表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
2章 ギルド連携魔物討伐体験

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/407

ちょっと言い過ぎよ?

 ギルバートとの再戦から、3日後。


「5日後に『ギルド連携魔物討伐体験』があります。それまでに、4人以上の討伐班を作ってください」


 先生の話が終わり、休み時間。

 アイトは立ち上がって、ギルバートに話しかける。


「なあ、ギルバートってどんな魔法を使うんだ?」


「オレか? オレが得意なのは振動魔法だ。自分を強化して大剣でねじ伏せるスタイルだ」


「おお、なんかカッコいい」


「だろ!?」


 アイトは今、確実に学園生活を満喫していた。少なくとも、本人はそう確信している。


「ギルはね、大剣振るしか脳がないのよ」


「うるせえ!」


 そしてアイト、ギルバート、クラリスが休み時間に楽しく談笑する。今は3人でいるのが当たり前となっていた。


(友達、バンザイ!!!!!)


 アイトは友人ができたことに浮かれていて、周りの視線に気づいていない。



『あれ、大剣使いのギルバートくんだよね』


『それと、1回戦で敗れたアイトくんだね』


『なんであんなに仲良いんだろ?』


『なんでだろうね』


『クラリッサさんって、どっちが本命なんだろう』


『間違いなくギルバートくんだよ。アイトくんがあの輪に入る前から、一緒にいたもん』


『ギルバートくんとクラリッサさんって幼なじみらしいよ』


『え〜! 何かあやしい匂いがする!!』



 そんな噂話も、アイトたちの耳には届いていなかった。


「もうすぐある『ギルド連携魔物討伐体験』。アイト、もちろん同じ班を組むよな!!」


「え! 良いの!?」


「あたぼうよ!! 俺たちが組めば無敵だ!!」


「「はっはっはっはっ!!」」


「あんたたちね‥‥‥さすがに場を気にしてよ」


 肩を組み始めて笑い出す2人に、クラリッサが呆れながら嗜める。


「リーセルさんも同じ班だよね?」


 アイトは確認するように尋ねる。すると、彼女は両手を前に出して慌て始めた。


「うぇ? え、え、う、うん。そ、そ、そうよ?」


「??」


「ああ、悪いアイト。こいつ人見知りでよ。慣れるまで我慢してやってくれ」


 疑問が浮かぶアイトに対し、ギルバートが理由を説明する。クラリッサにとって、あまりに残酷な理由を。


「は、はあ!? そ、そんなんじゃないし!」


「はあ、めんどくせえ」


「あんたに言われたくないわよ!!」


「アア!?」


(2人とも、とっても仲良いなぁ)


 アイトは目を細めながら2人を見守る。友人ができたことで、アイトは完全に浮かれていた。


「‥‥‥そういえば、討伐班って4人以上って言ってたけど。あと1人は誰?」


 アイトはふと、気になっていた事を質問する。


「「‥‥‥あっ!!!」」


 すると言い合っていた2人が、同時に声を出す。まさに、今気付いたと言わんばかりの反応で。


(‥‥‥あと1人、どうしよう)


 アイトは、新たな悩みが浮上した。




 昼休み。

 アイトたちは教室で話をする。それは当然、討伐班を作るにあたって、あと1人をどうするかという件について。


「おい、どうするよ!? オレには他に誘うアテなんて無えぞ! クラリス、は‥‥‥オレたち以外に話せないもんな」


「アテにしてよ!!!! まあ、いないけど‥‥‥」


「マジでいねえのかよ!」


「うるさいっ!!」


 話し合ううちに、ギルバートとクラリッサの言い合いが勃発。もう慣れた光景である。

 アイトは2人を宥めるために、呟いてしまった。


「ま、まあまあ落ち着いて。俺が誰か誘ってくるから」


 自分がなんとかするといった、意味の言葉を。


「「神かっ!!!!!」」


 2人の様子を見て、間違いなく任されたと自覚する。そして、アイトは後悔することになる。




 放課後。


(いったい、誰を誘えばいいんだ‥‥‥? 友好関係なんて、俺全然広くないし‥‥‥)


 アイトは教室の片隅で考え込んでいた。自分の頭に思い浮かぶ、数少ない候補を挙げていく。


(ユリア王女‥‥‥は他の友達と組んでるだろうし、何より目立つしなぁ‥‥‥)


 1人目の候補、ユリア・グロッサ。学年屈指の人気と知名度を誇るため、不可能だと悟る。

 そして、他の候補を考え出す。


(‥‥‥あれ? もういない???)


