72 つよつよミミックのダンジョン挑戦(アルカ視点)
アタシはハコザキに言われてデジカメでご主人様とグリフォンの対決を映像に撮っていたのぉ。
でもハッキリ言ってレベルが違いすぎぃ!!
ご主人様が戦っていた相手はグリフォン、B級と呼ばれるかなり強いモンスター。
ライオンの体にワシの頭を持ち空を自在に飛べる怪物。
レベルの低い冒険者や妖精くらいなら圧倒されてエサにされる強敵なの。
だけど、ご主人様はそんな相手をたった一人で倒そうとしている。
グリフォンがけたたましく咆え、ご主人様に空から襲いかかった。
このグリフォンの空からの攻撃、上からの攻撃の反撃法を知らないご主人様は直撃を受けてしまう!
――でも、ご主人様は強かった。――
グリフォンの一撃を喰らう前に、ご主人様は舌を出し、長い舌でグリフォンの上空に飛び上がり、そして上空からグリフォンの翼をあの鋭い牙で噛み千切ったのぉ!!
翼を噛み千切られたグリフォンは空から落ち、そのタイミングを狙ったようにご主人様は舌を伸ばしてグリフォンの足を掴み、壁に目掛けて叩きつけた。
グリフォンの骨がバキバキと砕ける音が聞こえたと思ったら、ご主人様はその後何度もソイツを地面に叩きつけ、その後に噛みついた。
もう瀕死になっていたグリフォンはフラフラだったけど、ご主人様はそれにトドメを刺す為に魔法の詠唱をしていた。
そして、ご主人様の放ったファイヤーボールはグリフォンを火だるまにし、グリフォンはついに力尽きてしまった。
――本当にご主人様一人だけであのグリフォンを倒しちゃったぁ!!
「フン、この程度のザコ、オレ様の敵ではない!」
そう言ってご主人様は死体になった焼けたグリフォンを舌で引き千切り、空中に放り投げて口で受け止めて全部骨まで残さずに食べてしまった。
どうやらこの状態を動画にしていたのが視聴者達にはかなり受けたみたい。
「さあ、ここから下に向かうぞ!」
フロアボスを倒したご主人様がハコザキとアタシ、それにエスペランサを呼び、八階より下の階層への扉を開けた。
アタシ達はその階段から下の九階に降りた。
……すると、なんだか辺りがものすごく張り詰めた空気が伝わってきた。
見た感じ、今までの階層とはまるで違う。
ここまでくると普通に遭遇するモンスターですら二階や三階のエリアボスだったのがそのまま出てくるくらい。
オークリーダーとか、シニアコボルトとかブラディウルフとか、一番最初の時のアタシ達だったらすぐにでも殺されていたかもしれないレベルの敵ばかり!
でも、ご主人様はそんな奴らを通りすがりに全部倒していく。
それも一気に絡め取ってそのまま口の中、流石に恐怖を感じたモンスターがそのまま逃げだすくらい。
流石はご主人様、レベルがまるで違うわ!
アタシ達はそのまま九階のフロアボス、ロックゴーレムに遭遇。
でもご主人様はそのロックゴーレムを一撃で粉砕し、そのコアを砕いちゃった!
「流石に今のオレ様はこの岩石を食う程悪食ではない!」
そう言っていたので、ご主人様とアタシ達はそのまま地下十階に降りた。
この地下十階のフロアボスはスケルトンナイトだった。
コイツ、B級モンスターじゃない、A級モンスターだ!!
でも、ご主人様はスケルトンナイトを舌で粉砕、ファイヤーボールであっという間に消し炭にしてしまった……。
「弱い、もっと手ごたえのある奴はいないのか!?」
ご主人様が叫んでいる。
そして、更に十一階、このフロアのボスはデスプラント。
ご主人様がちょっと怯んだような様子だったけど、でもその後あっという間に舌で絡め取って引き千切って花も実も茎も全部食べちゃった。
「不味い……やはり植物系のモンスターにロクな奴はいないな……」
ご主人様がそう愚痴っていた。
なんだかんだでアタシ達はそのまま十二階に到着した。
このフロアボスはオバケムカデだった。
でもご主人様はそれも問題無く引き千切り、ムカデの殻ごと噛み砕いて食べちゃったぁ!