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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
終章 王都奪還

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疾風怒濤

 王都ローデリア上空‥‥‥エリスVSノエル。


「ふっ」


「はあッ!!」


 ノエルの重力魔法を、エリスは次々と掻き消していく。空中に浮く両者、互いに魔法で攻め手を作っていく。


「ッ!!」


 エリスは両手を突き出して、周囲に形成された重圧を吹き飛ばす。

 それは『使徒』シャルロット・リーゼロッテとの修行で磨き上げた‥‥‥()()()()である風魔法。


 以前、エリスは勇者の魔眼という唯一無二の強みを活かした才能のみで戦っており、魔法は不得手だった。そのせいで『魔闘祭』での騒動で今対峙しているノエルに苦戦し‥‥‥敗北を喫している。


『エリスの得意な属性、たぶん風だと思う』


 その敗北を引き摺っていた彼女は、伝説の魔法使いのシャルロットに修行を受ける。無表情の金髪天使に見出され、開花させたのが‥‥‥風魔法だったのだ。


 エリスは以前から、風魔法が得意な前兆はあった。

 勇者の魔眼を使った【魔戒】は、突風を起こすもの。

 空を飛ぶ【飛行】も、風魔法の応用。



「‥‥‥鬱陶しいわね」


 そして、今はノエルに舌打ちさせるほどの風魔法を操るに至った。今のエリスは、まさに完全無欠。


『物理と魔法を巧みに扱う強者となった』


 シャルロットが、誇らしげに語っていたという。



「ッ!!」


 重力魔法を弾き飛ばし、エリスは両手を振り下ろして急加速。風魔法を操る彼女にとって、空中はまさに彼女にとって専売特許。


「シッ!!」


 距離を詰めたエリスの回し蹴りが、ノエルの側頭部を揺らす。


「ちッ!?」


「ッ!!」


 吹き飛んでいくノエルに回り込み、勢いよく蹴り上げる。


「っ、調子に乗るなッ!!」


 上空で一回転したノエルが両手を突き出し、渾身の魔力を解き放つ。


「【インフォージュン】!!」


 発動範囲を狭める事で魔力出力を高めた、ノエルの必殺重力魔法。


「っ、!!」


 まるで電磁砲のように発せられた重力の波が、至近距離にまで詰め寄っていたエリスに襲いかかる。


「っ〜〜〜!!」


 真下へと重力がかかり、エリスは歯軋りしながら急降下。落下速度と現在の高さから、数十秒で地面に背中から突撃する。それは背骨が折れてもおかしくない。

 ノエルの【インフォージュン】に、今も身体を押され続けている。


「ぁぁぁぁッ!!!」


 エリスは声を振り絞って両手に風魔力を集め、ノエルの【インフォージュン】を押さえ込む。


「ぁぁぁぁぁっ、アぁっ!!!」


 両手で振り払う事で、急落下の重力から逃れることに成功。その勢いで身体が錐揉み回転するが、エリスは全身に力を込めて体勢を立て直す。


「ちッ」


 そして上空で舌打ちするノエルに向かって、エリスは警戒しながら急上昇していく。まさに、空を戦場とする両者。


(さっきのには気を付けないといけないわね)


 奇しくも、2人は武器を持たずに戦いを続けている。エリスは剣、ノエルは短剣があるにも関わらず。


「ッ!!」


「しつこいッ!!」


 それは武器を持っても、互いの魔法に絡め取られると察していたからだ。エリスの風、ノエルの重力。どちらも武器を振るう余裕は無いであろう威力と精度。


 それほど、今の2人の周囲は本人以外を寄せ付けないほど荒れ狂っている。もし生半可な第三者が近付けば、何もできずに吹き飛ばされてしまうだろう。


(次第に焦ってきてるわね。決着を急いでるようにも見える)


 エリスは周囲に降り掛かる重力の弾幕を風で掻き消しながら、眉を顰めているノエルを見つめる。


(何か事情がありそうね‥‥‥それなら)


