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【30万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
2章 ギルド連携魔物討伐体験

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全部話してください

 昼休み終了直前。


 シロアはアイトを連れて学園の玄関に転移する。それぞれ別の教室に向かうため別れたが、シロアはアイトと別れるのを少し渋った。


 そのため授業が始まるまでの猶予がギリギリとなった。


 アイトは急いで1年Dクラスの教室に入る。


 入った途端凄まじい視線に晒された。その視線にはギルバート、クラリッサ、ポーラも含まれていた。


 (そりゃあ、目立つよなぁ)


 こうして目立ちながら授業を受けるアイトだった。




 「おい! 急にあの先輩とどこに行ったんだ!?」


 授業が終わった直後に興味津々なギルバートに質問される。


 「やっぱ話さないといけないよなぁ」


 「当たり前だ! 誰とも関わらないって噂の

  あの『時の幻影(クロノ・ファントム)』に連れて行かれたって

  話題になってんぞ!?

  やっぱり昨日の一件が関係してんのか??」


 「‥‥‥まあ、そう」


 「詳しく聞きたいわね」


 「はい。さすがに気になります」


 いつもの女子2人がアイトに近づく。


 「クラリッサとポーラまで‥‥‥わかった。

  放課後に話すから。それまでは人目があるから

  聞かないでくれ」


 クラスメイトからの凄まじい注目を浴びながらため息をつくアイトだった。





 「「先輩と共闘して魔族を倒した!?」」


 「あ、ああ」


 「「それでさっきは先輩と食事した!?」」


 「うん、そうだけど」


 ギルバートとクラリッサが息を合わせて驚く。


 「まさかそんなことがあったなんて、

  やっぱりアイトくんはすごい人なんですね」


 「ポーラ? そんな目をキラキラさせなくていいぞ??」


 「‥‥‥ハッ! ま、まさか! そういうこと!?

  ‥‥‥アイト!!!」


 「な、なんだよ」


 クラリッサが大声を上げて近づいてきて驚くアイト。


 「いい? 先輩と何かあったらすぐにあたしに教えて。

  些細なことでもいい。とにかく教えて」


 「な、なんで?」


 「それは‥‥‥謎に包まれてる先輩を知るためよ!!

  もし何か一緒に活動する機会がある時にその話が

  役に立つかもしれない! そうでしょ!?」


 「は、はあ」


 「いい!? わかった!?」


 「は、はい」


 クラリッサの凄まじい圧にアイトは首を縦に振るしかなかった。


 ポーラに続いてクラリッサが目を輝かせる。アイトは全く気づいてない。


 「‥‥‥クラリッサさん。私にも協力させてください!」


 「ポーラ! アンタわかってるわね!!

  一緒にサポートしていきましょ!!」


 「「はあ??」」


 アイトとギルバートの声が被るのだった。




 それからも教室で話していると。


 「失礼します。 あ、アイトくん! 見つけました!」


 ユリアが息を切らした様子でDクラスの教室にやって来た後、アイトたちに駆け寄る。


 「ゆ、ユリア? なんでここに?」


 「あ。言うの忘れてたが昼休みにお前がいなくなった後

  ユリア王女がこの教室に訪ねてきたんだよ。

  お前はいるかってな。だから今はいない、放課後に

  教室に来てもらえれば会えるって言っておいた」


 「ギルバート!? なんでそれを先に言わない!?」


 「だから忘れてたんだって!」


 「クラリッサ、ポーラも! 言ってくれよ!」


 「クラリッサさんにアイトくんを驚かせたいから

  言わないでって口止めされてました」


 「‥‥‥しゅ〜〜」


 (口笛って異世界でもあるんだな)


 目を逸らしながら口笛を吹こうとして全く吹けないクラリッサに問い詰めるのをアイトは諦めた。


 「あの‥‥‥3人の方には申し訳ないのですが、

  少しアイトくんをお借りしてよろしいですか?」


 「! も、ももちろん良いですことよおお王女様!!」


 「あ、あの。できれば敬語はやめていただけると‥‥‥

  それと王女呼びもやめていただけると」


 「わかったぜ! ちなみにコイツはただの人見知り

  コミュ障だから気にしなくていいぞ!」


 「は、はぁ!? だれがコミュ症よ!!」


 「不要な文字が増えまくってるお前に言ってるが!?」


 いつもの2人の言い合いが始まったのをアイトとポーラは無視しながら話を続ける。


 「ゆ、ユリアさん。今のうちですよ。

  あ、気にしないでください。私、いつも敬語なので」


 「ポーラさん‥‥‥ありがとうございます!

