10 つよつよミミックの寝起き
あーよく寝た。
昨日は久々に美味いメスを食えたのでオレ様はぐっすりと休んだ。
まあもし寝ていても蓋を開けるヤツがいたら目は覚ますんだがな。
そうじゃなければあのラスダンでは生き残れなかった。
今でこそ廃墟になって誰もいなかったが、魔王が生きていた頃はそれこそ冒険者入れ食い状態でいくらでも高レベルの人間を食えた。
特にレベルの高いメスは魔力が良いスパイスになって味だけでなく食べた後の付与効果が最高だったな!
魔力にスキルに体力回復、あの時代は良かった。
まあ魔王のヤツがくたばった事でオレ様は隠し部屋の一番奥にいたから人間どころか魔族すらオレ様の事に気が付かなかったくらいだ。
そういう意味ではあのアルカに感謝だな。
アイツがいなければオレ様はいつまでもあのラスダンの廃墟でエサの来るのを待ち続けて餓死してくたばっていたかもしれない。
まあ幸い今はアルカのおかげで人間の臭いのするダンジョンに引っ越し出来たからな。
それにハコザキ、アイツは弱いがオレ様のエサを連れてくるという点では優秀だ。
どうやら今日もオレ様のためにエサを連れてきたようだ。
だがこの臭い、メスではなさそうだな。
「オイ、ザコ! 本当にここに宝があるんやろうなー!?」
「はい、島崎さん、間違いありません!」
「それによー、ワシ機械が嫌いなんや。なんや面倒てかなわんわ。ザコ、おどれ本当にコレ映っとんやな? これでさっきのぶっ殺したゴブリンの分の金もらえるんやな!? 嘘やったらおどれこのドスの餌食やからな!」
どうやらハコザキが連れて来たエサは太った男みたいだな。
今回は一人だけか。
まああの太りようようなら脂はのってそうだな。
「ワシはなぁ、若い頃このドスで暴れ回ったんや。あの肉を突き刺す感覚、めっちゃ最高やったわ。腕切られたガキはピーピー泣いたったなー。めっちゃ楽しかったで」
「流石は島崎さんです! 若い頃から強かったんですね!」
ハコザキはあの太った男のご機嫌をとっている。
「ザコ、いくら勉強できてもこの世は腕っぷしや。おどれみたいなザコはいくら勉強できてもワシには勝てんのや。だからあんじょうその配信とやらでワシのパチ代用意せいや!」
シマザキとか言われてたデブは、疲れたらしく、オレの蓋を椅子にして座りやがった!!
ふざけんなよマジで……そろころ蓋を開けて食ってやるか。
おや? ハコザキのやつが姿を消した?
「え? なんでハコザキがいないのよぉ? アイツどこ行ったの??
どうやらアルカも姿を消したハコザキが気になるようだ。
まあ、アイツに逃げ出す勇気なんてあるわけがない。
さて、そろそろ蓋を開けて食ってやろう!
バクッ!
「な、なんじゃあ! ワ、ワシの足がー!それになんだこの暗さは!?」
おや、ハコザキのヤツがまた変な仮面をかぶって何かの道具を使っている。
「神出鬼没の配信者ジャスティス! 今回は凶悪犯のヤクザ、島崎武史のチャンネルに登場だ! この島崎、腕っぷしはあるが頭が悪く、機械が苦手だそうだ。どうやら手下に命じて動画配信を始めたらしいが、本人が全くやる気0! まあスマホどころかガラケーも使えない化石じゃ仕方ない!」
「その声、ザコか! 早よ助けんかい!! ここ真っ暗でかなわんわ!!」
煩い、オレ様の口の中で騒ぐな。
オレ様は脂身だらけの男を噛み砕いた。
「ぐげぇええ! たすけてぐでぇぇぇえ!」
バリゴリグチャクッチャクッチャ……。
うむ、やはり脂身が多いな。
まあこの脂身の多さ、オレ様は肉の多いほうが好みだな。
まあ、せっかくハコザキが用意してくれたんだ。
ここは文句は言うまい。
アルカはこいつの持っていた光る剣を見たが可愛くないって言ってたので、どうやらハコザキが手に入れたらしい。
まあ次のエサはもう少し脂身少なめで頼みたいものだ……。