 アイトは思わず再認識してしまった。自分の交友関係の狭さを。


(いや、1人くらいは‥‥‥)


 アイトは必死に考え込んだ。周囲の人に心配されるくらいに、頭を抱え込みながら。そして、脳裏に閃く。


(ーーーあ、メリナ!!)


 それは組織エルジュの構成員であり、学園に潜入している‥‥‥序列10位のメリナ。


(いや、同じ班ってのは互いにリスクが高すぎるか‥‥‥でも、他にアテは‥‥‥)


 やがて、アイトは立ち上がった。恥も外聞も捨てて、足早に歩き出す。すぐに教室を出て、廊下を歩く。


(背に腹はかえられないっ‥‥‥!!)


 アイトが目指す場所は、もう分かりきっていた。



(メリナは‥‥‥あ、いた)


 1年Eクラスの教室。

 アイトは廊下から半身を乗り出して、教室の中を覗いている。これが、『天帝』と呼ばれる男の実態である。


「そうそう、本当に大変でさ〜」


 お目当てのメリナは、友人と楽しく談笑していた。長い茶髪のおさげに伊達眼鏡。


(すげ〜‥‥‥完全に学生として溶け込んでるよ。学生が本分の俺より学生してないか‥‥‥?)


 普段と印象が大きく異なっているが、大人びた雰囲気はあまり変わっていない。


「そういえばメリナっ、上級生に告白されたって本当なの!?」


「え? なんで知ってるの」


 そんな会話が聞こえ、アイトは身体が硬直する。まるで盗み聞きしているようで、罪悪感が湧き上がっている。いや、盗み聞きなのだが。


「うわ〜! それで返事は!?」


「断った」


「え! あの先輩、カッコいいのにどうして〜! これでもう5人目じゃん!」


(5人目!?)


 アイトはまるで会話に入っているかのような反応をした。ちなみに、今も廊下から覗いているだけである。


「そんなの関係ないね。私から告白したいと思うくらい、気持ちを動かしてくれる人じゃないと」


「大人〜!! もしかして好きな人いるの!?」


「教えな〜い」


「え〜! じゃあ、好きなタイプは!?」


「う〜ん‥‥‥そうだね。みんなから信頼されてて、強くて優しくて‥‥‥頼りになる人かな」


 メリナが少しだけ顔を赤くしながら俯きがちに答える。それは演技か、もしくは本音か。アイトには全く分からなかった。


(そんなやついんの? メリナって理想高いな)


 アイトが真っ先に思った感想が、これである。


(‥‥‥うん、帰ろう)


 アイトは踵を返して歩き出す。既に入っていける雰囲気ではないと察知した。いや、アイトには入っていける自信が無かった。




  1年Dクラスの教室。

 アイトは扉を開けると、室内には1人だけ。


「‥‥‥」


 その子は集中しているのか、本をずっと見つめている。


「あの〜、読書中に申し訳ないんだけど今ちょっといいかな?」


「‥‥‥」


「あ、あの。ベルさん?」


「‥‥‥ひゃっ!! も、申し訳ありません!」


 黒髪三つ編みの少女が仰け反り、驚いた様子で謝る。



 ポーラ・ベル。


  1年Dクラス所属。

 グロッサ王国の名門であるベル家の令嬢。

 得意魔法は不明。

 兄のレンクス・ベルは、王国警備隊の分隊長。


 彼が放つ魔法、【フォトン・ブラスト】は『高威力魔法ハイパワーマジック』に認定されている。



「あ、あの、ディスローグくん? わ、私に何か?」


 慎重に尋ねてくる彼女に対し、アイトはなるべく明るい口調で話しかけた。


「うん。単刀直入に聞くけど、ベルさんってあと少しで行われる討伐班って、もう決まってる?」


「私、友達いないので決まってないです‥‥‥」


 予想外の返答と落ち込みように、アイトは両手を振って謝っていた。


「な、なんかごめん!? 決まってないなら、俺たちの班に入らない?」


 そして、さりげなく勧誘する。


「!! ホントですか!? いいんですかっ!?」


(近い近い!)