  それじゃあアイトくん、ついてきてください!!」


 「お、おいちょっと?」


 ユリアはアイトの右腕を掴んで教室を出ていく。


 ポーラは2人の口喧嘩を止めることなく眺めているのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 学園の屋上。


 「おい、ユリア? どこまで行くんだ?」


 アイトの質問にユリアは答えることなく、2人は学園の屋上に来ていた。


 「あれ? ここって普段開いてないよな?」


 「王族権限で鍵をもらって来ました」


 ユリアはそう言うとスカートのポケットから鍵を取り出す。


 (そんなことに権限使わなくても‥‥‥)


 ユリアが屋上の扉の鍵を開けて入っていく。アイトも続いて入って行った後、ユリアはすぐに扉に鍵をかけた。


 「これで大丈夫ですね」


 ユリアがアイトの方を向いて話し始める。


 「アイトくん、昨日のケガは大丈夫ですか?」


 「え? 話ってそれ? 今も痛いけど大丈夫だぞ」


 アイトは自分の左肩に手を置く。


 「まだ治ってないですよね?」


 「まあ、しばらく時間がかかるって、ユリア?」


 アイトはユリアが急に自分の方へ急接近したため少し驚く。


 「すいません失礼します」


 ユリアはアイトの左肩に右手を近づけ、唱える。



           「【ヒール】」



 ユリアの右手から魔法が発動。アイトの左肩に緑色の光が覆う。


 「あ!! 痛くない!! 治った!?」


 アイトは左腕をブンブン回し始める。


 「よかったです。本当は昨日の時点ですぐにでも

  治したかったんですが、人目があったので」


 「ありがとうユリア!!

  ていうか、ユリアって治癒魔法つかえるんだ!」


 アイトは驚きでユリアの両肩を掴む。


 治癒魔法は高い適性がないと使えない。時空魔法に並ぶ希少魔法である。


 《エルジュ》の中でも治癒魔法を使える者は1人もいなかった。それほど治癒魔法の使い手は貴重な存在なのである。


 「は、はい‥‥‥わたしが治癒魔法を使えることは

  家族以外だれも知りません」


 ユリアは少し顔を赤くした。秘密を明かしたからだけではないのは誰の目にも明らかである。


 (さすが賢者の魔眼持ちだなあ)


 アイトはそんなことを考えていたため今の状況をあまり意識していなかった。


 「ん? それなら、俺に知られてもよかったの?」


 「アイトくんは、わたしのヒーローですから!」


 「そ、そう」


 (答えになってないんだよなあ‥‥‥)


 アイトはユリアからの絶対的な信頼に苦笑いを浮かべる。


 「あ、だから人目がない屋上に来たわけか」


 「はい、それもあるんですが‥‥‥もう1つありまして」


 ユリアは顔を少し下げて両手をもじもじさせる。その様子を見たアイトは何を言われるんだろうと身構えた。


 「な、なに?」


 「昨日の件、わたしに全部話してくださいっっ!!」


 「ふぇ?」


 予想外のお願いに声が漏れてしまう。


 「アイトくんが昨日何か動いていたのは知ってます。

  私、そのことが気になって夜も眠れませんでした!

  ぜひ、昨日の活動を教えてくださいっ!!」


 「‥‥‥あ」


 アイトはそう言われてユリアの両目の下に隈ができていることに気づいた。


 「えぇ〜‥‥‥別にたいしたことないぞ?

  本当に森の中で迷っていただけだし」


 アイトは事実を述べた。アイトたちが森に迷い込んだことが昨日の騒動の全ての原因である。だが。


 「またまたぁ!! 絶対何かありましたよね!!

  私に隠す必要なんてないですよぉ〜!」


 ユリアはアイトが何か隠していると解釈した。手をブンブンしながら「またまた謙遜を〜!」といった様子を見せる。


 (うん、周りの人は俺をどう評価してるんだ?)


 アイトは真っ先に金髪ハーフエルフこと勇者の末裔の顔が浮かんだが首を振って意識を戻す。


 「昨日は、ーーーーーーーーーー」


 こうしてアイトはユリアに昨日の出来事を説明した後。


 「あ、アイトくん、お願いがありますっ!」


 (また何か言うつもりだっ!?)


 さらに目をキラキラさせて迫ってくる王女に今度こそ苦労することになる。

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