 エリスは少し目を細め、深呼吸を始める。当然、彼女自身に隙が生まれる。


「【インフォージュン】!!」


 当然、ノエルが狙い澄ましたかのように必殺魔法を発動する。そして彼女の両手から放出された高出力の重力が襲いかかる。


「ーーー魔力解放」


 そう呟いた瞬間、エリスの身体から魔力が解き放たれる。


「っ、このッ!?」


 ノエルの【インフォージュン】を消し飛ばし、また彼女本人を後方へ吹き飛ばすほどの突風が起こる。

 魔力解放により、エリスの上限が突破。身体能力と魔力出力が飛躍的に上昇し、自強化状態となる。


「終わりよ」


 エリスは目にも止まらぬ速さで滑空し、体勢を立て直したノエルの頬を殴り飛ばす。


「ぐッ‥‥‥!」


 その一撃は、まさに鬼神の一撃。

 口から鮮血を飛ばしたノエルが吹き飛んでいき、エリスは再度飛行して追撃を狙う。


「‥‥‥はっ、馬鹿ね!!?」


 だが、ノエルが勝ち誇ったように笑っていた。みるみる距離を詰めてくるエリスへと。



         「ーーー魔燎創造」



 ノエルが唱えた瞬間、周囲の景色が移り変わった。そして、エリスの身体が不自然に停止する。


        「『反反反転重点点(はんはんはんてんじゅうてんてん』」


 それはノエル・アヴァンスが作り上げた‥‥‥彼女自身の魔燎空間だった。


「!?」


 エリスの身体が、突然浮かび上がる。それは、今までノエルがやってきた重力攻撃とは、真逆。


「っ、くっ」


 魔力の上位互換である魔燎、その空間内。

 エリスの風魔法は、ノエルの魔燎空間に太刀打ちできない。


「魔力解放を使ったのが運の尽きね? 切り札は簡単に切らないから切り札なのよ」


 ノエルが嘲笑を浮かべながら、右手の人差し指をぐるりと回す。


「っ!?」


 すると突然、エリスの身体がその場で回転し始める。まさに、ノエルが回す指の動きに合わせるように。


「重力魔法を使う私が、魔燎空間の中なら何が出来ると思う?」


 ノエルが諭すように話し、人差し指を振り上げる。


「ゔッ!?」


 エリスは回転しながら、今度は上へと吹き飛ばされていく。だが回転しているため視界が定まらず、何が起こっているか分からない。


「‥‥‥なるほどね。空間内の、()()の重力を操れるわけね。()()へ飛ばすなんて、ずいぶん余裕じゃない」


 ‥‥‥勇者の魔眼を持つ、エリスを除いて。

 常人離れした視野と未来視が可能な彼女の両眼は、今の状況を正確に理解していた。


「無様に回転しといて、何淡々と話してるのかしら!?」


 大声を出したノエルが勢いよく両手を広げる。その瞬間、エリスの身体が大の字になって静止する。


「っ‥‥‥!!」


 エリスは僅かに呻きながら何かに耐えていた。彼女の両手両足が、不自然なほど震えている。


「勇者なら内臓も他とは違うのかしら。今から真ん中を引き裂いて、じっくり確認させてもらうわね」


 ノエルが淡々と呟き、嬉々として笑う。彼女は今、エリスの身体を固定し‥‥‥両端を引っ張っている。

 エリスを‥‥‥生きたまま引き裂こうとしている。


「女なんだし、股から裂けても多少は大丈夫でしょ?」


 ノエルの魔燎空間内では、今のエリスに勝ち目は無い。このままでは、間違いなく殺される。


「‥‥‥やっぱり、仕方ないわね」


 するとエリスは、何か諦めたように呟く。その反応が、ノエルに僅かな違和感を残す。


「外道のあなたでも、()()()()に忠実なのね」


 エリスは穏やかに微笑む。ノエルが目を見開いて違和感を感じとる。

 そして、エリスは‥‥‥呟く。



          「魔燎創造」



 それは奇しくも、アイトの時と同じ‥‥‥禁忌とされる魔力解放と魔燎創造の同時発動だった。



         「『疾風怒濤』」



   エリスの魔燎が、空間を引き裂いていった。

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