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ちょっと言い過ぎよ?

 ギルバートとの再戦から3日後。


 「5日後に『ギルド連携魔物討伐体験』があります。

  それまでに4人以上のパーティを作ってください」


 先生が教室から出ていき休み時間になるとアイトはギルバートに話しかける。


 「なあ、ギルバートってどんな魔法を使うんだ?」


 「オレか? オレが得意なのは振動魔法だ。

  自分を強化して大剣でねじ伏せるスタイルだ」


 「おお、なんかカッコいい」


 「だろ!?」


 「う、うん」


 「大剣振るしか脳がないのよ」


 「うるせえ!」


 アイト、ギルバート、クラリスが休み時間に談笑する。今は3人でいるのが当たり前となっていた。


 (友達、バンザイ!!!!!)


 アイトは友達ができたことに浮かれていて、周りの視線に気づいていないのだった。


 『あれ、大剣使いのギルバートくんだよね』


 『それにあの男子は1回戦で敗れたアイトくんだね』


 『なんであんなに仲良いんだろ?』


 『なんでだろうね』


 『クラリッサさんってどっちが本命なんだろう』


 『間違いなくギルバートくんだよ。

  アイトくんがあの輪に入る前から一緒にいたもん』


 『ギルバートくんとクラリッサさんって

  幼なじみらしいよ』


 『え〜! あやしい匂いがする!!』


 そんなコソコソ話もアイトたちの耳には届いていなかった。


 「もうすぐある『ギルド連携魔物討伐体験』、

  アイト、もちろんいっしょにパーティ組むよな!!」


 「え! 良いの!?」


 「あたぼうよ!! 俺たちが組めば無敵だ!!」


 「「はっはっはっはっ!!」」


 「アンタたち、さすがに場を気にして」


 クラリッサが2人を嗜める。


 「リーセルさんもパーティメンバーだよな?」


 「うぇ? え、え、う、うん。そ、そ、そうよ?」


 「??」


 「ああ悪いアイト。コイツ人見知りでよ。

  慣れるまで我慢してやってくれ」


 「は、はあ!? そ、そんなんじゃないし!」


 「はあ、めんどくせえ」


 「アンタに言われたくないわよ!!」


 「アア!?」


 (2人とも、とっても仲良いなぁ)


 「そういえばパーティメンバーって

  4人以上だけど、あと1人は?」


 「「‥‥‥あっ!!!」」


 言い合っていた2人が同時に声を出す。



       (‥‥‥あと1人、どうしよう)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 昼休み。教室でアイトたちはメンバーの話をする。


 「おいどうするよ! オレ誘うアテなんて無えぞ!!

  クラリス、は‥‥‥オレたち以外に話せないもんな」


 「アテにしてよ!!!! まあ、いないけど‥‥‥」


 「マジでいねえのかよ!」


 「うるさいっ!!」


 「ま、まあまあ落ち着いて。俺が誰か誘ってくるから」


 「「神かっ!!!!!」」


 2人の様子を見て自分が誘うしかないと思ったアイトだった。そしてすぐに後悔することになる。



 放課後。


 (とは言ったけど誰を誘えばいいんだ‥‥‥)


 アイトは誰を誘うか迷っていた。


 (ユリアは他の友達と組んでるだろうし、

  他は‥‥‥あ、メリナ!!!)


 1年生の中だと友達がユリアのみ、知り合いを含めるとメリナの2人しかいないアイト。


 とりあえずアイトは1年Eクラスへと足を運ぶのだった。




 (メリナは‥‥‥あ、いた)


 アイトは1年Eクラスの教室の中を廊下から眺める。


 メリナは長い茶髪のおさげにメガネ。任務時と印象が大きく異なっているが、大人びたオーラは変わっていない。


 「メリナ、上級生に告白されたって本当なの!?」


 「え? なんで知ってるの」


 「うわ〜! それで返事は!?」


 「断った」


 「え! あの先輩、カッコいいのにどうして〜!

