみたい。
でもニンゲンはお父さんに靴を作らせるだけ作らせて、何の報酬もくれなかったって聞いた。
それでお父さんが怒ったらニンゲン達はお父さんをモンスターだと言って追いかけ回して殺そうとしたんだって……。
お父さんはそれで身体が悪くなってしまい、まともに動けなくなっちゃった。
それで亡くなるまでずっとニンゲンは信用するな。アイツらは絶対に裏切るって言ってたのぉ……。
だからニンゲンなんて信用できない!
どうせあのハコザキってヤツもいつか裏切るんだから、絶対信用しないからぁ。
それからアタシは信用しないままあのハコザキってヤツの様子を見ていた。
まあアタシが勝てなくても、あのミミックのものすごーく強いご主人様ならあんなニンゲンあっという間に殺してくれるだろうから……アイツがご主人様を怒らせれば終わるだけのことよね。
——でもアイツ、なかなかアタシの思い通りに動いてくれなかったの!
アイツ、どんな方法を使ってるのかわからないけど、ご主人様の所にきちんとエサになるニンゲンを連れてきてた。
それも気になったけど、アイツ……同じ仲間のはずなニンゲンをどうして平気でご主人様に差し出せるのかな?
アタシがもし同じ妖精のレプラコーンを連れてこいと言われても絶対にイヤっていうけどなぁ……。
でもアイツは平気でニンゲンのエサ連れてきた。
それでご主人様はあのハコザキを信用したのかもしれない。
アタシ、本当にアイツ信用して良いのかな……。
アイツ、仲間のはずのニンゲンすら平気でエサにしようとしている。
アタシにはとても信じられないけど……。
でもアイツはご主人様の方に従い、ニンゲンを喜んで連れてきている。
何かアタシとは違った考えがあるのかなぁ?
ハコザキはアタシの知ってるニンゲンとは何かが違う。
アタシのお父さんに聞いたニンゲンは、もっと偉そうで強く、イヤな奴らだった。
でもアイツ、他のニンゲンには偉そうな態度でエサにするけど普段はアタシにすらペコペコしてる。
下手すりゃアタシでも勝てるかもしれない。
でもアイツ、アタシのことバカにするからやっぱりイヤ!
何が——ボクの好きなのは胸の大きい女性だから興味はない——よ!
侮辱だわぁ! やっぱり大嫌い!
こうなったらアタシがご主人様に気に入られるようにして、アイツ追い出すか殺してもらおう。
そういえばアタシの家に何か凄いものあったはず。
アレを使えばハコザキのやつをアタシの力でも殺せるかもしれない……。
アタシはご主人様に一度村に帰りたいってお願いしてみることにした。
すると、ご主人様は帰っても良いけど一緒に連れて行けって言ってくれた。
助かったわぁ。こんなに面倒見のいいご主人様なんて、アタシ一人だったら途中でモンスターに殺されるかもしれないとこだったから。
でも、非力なアタシがご主人様を運ぶのはかなり大変。
そう思ってたらハコザキが何かを用意してくれた。
このダイシャってのにご主人様を乗せるとアタシの力でも簡単に押して運べるようになった。
おかげで途中は危険な目にあってもご主人様が全部モンスターを食べてくれたのでアタシは故郷の村に思ったより早く着くことが出来たの……。
でも、アタシの村はすでに何者かに焼き尽くされて全部が灰になっちゃってた……。