73 つよつよミミックの潜伏(ハコザキ視点)
ボクはジャスティスとして依頼を受ける事にした。
いじめっ子のせいで自殺に追い込まれた女の子の母親からの依頼だ。
いじめをしていた側が大物の娘過ぎて普通なら泣き寝入りしか出来ない。
以前のボクなら依頼を受けるのも出来ないような相手だっただろう。
だけど、今のボクにはお金もあるし仲間もいる。
最強のミミックであるボックスが処刑役としていてくれるのは当然としても、透明化スキルの使えるアルカちゃんと一緒ならボクも透明化したまま藤村の悪事を調べる事も出来るし、藤村の学校にはエスペランサさんを入学させて様子を知る事も出来るというわけだ。
「ボックス様、とりあえずボクとアルカちゃんは藤村美紗妃とその周りを探ってみる事にします。それで、エスペランサさんには学生として学校に入学してもらいたいと思ってます」
「えー、わたくしですかー?」
「うん、でもエスペランサさんは本名そのままでいいのですか?」
「えーっと、お母様がわたくしを見つけたら連れ戻されてしまうかもしれないのでー、それ以外でいいでしょうかー」
まあやはりそうなるんだろうなとは思っていた。
裏口入学の金さえ渡せば偽名でもあの学校は受け入れるだろう。
それにもしバレそうになったら透明化して潜入してからパスワードを覚えて削除すれば良いわけだし。
そう考えるとこのチーム、ものすごく良いバランスをしているな。
ボクは能力オール1だから正直使い物にならないだろうけど、アルカちゃんの透明化スキルは本当に便利だ。
これさえあればどこにでも潜入可能。
この力を使って潜入すれば、いじめっ子の実態を調べる事も簡単に出来そうだ。
「それじゃあボクはターゲットを退治するための作戦を考えますね」
「ハコザキぃ、あたし、何していればいいのー?」
「そうだね、今はゲームやって遊んでていいよ。必要な時になったら言うから」
「はーい、わかったわぁ。それじゃあゲーム配信者アルカちゃんとしてゲームやってるわねぇ」
アルカちゃんはすっかりこの世界に馴染んだな。
最近じゃベッドでゴロゴロしながらポテトチップスやプリンを食べながらゲーム配信をしているのがすっかり彼女のスタイルになっている。
まあそれでも太らないのは妖精族だからなのかな?
最近の彼女は配信者として少しずつ人気が上がってきたようだ、マイナーゲームをプレイする美少女といった触れ込みみたいだな。
「ハコザキ様。わたくしはどうすればよろしいのでしょうか?」
「そうだね、ホームページで今度入学する学校の事調べてもらえるかな?」
ボクが彼女に入学させようとしているのは私立エスポワール学園。
ここは依頼者の娘さんが被害に遭ったという学校だ。
私立にしてはレベルが高い学校でそこそこの進学校、ここでエスペランサさんがきちんと入学できるかが問題だけど、ボクは買ってきた問題集を彼女に勉強させた。
それが、何と!! ほぼ全問正解!
ボクが高校受験の時なんて、ほぼ底辺高校にギリギリで入学できたくらいだというのに……。
そのせいで大高と中学からずっと引き続きいじめを喰らう事になったのだが。
だけどエスペランサさんはほぼパーフェクトに近い回答を出しているので、裏口入学をやる必要が無さそうだ……。
「エスペランサさん……何でこんな簡単に?」
「あらー、わたくし、一応休学中ですが本当は大学生なんですー。海外のブリタニカ大学ってご存じでしょうかー?」
――ブリタニカ大学!?――
世界最高峰の学校じゃないか!
そりゃあそんなところの学生ならこんな高校の問題なんて簡単すぎるんだろうな……。
ボクは改めて考えてみた、そういえば……エスペランサさんって外国人のはずなのに日本語ペラペラだ!
そう考えたらあの頭の良さも納得だな。
これなら編入試験に変な小細工をする事も無くエスペランサさんが入学できそうだ。
そして、一週間後、彼女の入学を許可する手紙がボク達の家に届いた。




