わたしも混ぜてくださいよぉ〜
(あれは、カイル??)
アイト上空からそのままゆっくりと落ちていくカイルを見る。
(もしかして魔族を倒してくれたか!?
早くギルバートたちに合流しないと!)
『聞こえますか! レスタさん!』
魔結晶からオリバーの声が聞こえてくる。
「オリバー? どうした?」
『レスタさんとパーティ組んでた2人は
1年生が集まっている方に行かせました!
あの2人には上手く言っておきました!
後からレスタさんが着いても問題ありません!』
(おい!? 何勝手に合流を阻止してんの!?)
『これでレスタさん、動きやすくなりましたよね。
今から何か行動するんですよね?
そのために森に入った。そうですよね?』
(いや本当に迷ってただけですけど!?)
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オリバーがアイトに連絡する少し前。
「よっしゃぁぁぁぁ!!! 外に出たァァァァ!!」
「やっと着いた!! ってポーラとアイトどこ!?」
「いねえじゃねえか!!」
ギルバートとクラリッサが森から抜け出した。だがアイトたちは見当たらない。
「あ、生徒さんの方ですね」
オリバーは2人に話しかける。
「あ、ギルドの人か!?
オレたちと同じ制服を着た男女を見なかったか!
え〜と、男が黒髪で女が藍色の髪をしたやつ!!」
「み、み、みま、見まませんでした、か?」
「あ、その2人なら先に1年生の皆さんが集まってる所を
教えて向かわせました。今森の中には魔族がいると
報告を受けて僕たちが調査しています。
お2人に渡した地図をお渡ししますので、どうぞ」
オリバーは行き方を記した地図をギルバートとクラリッサに渡す。ただし、かなりの遠回りの道のりを記した地図を。
「助かった!! サンキューな!
あんたたちも気をつけてくれ!!」
「ありりりがが、ありがと、うございましたっ」
2人は何も疑うことなく遠回りの道のりへ向かっていった。
「ふう、あとはレスタさんが彼らより先に着けば」
この後にオリバーはアイトに連絡するのだった。
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「遠回りの道を記した地図を渡しましたので、
レスタさんは目的が済んだら
彼らが着くまでに先に到着してください」
(そんな無茶な!!?)
「‥‥‥ああ。助かる」
だがアイトは感謝の言葉を述べるしかなかった。みんなが思っているイメージとはどんどんかけ離れていく。
『それでは僕は1年生の方を見てくるので』
「ああ、頼む」
オリバーとの連絡を終えると同時にアイトは今までよりも速い速度で走り続ける。
(おいおい!? 急がないとやばい!!!)
だがずっと走ってきたおかけで、もう少しで森から出ようとしていた。
(俺がここにいた目的はあとで適当に
でっち上げるとして、今はとにかくギルバートと
クラリッサよりも先に着くしかない!!)
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ギルド連携魔物討伐体験が始まった平原。
1年生たちは担当教師の指示で各クラスで集まっている最中。
「!? ギルバートたちの班がいない!?
ギルバート・カルス、アイト・ディスローグ、
クラリッサ・リーセル、ポーラ・ベルを
見た生徒はいないか!?」
1年Dクラスの担任が大きな声をあげる。
その声は1年Aクラス、第2王女ユリア・グロッサにまで届いていた。
(アイトくんの班がいない‥‥‥?
あ! まさか銀髪仮面モードの活動ですか!?
良いなぁ〜!! ずるいです! 羨ましい!
わたしも混ぜてくださいよぉ〜アイトく〜ん!!)
心配よりも好奇心が圧倒的に上回るお転婆王女ユリアだった。
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「よし、森から出た!!」
思わず声が出てしまうアイト。森から出ただけで達成感は段違いだった。
(とりあえず今は仕方ないから空を飛んで、
1年生のみんなが見えてきたらそこから走ろう!)
アイトが次の計画を立てていると。
「!?」
(横からレーザー!?)
アイトは寝ているポーラを抱えたまま咄嗟に避けるもバランスが崩れ、ポーラと共に地面に倒れてしまう。
通り抜けたレーザーは2人の上を通り抜けて、爆散した。
「ほう? よく避けたな? なかなかの身のこなしだ」
そう言いながら歩きながら近づいてくるのは屈強な肉体を持つ魔族。
(コイツ、なかなかできるぞ)
「部下2人の生体反応が突然消えた。
様子を見にきたら、少女1人を抱えた
少年が森から出てきたものでな。
興味本位でつい攻撃してしまった」
(部下‥‥‥さっき上から攻撃してきた魔族のことか!)
アイトはポーラを抱えて立ち上がる。ポーラはまだ目を覚まさない。
(くそっ、ポーラを抱えたまま戦うのは厳しいし
アクアたちを呼ぶ時間を与えてくれるとは思えない。
こっちはただでさえ急がないといけないのに。
クソッ、どうすればいい‥‥‥!!)
「考え込んでるところ悪いが、容赦はせん!!!」
「!!」
魔族が猛スピードでアイトに突っ込む。両手が塞がっているアイトは構えを取ることができない。
(やばい! 後手に回った‥‥‥!?)
アイトは不思議な光景を目の当たりにする。
自分の近くの地面に魔法陣が浮かび、輝き出す。そして魔法陣の上に1人の人間が現れる。
「ガッ!!」
そして次の瞬間には魔族の前に移動し顔面を何かで殴る。魔族は後方に吹き飛んだ。
アイトは魔族を殴った人間に視線を向ける。
両手には手を保護するグローブを付けていて、右手には長さ30センチほどで作られた金属製の棒を持っている。
そして《ルーライト》の騎士制服を着た、薄桃色の髪で背の低い女の子。
「‥‥‥(ふうっ)」
「クロート先輩!?」
3年Aクラス、シロア・クロートだった。