  これでもう5人目じゃん!」


 「そんなの関係ないね。私から告白したいと

  思うくらい、気持ちを動かしてくれる人じゃないと」


 「大人〜!! もしかして好きな人いるの!?」


 「教えな〜い」


 「え〜! じゃあ、好きなタイプは!?」


 「う〜ん‥‥‥そうね。みんなから信頼されてる、

  強くて優しくて、頼りになる人かな」


 メリナが少しだけ顔を赤くしながら俯きがちに答える。


 それは演技か、もしくは本音か。本人にしかわからないものだった。  


 (そんなやついんの? メリナって理想高いな)


 アイトが真っ先に思った感想がこれである。


 (‥‥‥うん、帰ろう)


 入っていける雰囲気ではないと真っ先に察知したアイトは自分の教室に戻るのだった。




  1年Dクラスの教室に戻ってきたアイト。教室に残っていたのは1人だけだった。その子は本を読んでいた。


 「あの〜、読書中に申し訳ないんだけど

  今ちょっといいかな?」


 「‥‥‥」


 「あ、あの。ベルさん?」


 「‥‥‥ひゃっ!! も、申し訳ありません!」


 黒髪三つ編みの女子が驚いた様子で謝る。


 ポーラ・ベル。


  1年Dクラス。グロッサ王国の名門であるベル家の令嬢。得意魔法は不明。兄のレンクス・ベルは王国警備隊の分隊長。


 レンクス・ベルが放つ魔法、フォトン・ブラストは『高威力魔法ハイパワーマジック』に認定されている。


 「あ、あの、ディスローグくん? わ、私に何か?」


 「うん。単刀直入に聞くけどベルさんって

  あと少しで行われるギルド連携魔物討伐体験の

  メンバーって決まってる?」


 「私、友達いないので決まってないです‥‥‥」


 「な、なんかごめん!? 決まってないなら

  俺たちのパーティに入らない?」


 「!! ホントですか!? いいんですかっ!?」


 (近い近い!)


 ポーラは席を立ち上がって目を輝かせる。アイトと顔がぶつかりそうになっていた。


 「う、うん。ぜひお願いします。ごめんベルさん。

  さすがに少し離れてくれると助かる」


 「‥‥‥!! ご、ごめんなさい!」


 音速で距離を取るポーラ。


 「あの! ぜひこれからお願いします!

  あ、あの他の人は私が入っても大丈夫ですか‥‥‥?」


 「気にしなくていいよ!

  ギルバートとリーゼルさんは大歓迎!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 学園のグラウンドでランニングをしていたギルバートとクラリッサを見つけてアイトはポーラを連れて2人に紹介する。


 「こちら同じクラスのポーラ・ベルさん。

  俺たちのパーティメンバーに入ってくれたんだ」


 「え! 本当かよ! もちろん大歓迎だぜ!!

  よろしくな!! オレはギルバート・カルスだ!」


 「は、入ってくれて、その、あ、あありがとう。

  あ、あの、その、クラリッサ・リーセルよ。

  く、ク、クラリッサでい、いいわ。

  よ、よろ、よ、よろしく」


 「は、はい! よろしくお願いしますっ!」


 (うんうん。これでパーティが決まった)


 ポーラと2人の自己紹介が終わり、アイトたちのパーティが決まった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 エルジュの潜伏拠点、『マーズメルティ』。


 「レスタ様、もうすぐ魔物討伐ですね」


 アイトはお菓子を食べながらエリスから持ち出された話に驚く。ミアはアイトの隣を陣取り、カンナとリゼッタは近くに座って話を聞いていた。


 「エリス、それ知ってたんだ」


 「メリナから聞いていますので。

  話によるとギルドと合同だとか」


 「ああ。ギルドを見るのは初めてだな」


 「そのことなのですが、ギルドと合同ということなので

  レスタ様の護衛は現地でアクアたちが付きます」


 「アクア、カイル、オリバー、ミストの4人は

  ギルドでパーティ組んで活動してるんだっけ」


 そしてアイトは護衛がつくことに抵抗が無くなってきていた。


 「いいなあ〜。ミアも臨時でギルドのパーティに

  入れてくれないかなぁ」


 「さすがに無理じゃないか? ミアは目立つし」


 「え! それってミアが可愛いすぎるってこと!?」


 「ま、まあそれもある」


 アイトはミアの髪や呪力という点で目立つと言ったのだが正直めんどくさかったのか、とりあえずミアの発言になんとなく肯定する。


 「‥‥‥♡」


 「レスタくん気をつけてね! 仮にも魔物だからっ!」


 「レーくん、ぶじで」


 「ありがとう。まあギルドと合同だし教員もいるから

  危険なことはほとんどないと思うけど」


 「そうですよね。レスタ様にかかれば危険なことなんて

  無いのですから。ですがどうか油断なさらずに」


 (エリスさん? それはちょっと言い過ぎよ?)


 「‥‥‥♡」


 ミアがトリップしてる間にどんどん話を進めるアイトたちだった。

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