13 つよつよミミックの訪問
オレ様はアルカに台車に乗せられ、彼女の家に向かう事になった。
どうもハコザキが言うには、ずっとあの場所に同じミミックの箱があると警戒されやすいそうだ。
確かにそうかもしれないな。
オレ様のようなミミックはいきなり現れるから恐ろしく感じられる。
だが最初からどこに出没するとわかっていれば、それなりの対処方法もあるというわけだ。
確かに今のオレ様は少しは以前の力が戻ってきたとはいえ、まだレベル20後半から30くらいの力だ。
あのラスダンで冒険者や超絶強いモンスター入れ食いだった時のオレ様が98だとすれば半分どころか三分の一以下だ。
しかしその状態のオレ様でも余裕で食える異世界の人間ってのがどれくらい弱いかって事だろう。
まあ、ここにいるハコザキやアルカはその人間にすら負ける最低レベルなんだろうがな。
——まさかハコザキがオレ様と戦うなんて事、あるわけがない!——
そんなあり得ないくだらない事を考えるより、今はアルカの事を守ってやらんとな。
一応コイツらはオレの下僕だ。
他のくだらないモンスターや冒険者にくれてやるわけにはいかない。
お前のものはオレ様のもの、オレ様のものはオレ様のもの。
つまり今のアルカやハコザキはオレ様のものだ。
まあオレ様は食事の邪魔さえしなければアイツらが何をしようと認めてやっている。
食事以外にいらない事を考える必要が今はないからだ。
ハコザキがエサを連れてくる。
そしてアルカがオレ様の居場所を動かしてくれる
それでこの不思議なパーティーは成り立っている。
アルカの家はダンジョンを出て少し行った所にあるはずの妖精の村だった。
「なんで、なんでアタシの家が無いのお……?」
アルカが泣きそうな顔をしている。
オレ様達が村に入ると、そこは焼け落ちた村が残っているだけで、誰一人残っていなかった。
「誰か、誰かいないのぉ?? パパァ、ママァ……」
だが返事は無い。
どうやらこの村は何者かに燃やし尽くされたようだな。
だがまだこの村が燃えて日は経っていないようだ。
「これ、ひょっとしてプレイヤーの仕業かも!」
「ハコザキ、さらばどういう事だ?」
「たまにいるんだよ、ダンジョンに入って異世界側の出口から出てその世界で略奪する輩系の配信者って奴らがさ」
どうやら話を聞くとハコザキの世界の奴らにこの世界側の出口からダンジョンを出て略奪する奴らがいたという事らしい。
まあ、死人に口無しとはいうが、オレ様は食べた相手の記憶をラーニングする事も可能だ。
普段それを使うと食べる時の食べられた瞬間の感覚が入ってきてしまうのであまりやりたくは無いが、オレ様が食い殺した相手で無いならなんの問題もない。
オレ様はレプラコーンの焼死体に舌を伸ばし、一気に咀嚼した。
すると、コイツの殺された瞬間の記憶がオレ様の中に入ってきた。
「愚盧威座亜なんだこの名前は?
「ミミック様、それは配信者グループの名前です! 異世界冒険グループグロイザーという配信者達で、異世界で犯罪行為をやって視聴者数を稼いでいる奴らなんです」
それを聞いたアルカが激怒している。
「やはり人間達がやったのねっ! だから人間なんて大嫌いなのよぉ。ハコザキ! しばらく口きかないでっ!!」
ハコザキはアルカを慰めようとしていたようだが、立つ瀬が無いようだ。
とにかくここにいても意味は無そうだな。
「アルカ、一度ダンジョンに戻るぞ」
「はいぃ。わかりましたぁ、ご主人様ぁ」
アルカは再びオレ様の乗った台車を押し、ダンジョンの入り口に向かった。
途中で何度か襲ってきたモンスターがいたが、全部オレ様のエサにしてやった。
さあ、一旦ダンジョンに戻るか。
今のところはこのモンスターを食ったので腹はいっぱいだからエサには満足というとこか。
それよりそのグロイザーとかいう奴ら、何者なんだ?