74 つよつよミミックの留守番(ハコザキ視点)
ボク達の見ている前で堂々といじめが起こった。
だが他の生徒がいじめられた女の子を助けようという気が無いのは見ててわかる。
「あらあらー、どうしたのかしら。ずぶ濡れじゃないですかー」
「ア、アンタ新入生の……」
「はい、エスペランサですわー。よろしくお願いしますわー」
ここのタイミングで現れたのは空気を読もうとしないエスペランサさんだった。
「あーし達この子と大事なお話があるんだけど、邪魔しないでくれる?」
「あらあらー。大事なお話っていじめのことですかー?」
「!!」
辺りの空気が凍りついた!
「い、いじめって……あーし達、バイトの話ししてたんだけどね。この子があーし達の友達の制服とブランド物のポーチ汚したから弁償のために……ね」
「あらあらー。そんな端金でよければわたくしが出してあげますのにー。その代わり条件がありますけどねー」
「条件……いったい何でしょうか?」
「わたくしとお友達になってくださいませー。わたくしこの学校来たばかりなのでお友達がいませんの」
エスペランサさん、何気に本当に女ボスパンドラの娘かもしれない。
彼女の有無を言わせないカリスマは天性のものだ。
いじめっ子達は完全にエスペランサさんの空気に飲まれていた。
「アンタ、何勝手なことやってるのよ!? アタシはその子にバイトを紹介してあげるって言ってんのよ。それを邪魔しないで!」
——こいつのこの焦りっぷり、これは間違いなく難癖つけてでも女の子を買春先に手渡すノルマがあるのだろう。そして、そのバイトの犠牲者が見つからなかった場合自らが相手させられるってわけだな。だから焦ってるのだろう。
「あらあらー、バイトしなくてもここでお金渡してあげてるのに、それじゃダメなのかしらー?」
「くっ、コイツ……そうね。それじゃあその子は見逃してあげてもいいわ。その代わりアナタがバイトやりなさいよ。そうね、簡単な短い時間の接客で高収入だから」
「わあ、面白そうですわー。それじゃあわたくしがお相手すればいいのですわねー」
「そ、そんな。わたしのせいで……」
エスペランサさんは何かワクワクしてるけど、まあ最悪は透明化したボク達が入り込んで助けてあげればいいか。
「決まりね、それじゃあアンタの携帯教えなさいよ。それに連絡するから!」
「あらあらー、実はわたくしスマホどころか携帯も持っていないのですわー」
これは明らかにウソだ。
でもエスペランサさんは何か考えているのかもしれない。
「仕方ないわね、あーしのシゴト用のスマホ一台貸すから、これで連絡取りなさいよ。今日の19時に学校の近くの駅のロータリー、ここに来るのよ!」
「はーい、わかりましたー」
さて、ボク達もエスペランサさんを追いかけるために19時に駅に行くか。
その前に家の入り口にピザ頼んで置いておいてもらおう。
『ボックス様、ボク達は少し帰りが遅くなるのでピザ注文しておきます。玄関に置くように言ってますからそのまま配達員返してあげてください』
『わかった、人間は食わずにピザだけ食えばいいんだな』
これでボックスが大人しくしてくれるだろうからボク達は安心してエスペランサさんの後を追いかけることが出来る。
さて、19時になる前に駅に向かおう。
そして、学校の最寄駅に19時に達着すると、制服姿のエスペランサさんがロータリーで待っていた。
待っている間にナンパ、スカウトされたのが10分の間に10人以上って、さすがは日本人離れした美貌というべきか。
そして、彼女が待っていると、高級そうな外車に乗った男が現れ、彼女を車に乗せた。
ボク達はタクシーを捕まえ、1万円札数枚を渡して運転手さんに伝えた。
「前の黒い外車を追いかけてください!」
「わ、わかりました。毎度ありがとうございます……」
さて、あの車……一体どこに行くんだろ?。




