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【30万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
3章 婚約者候補、来訪

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自己紹介しよっか?

 ターナが突然、背中から後ろ向きに倒れる。


 「‥‥‥神経、毒ッ」


 「ターナっ!!」


 尋常ではないターナの声に緊迫感を覚えたアイトはすぐに立ち上がって走り寄る。



 「油断大敵♪」


 「ッ!?」


 だがアイトの近くで倒れていた男が一瞬で詰め寄りアイトを蹴飛ばす。アイトは地面を転がった。


 「ん〜、仮面くんを狙ったんだけどねぇ。

  ま、少女ちゃんでも良いや。話が聞ければよし♪」


 「なんだお前っっ!!!」


 「動かない方がいいと思うよ?

  動けば少女ちゃんの首斬りショー開催だ♪」


 「ッ‥‥‥」


 覆面の男は動けないターナの首にナイフを突き付ける。アイトは動くことができず、歯痒さに歯を噛み締める。


 「ま、せっかくだし自己紹介しよっか?」


 男はそう言うと被っていた覆面を投げ捨てる。銀髪で顔立ちが整った青年だった。だが笑顔の奥に謎の不気味さが感じられる。


 「!! セバスが、言っていた‥‥‥」


 「あらら。やっぱりもう知られていたわけね。

  ぼくはゴートゥーヘル最高幹部『深淵アビス

  第二席、エレミヤ・アマド。以外お見知り置きを♪」


 「ふざけんなっ!! ターナを離せ!!!」


 エレミヤの態度が気に食わないアイトは大声を出す。


 「ノンノン、これから話を聞くんだから。

  大丈夫、殺しはしない。

  意味もなく殺すのはぼくのポリシーに欠けるんだ」


 「‥‥‥そうかっ!」


 「?」


 返事とは少し違うアイトの大声にエレミヤは首を傾げる。



 「お前っ!! 1年半前のヨファ誘拐の犯人だろっ!」



           「‥‥‥!!!」


 アイトの言葉にターナは息を呑む。アイトはやっと気がついたのだ。


 一年半前、ターナの弟であるヨファ誘拐の犯人は2人。1人はミストに化けていた金髪の女だったが、もう1人の銀髪仮面がまだ見つかっていなかったことに。


 「おや? なんでそんなことを知ってるんだい?

  確かにあの時こちらの弟さんを攫ったのはぼくだよ」


 「‥‥‥き、さまっ!! 殺すっ!!!」


 ターナはエレミヤを睨みつける。暗殺者の睨みには確かな意志の強さがあった。


 「おやおや、普通なら数日は昏倒する神経毒を受けて

  よく口が回るね。さすが元、いや今も暗殺者か♪」


 「ふざ、けるな‥‥‥!!」


 ターナは必死に身体を動かそうとするが、1ミリも動かない。


 「そろそろおしゃべりも飽きたし、さよなら〜♪

  この子は用が済んだら王国に届けておくからね」


 エレミヤがそう言った途端に足元から消え始める。


 (転移っ!!)


 アイトは【血液凝固】を両足に発動して必死に詰め寄る。そして懸命に手を伸ばす。



        「ターナッッ!!!!!」



         「‥‥‥来る、なっ」



 ターナがそう口にした途端、エレミヤとターナはその場から姿を消していた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ユリアの部屋。


 エリスは魔結晶の通信を受ける。


 『エリス!!』


 相手はアイトだった。エリスは内心喜ぶ。


 「レスタ様! どうかされましたか?」


 『魔眼の【探知】でターナの現在地を伝えろ!

  いいか!! 今すぐだ!!』


 「え? どういうことで」


 『早くッッ!!!』


 「わ、わかりました!」


 エリスは勇者の魔眼の力、【探知】を使って探り出したターナの魔力が示す場所をアイトに伝えた。


 アイトは場所を聞いた途端、不躾に連絡を切った。アイトの様子が明らかに普通ではないことを感じた。


 「カンナ! 私、少し外に出てきます!

  何かあったら伝えますので!」


 「え!? ちょっと待ってエリスーー!!」


 「エリスさん!?」


 2人の言葉を聞かず、エリスは窓から外へ飛び出した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ターナが連れ去られてから30分。


 謎の洞穴。


 ターナは連れ去られた後に魔力封じの手錠をかけられ手足を拘束される。そして椅子に座らされて今は尋問されていた。


 「アライヤ・ベネットの洗脳に気づいたのは誰だ?

  あれは普通なら気づかない微量な魔力だった。

  術者はそれだけが取り柄の部下だったんだ。

  君の仲間に【勇者の魔眼】持ちがいるんでしょ?」


 「‥‥‥」


 「あれ? だんまりかな?」


 「ッ!!!!」


 「痛いでしょ? でも身体に傷は残らない。

  ぼくは優しいんだ。文字通り心に響くだろ?」


 エレミヤが紫色のオーラを纏った右手でターナを殴った。だが本人が言った通り外傷は一切無かった。このやりとりがしばらく続いた。




 10分後。


 「‥‥‥」


 「う〜ん、やっぱり痛みじゃ口を割らないみたいだね。

  さすが暗殺者と言ったところかな」


 「‥‥‥」


 エレミヤは部下3人と共にターナに尋問するが一切口を割らない。


 エレミヤの魔法により、外見からすればターナは傷一つもついていない。だが、精神的には確かな負荷があった。


 「ま、いいさ。時間はまだある。

  それに、そろそろ来るでしょ。仮面くんが」


 「!!!」


 「勇者の末裔が仲間にいるなら手錠をかけるまでに

  君の魔力を探知しているだろう。

  来れば君の仲間に勇者の末裔がいることは確実。

  もしかすれば仮面くん自体が勇者の末裔かもね」


 『ゴートゥーヘル』は聖者の血を悪用して世界に混沌をもたらすことが目的。ターナはそのことを深く再理解した。


 (‥‥‥こいつ、キレ者だ。『ゴートゥーヘル』にも厄介な奴がいたなッ。レスタ、来るな‥‥‥!!)


 ターナは、ただ祈る事しかできなかった。

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