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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
1章 王立学園入学

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王女のための異世界式即日配達

 地下3階。


「この先の牢屋です!」


「よし!!」


 アイトとエリスは、遂に目的地に到着しようとしていた。


「!! レスタ様!!」


 エリスがそう言った瞬間。

 アイトに飛んできた火の玉を、彼女は咄嗟に剣で掻き消した。


「ちッ!!」


 舌打ちしながら現れたのは、素顔を晒した中年の男。


「貴様ら、我々の邪魔をするな!!」


「こっちのセリフよ。この下衆ども」


 エリスが一瞬で男の背後に回り込んで、足払いを掛ける。


「なっ!?」


 そして驚く男の胸に、躊躇なく剣を突き立てた。溢れ出す鮮血を、エリスが勇者の魔眼で躱す。


「ガッ‥‥‥!!! な、なんだ今の速さっっ‥‥‥」


「黙れ」


 エリスが勢いよく剣を振り払う。一切の容赦は無い。男は壁に吹き飛ばされ、もたれかかるようにして動かなくなった。


「時間の無駄よ」


 相手はカンナやミアが戦った覆面たちと、互角以上の強さを持っていたはずだった。

 だがエリスとの力の差がありすぎたため、一瞬で勝負がついてしまった。


(ちょっと、やばくないですか‥‥‥?)


 アイトはその光景を見て驚く。剣を納めたエリスが、いつもの笑顔で優しく振り向く。


「レスタ様、早く行きましょう!」


「あ、ああ」


 エリスはまさに、鬼神の如き強さだった。


(間違いなく俺よりエリスの方が強い!? ど、どうしよ‥‥‥俺勝てるのか!?)


 アイトは悩みの種を増やしながら、一目散に走り出した。




「ここです」


 そして、アイトとエリスは目的地の牢に到着した。


「【異空間】」


 アイトは空間魔法【異空間】を発動。空間が裂けて別次元が映り出す。


「ーーーきゃああ!!」


 そしてそこから‥‥‥手錠をつけられているユリア王女が飛び出てきた。


「おっと」


 ユリアをお姫様だっこの形で受け止めるアイト。その光景を見て、エリスは朗らかに笑っている。

 アイトは悪寒が走る。


「え? あなたは‥‥‥」


「‥‥‥【鍵】」


 アイトは気を取り直して、自作の魔法で鍵を作り出す。ユリアの手錠の鍵穴に差し込み、鍵を外す。すると、手錠が床に落ちて音を立てた。

 こうして、ユリアは魔力封じから解放された。


「あ、ありがとうーーー」


「【スプーリ】」


 アイトは睡眠魔法【スプーリ】を発動。感謝を告げる途中だった彼女を、問答無用で眠らせた。


「ふう、これで後はここから出るだけだ」


「さすがですねレスタ様。それでは行きましょう」


 ユリアを抱えたアイトと、笑顔のエリスが牢から出る。


「あ! いたよ2人とも!」


「お兄ちゃ〜〜ん!!!」


「レーくん、エリス、はっけん」


 そこでカンナ、ミア、リゼッタと合流を果たす。

 彼女たちを見つめ、アイトは少し安堵の息を漏らして話しかける。


「みんな無事か。見ての通り、王女は救出できた。みんな、本当にお疲れさま」


 アイトが労いの言葉をかける。1人では迅速に助け出す事が不可能だった事を悟っている。

 エリスたちが嬉しそうに微笑む。ミアに至っては恍惚とした表情を浮かべていた。


「さてと‥‥‥とりあえず王女を城へ届けないとな。なるべく早く、安全に」


 まるで、現代の配達員のようなことを話すアイト。王女を完全に貴重品のような扱いをしている。


「レスタくん、どうするの?」


「ん〜‥‥‥まず王女を抱えて王都の中を歩くわけにはいかない。さすがに目立ちすぎる」


「そうだよね‥‥‥」


「でも急がないと城は騒動真っ最中だろうし‥‥‥」


 アイトはカンナと会話しながら、どうしようか頭を悩ませる。カンナは口を尖らせて考え込んでいた。


「では、この方法はどうでしょうか?」


 するとエリスが手を挙げて、考えた案を話し始める。アイトは少し目を見開いた。


「‥‥‥よし、時間も無いしそれでいこう。じゃあ3人とも、ここを探索した後に戻ってくれ」


「OK〜!それじゃあ探索しよっか2人とも!」


「命令すんな銀髪女」


「ミア、げきおこ、こわい」


 カンナ、ミア、リゼッタが付近の牢屋を見て回る。


「エリス、行くぞ」


「はい!」


 そして、アイトとエリスは階段を駆け上がっていく。


(迅速に、安全に、慎重に!!)


