75 つよつよミミックの挑発
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「あら、貴女がたはー?」
わたくしが尋ねると、その方々は不機嫌そうな声でわたくしを怒鳴りました。
「ふざけるんじゃないよ! アンタのせいでわたしたちがどれだけ被害被ったと思ってるのよ!」
「えー? わたくし何かしましたかー?」
「とぼけるんじゃないよ、アレだけメチャクチャやっておいて、よくもまぁそれだけシラを切れるもんだね」
あのー、そう言われてもわたくし全く何も覚えていないのですがー。
確かににぎやかなクラブってところに連れて行かれて、そこでお酒を飲んだ後、全く記憶が無いのですわ。
「アンタのせいでクラブはメチャクチャ、顧客リストは無くなるわ、何なのよアンタ、誰かに雇われた壊し屋か復讐代行者?」
「え? わたくし全くわからないんですがー」
この方々、何でそこまで怒ってるのでしょうかー?
わたくし、何かやったのですかー?
「あのー、フジムラ・ミサキ様ってどちら様ですか?」
「な、何でアンタその名前を知ってるのよ! そうか、コイツの正体が分かったわ。コイツ、こんなふざけたフリしていて、本当はイジメの復讐代行屋の工作員よ。そいつをさっさと閉じ込めなさい!」
あの、本当に良く分からないんですがー。
わたくしは知らない間にどこかの部屋に閉じ込められてしまいましたー。
◆
「遅い、アイツら一体何を考えているんだ。ピザが食えんだろうが!」
オレ様は学校とやらに行ったハコザキとアルカ、それにエスペランザの帰ってくるのを待っている。
もう今朝の分は食べた後で、今もうすぐ夕方だ。昼間の分は食うのを我慢しているが、せめて夜までには帰って来い。
そう思っていたらハコザキから魔力通話が届いた。
『大変だ、エスペランサさんが藤村に捕まった! ボク達が助ければ確かに助けれるけど、そこから外に出るのが難しそうだから、ボク達がエスペランサさんを助け出した後拠点移動魔法で一気にそっちに送ってくれないか!』
『わかった、すぐに連絡よこせよ』
オレ様としても早くハコザキ達に帰って来てもらわないとピザが食えないんだ。
少ししてハコザキから連絡があった。
『ボックス様、ボク達を魔法で家に戻してください!』
『わかった、少し待ってろ』
オレ様の拠点移動魔法でハコザキ、アルカ、エスペランサを家に呼び寄せた。
さあ、家に帰してやったんだからさっさとピザを俺様に食わせろ。
「ハコザキ、ピザをさっさと食わせろ」
「わかりました、でもその前にやることがあるんですけど待ってもらえますか?」
「なんだ、何をするというんだ?」
ハコザキはパソゴンとやらを使い、何かの文章を書いていた。
「よし、コレで藤村美沙妃のメールアドレスは手に入れた。コイツに顧客リストの事を伝えて東京ダンジョンに誘き出してやるんだ」
ほう、何かまたエサを誘き寄せる作戦か。
まあいいだろう、こういう際のハコザキは信頼できる。
「よし、食いついた! コレで、明日東京ダンジョンに藤村とその取り巻きを誘き寄せたぞ! アイツら、顧客リストを渡すと言ったら話に簡単に乗ってきたぞ」
「ハコザキ、ソイツをおびき寄せるという事はエサにしていいんだな」
「はい、ボクがそいつ等を顧客リストをエサにして呼び寄せますから、ボックス様はそいつ等を食べちゃって下さい!」
なるほど、そういう事か。
では今晩のピザは少し少なめにしておいた方が良いな。
「ハコザキ、今晩のピザは普段より少なめで良いぞ。明日のエサの為にな」
「えー。良いんですか? 今丁度おすすめのピザフェアが始まったとこなのに」
「う……うむ。だが久々のメスのエサなんだろう。それなら少し気合を入れて食いたいからな」
ハコザキの見せてくれたピザのチラシには、スモーク切り身ハラスいくらのサーモン四種のクワトロサーモン、和牛A4ハラミスペシャルと描かれている。
これマジで美味そうなんだが……今は我慢するか。
さあ、明日のエサの為に今日は少なめにしておこう。
しかし、あのチラシのやつ……マジで美味そうだったな。




