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ギルド連携魔物討伐体験、当日

 ギルド連携魔物討伐体験までの4日間。


 アイト、ギルバート、クラリッサ、ポーラの4人は役割をどうするか、得意魔法は何かなど色々話し合った。その過程でアイトたちは打ち解けていった。


 それぞれの得意魔法をアイトは一応メモに書いて整理した。


 ・ギルバート 振動魔法


 ・クラリッサ 幻影魔法


 ・ポーラ   音魔法


 火や水、雷などの攻撃に向いた基本属性魔法が得意な人はおらず、かなり偏ったパーティとなったがアイトは別に気にしていなかった。


 ちなみにアイトは得意魔法が無いと言った。冗談ではなく本当に何が得意か理解していなかった。


 3人に『え?』と思われたのは言うまでもない。




 ギルド連携魔物討伐体験、当日。


 1年生と教員はグロッサ王国から北にある冒険者ギルド本部『ジャバウォック』付近に来ていた。


 引率の教員とギルドの代表が挨拶をしていた。


 「今日はよろしくお願いします」


 「おう! こちらこそ頼むぜ!

  将来冒険者になってくれるやつが増えると

  考えれば大歓迎だ! 王国からの報酬も多いしな!」


 「ははっ、それはこちらとしても嬉しい限りです」


 「それではさっそく移動しよう! 手本を見せる!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「とまあ、こんな具合だな」


 付近の魔物がいるエリア。1年生は冒険者たちの実戦の様子を見学する。


 「それじゃあ決めていたパーティに分かれてくれ!」


 1年生は決めていたパーティで集まり出す。アイトたち4人も集まった。


 「近くでワシらが見ておるから自由に討伐してくれ!」


 その声と同時に1年生は動き出す。


 「おいアイト! ここだと今いる魔物は一瞬で

  なくなっちまう! 遠くへ移動しようぜ!!」


 「え、でも冒険者の人たちが見える場所じゃないと、

  ってギルバート!?」


 「ギル待ちなさい!!」


 アイト、クラリッサが止めるよりも早くギルバートは走り出す。


 「はあ、仕方ない。クラリッサ、ポーラ、行こう」


 「はあ、全くあのバカ!!」


 「は、はい!」


 アイトたちはスタート地点からかなり離れた地点まで移動したのだった。





 「ッラァァァ!!!」


 ギルバートの声と共に振り下ろされた大剣がゴブリンを一刀両断する。


 「アイト! そっち行ったぞ!!」


 「ああ!」


 アイトはさすがにここで聖銀の剣を使うわけにはいかず、自前の鉄の剣を使用。ゴブリンたちを切り刻む。


 「クラリス、ポーラ! もっと魔法かけろ!」


 「わかってるわよ! ポーラ、まだいける?」


 「はい! まだ大丈夫です!」


 クラリッサとポーラはゴブリンに対して幻影魔法と音魔法で足止めしていた。


 アイトとギルバートが前衛、クラリッサとポーラは後衛。


 「!? クラリッサ後ろ!」


 「きゃっ! クラリッサさん!」


 アイトがそう言うよりも早く、クラリッサの背後にいたゴブリンが棍棒を振り下ろす。幻影魔法に耐性があるゴブリンだった。ポーラが思わず悲鳴を上げる。



             ガンッ



 「‥‥‥え?」


 アイトがそんな声を上げるのは仕方なかった。


 クラリッサが後ろ手に杖を自分の背中に回してゴブリンによる背後からの攻撃を受け止め、手首で杖を回転させ棍棒を弾き飛ばす。


 「はぁ!!」


 振り向いたクラリッサが杖で目にも止まらぬ連撃を繰り出す。一撃が当たるたびに鈍い音が鳴り響く。ゴブリンは見事サンドバックになっていた。


 そしてクラリッサは地面に倒れたゴブリンの心臓めがけて杖をぶっ刺すのだった。




 近くの川付近で休憩中。


 「クラリッサさん、すごいです!!!」


 「いや、別にそんなことないわよ?」


 ポーラが目を輝かせる。クラリッサは少し恥ずかしそうだった。


 「確かにすごかった。杖をあんな風に使うなんて」


 「アイトまで‥‥‥」


 「クラリスの戦闘スタイルは杖でボコボコに

  殴ることだからな。前衛にしたかったんだがコイツが

  2人にバレたくないって言ってたから辞めておいた。

  オレからすればなんで典型的な杖使い

  アピールしてたのかよくわからねぇ」


 「ちょっとそのこと言わないでよ!

  ‥‥‥もういいわ。秘密バレちゃったし」


 「確かに杖使いが物理攻撃を行うなんて普通は考えない。

  これはクラリッサの大きな武器だ。

  なるべく他の人に見せない方がいいかも」


 「アイトに言われなくても見せる気なんてないわよ!

  すっごく恥ずかしいんだから!!

  ポーラ、アイト、特にギル!! 絶対秘密ね!!」


 「オレは前からずっと言ってなかったけどな!?」


 「そうですよね。人に言えない秘密って誰にでも

  ありますよね」


 「‥‥‥ああ、そうだな」


 ポーラの発言に心当たりしかないアイトは即座に同意する。


 「? そんなもんあるか???」


 隠し事をする性格を持ち合わせていない者が1人だけいた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「今のところ大丈夫そうですね」


 「あいつが低級の魔物如きに遅れを取るわけがねぇ」


 「どうでもいいけど早く寝たい」


 「アクア!? まだ寝ないでくださいぃぃ!!!」


 オリバー、カイル、アクア、ミストはアイトたちが休憩しているのを遠くから眺めていた。『血液凝固』を行った目で見ているため距離はかなり遠い。


 『血液凝固』は長時間使うと疲れるため1人ずつ交代で監視していた。


 「エリスも過保護なんだって。なんで俺が子守みたいなことをしなきゃならねえんだ」


 「カイルさん? 次エリスさんを悪く言えばこれ、ぶっ放しますよ?」


 オリバーは一瞬でカイルの頭に銃を向ける。


 「あ、ああ悪かった。だからそれを戻してくれよ」


 「わかればいいです」


 「ねー寝ていい?」


 「ダメですぅぅっっ!!」


 この間にアイトたちが移動していることに、全く気づかない4人だった。

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