 すると、ポーラが席を立ち上がって目を輝かせた。そんな彼女と顔がぶつかりそうになり、アイトは少し仰け反る。


「う、うん。ぜひお願いします。ごめんベルさん。さすがに少し離れてくれると助かる」


「‥‥‥!! ご、ごめんなさい!」


 音速で距離を取るポーラ。手櫛で髪を整えた後、彼女が口を開く。


「あの! ぜひこれからお願いします! あ、あの他の人は私が入っても大丈夫ですか‥‥‥?」


「気にしなくていいよ! ギルバートとリーセルさんは良い人だからさ!」


 アイトはまるで怪しい勧誘のような口ぶりで、彼女を連れて教室を出て行った。


 ◆◇◆◇


「あ、やっぱりここにいた。おーい2人とも〜!!」


 アイトは大声を出して、学園の外を走っていた2人に手を振る。


「ーーーおお! 見つけたのかアイト!!」


「ど、どんな人かしら」


 ギルバート、クラリッサが少し汗を拭いながら駆け寄ってくる。ちなみに、ずっと走り込みをしていた。


「あ、この人たちって‥‥‥」


「うん、同じクラスメイト。さ、挨拶しよっか」


 アイトは優しく促し、前に一歩出たポーラを紹介する。


「ポーラ・ベルさん。まだ班が決まってなくて誘ったら、俺たちの班に入ってくれるって」


「え! 本当かよ! もちろん大歓迎だぜ!! よろしくな!! オレはギルバート・カルスだ!」


「は、入ってくれて、その、あ、あありがとう。あ、あの、その、クラリッサ・リーセルよ。よ、よろ、よ、よろしく」


 ギルバートが快活に笑い、クラリッサが口を震わせて不気味に笑う。対局な態度を見せる幼馴染の2人。


「は、はい! よろしくお願いしますっ!」


 そんな2人に、ポーラが満面の笑みで返す。それは晴れやかで、あまりにも純粋な笑顔。


「うっ‥‥‥私には眩しすぎるっ」


 それを見たクラリッサが、両手を出して狼狽えていた。人見知りの彼女には、眩しすぎた。


(うんうん。これで討伐班が決まった)


 こうして、アイトたちは班を決定した。個性豊かな友人たちと共に。


「あの、お二人は何をやっていたんですか‥‥‥?」


「走り込み! これが日課でよぉ!」


「私は付き合わされてるだけ」


 そして、内気で優しいポーラは‥‥‥すぐにギルバートたちと仲良くなっていった。


 ◆◇◆◇


 エルジュの潜伏拠点、『マーズメルティ』。


「レスタ様、もうすぐ魔物討伐ですね」


 アイトは驚きのあまり、お菓子を喉に詰まらせそうになる。


(あ、やっぱり知ってるのね‥‥‥)


 正面に座ったエリスが、突然話を切り出してきたからだ。

 ちなみにミアは、アイトの隣を陣取って満足げ。カンナとリゼッタは、近くに座って話を聞いていた。


「‥‥‥エリス、それ知ってたんだな」


「メリナから聞いていますので。話によると冒険者ギルドと合同だとか」


 学生として1年Eクラスに潜入しているメリナの情報。つまり、エリスは学園の事を把握している。


「ああ。冒険者ギルドを見るのは初めてだな」


 アイトは紅茶を飲んで一息つく。もはや、この団欒は習慣になりつつあった。


「そのことなのですが」


「ん?」


「冒険者ギルドと合同ということなので、レスタ様の護衛は現地でアクアたちが付きます」


「え‥‥‥アクア、カイル、オリバー、ミストか? 冒険者ギルドで活動してるんだっけ」


 そしてアイトは、自分に護衛がつくことに抵抗が無くなってきていた。

 徐々に慣れ始めている、『天帝』の仮面に。


「いいなあ〜。ミアも臨時で冒険者ギルドに入れてくれないかなぁ」


「さすがに無理じゃないか? ミアは目立つし」


「え! それってミアが可愛いすぎるってこと!?」


「ま、まあそれもある」


 アイトの発言は、彼女の髪や呪力という点で目立つという意味。

 だが訂正が面倒くさくなり、なんとなく肯定してしまう。


「‥‥‥♡」


 当然、ミアが夢心地になって妄想世界へと飛び立ってしまう。


「レスタくん、充分に気をつけてね! 仮にも魔物だからね!」


「レーくん、ぶじで」


「ありがとう。まあ冒険者ギルドと合同だし教員もいるから、危険なことは殆どないと思うけど」


「そうですよね。レスタ様にかかれば、危険なことなんて無いのですから。ですがどうか油断なさらずに」


(エリスさん? それはちょっと言い過ぎよ?)


 アイトは彼女たちとの談笑を続ける。様々な連絡や情報を共有しながら。


「‥‥‥♡」


 ちなみに、ミアは最後まで会話に参加していなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