 こうして、王女のための異世界式配達が始まる。


 ◆◇◆◇


 グロッサ王国の王城。


 城の中はユリア王女が行方不明であることで大混乱に陥っていた。

 国王ダニエル・グロッサは、玉座に座ったまま歯を噛み締めていた。


「ええいっ!! まだ見つからんのか!?」


 王国最強部隊『ルーライト』の隊員たちに調査させるが、未だ見つからず。


「ユリアっ‥‥‥どこにいるのだっ」


 ダニエルは不安そうな顔で、どんな手を打つべきか考えていると。


「報告します! ルーク様が帰られました!」


「なに! 本当か!!」


「ーーー本当ですよ、父上」


 颯爽と現れたのは、グロッサ王国の王子ルーク・グロッサ。


「ただいま戻って参りました。父上」


「よく戻った! 帰ってきたところ悪いが事情は知っているな!?」


 ダニエルが即座に緊急事態であることを促す。息子であり、最も頼りになるルークに。


「はい、ユリアが行方不明だと。いてもたってもいられず、任務を終わらせて戻ってきました」


「うむ、さすがだ」


「そのことですが、実はもう調べは済んでいます。場所を特定したので、先に隊員を向かわせてます」


「そうか!!」


 ルークは首を縦に振り、淡々と話す。


「はい。おそらくメルチ遺跡にいます。僕もこれから向かいますので」


「では頼んだぞルーク!」


「はい。では失礼します」


 ルークはお辞儀をした後、颯爽と出て行った。


「こちらルーク。これからメルチ遺跡に向かう」


 グロッサ王国最強部隊『ルーライト』の隊員たちは、隊長のルークが帰還するまで各自ユリアの調査を進めていた。

 そして場所を特定し、隊員たちは一足先に向かっていた。その数、5人。


「誰が最初に着くかな?」


 ルークは足早に動き出す。妹がいるメルチ遺跡へと。


「ユリア‥‥‥無事でいて!!」


 そして、隊員の中には‥‥‥アイトの姉、マリア・ディスローグもいた。


 ◆◇◆◇


「やばい。このままだと、代表たちが王子の部隊と鉢合わせるっ‥‥‥なんとかしないと!!」


 城に潜入していたメリナは焦っていた。

 グロッサ王国最強と言われるルークと戦闘になれば、苦戦は免れない。最悪の場合、捕まるという可能性すらある。


「こりゃ早く行かないと!!」


 メリナは急いで、先行するルークの後を追うのだった。


 ◆◇◆◇


『こちらメリナ! みんな、聞こえる!?』


「どうしたのメリナ?」


 メリナの魔結晶からの呼びかけ。それに答えたのはカンナだった。


『ユリア王女がそこに捕えられていたことがバレた! あと少ししたらルーク王子がそっちに着く!』


「ほんと!?」


『ああ! だから早くその場を離れて!』


「それは大変だねっ‥‥‥了解っ、連絡ありがと〜。ミアとリゼッタも一緒にいるから安心してっ!」


「え? 代表とエリスは?」


「あ、それが今2人は‥‥‥」


 カンナはポリポリと頬を掻き、苦笑いを浮かべながら説明を始めた。


 ◆◇◆◇


 グロッサ城。


 城の中は少しずつ落ち着きを取り戻していた。王国最強であるルーク王子が、妹のユリア王女の救出に向かった事で。


「ルークなら必ず、ユリアを助け出してくれるっ‥‥‥!!」


 だが、その安堵も長くは続かなかった。



           バリンッ!!!



 突然、城の窓ガラスが割れる。静寂からの騒音により、城内で混乱が巻き起こる。それも2階の窓から。


「急ぎましょう」


 窓ガラスを粉々に蹴破ったのは、黒いフードで顔を隠している謎の少女。


「ああ」


 その後、中に入ってきたのは‥‥‥ユリア王女を抱えた、銀髪仮面の謎の男。


「レスタ様、国王はこの先だと思われます」


「ああ、急ごう」


 2人は最短距離を高速で滑空。魔力を大幅に消費したが、仕方なし。

 次に、障害物である城の窓を割る。跡形もなく割る事で、後に通り抜けるユリアが怪我をしないように。


「やはりレスタさまって優しいですよね。ユリア王女の身を案じるなんて」


「よしてくれ。窓を破って侵入してる時点で、優しくないよ」


 こうして異世界式配達、現地へ到達。


「失礼するわ」


 エリスが扉を開ける。

 広間には多くの兵士と宰相‥‥‥そして、国王ダニエル・グロッサがいた。


「な、何者だ!? 敵襲ーーー!!!」


 兵士がそう叫ぶと、アイトたちの周囲を囲い始める。当然の反応である。


「落ち着け。この少女が目に入らないのか」


 アイトは少し演技がかった声で、両腕を軽く揺する。


「っ、ユリア!!」


「!? ゆ、ユリア様!?」


 ダニエルと兵士たちが大声を出す。謎の男に抱き抱えられている、意識の無いユリアを見て。


「そうだ。この女は謎の遺跡の中に捕らえられていた。それをわざわざ連れてきた。こっちが襲われる道理はない」


 アイトは真下の床にユリアを下ろす。王女を床に下ろすのは失礼な事だが、今回はやむを得なかった。

 そもそも、窓を蹴破って侵入している時点で失礼どころの話では無い。


「それでは失礼する。これからはもっと王女の警備を厚くするんだな」


「貴様が犯人だろ!!!」


 そう言った1人の兵士が、アイトに剣を向けて走り出す。


「レスタ様のご厚意に背くとは。恥を知れ」


 そう言ったエリスが兵士の腕を難なく掴む。


「! 殺さなくていい!」


 アイトは咄嗟に叫んだ瞬間、エリスが兵士を自分の方に引き込んで、勢いよく投げ飛ばす。


「本当に優しいですね」


 そしてエリスが‥‥‥宙に浮いた兵士へ回し蹴りをぶち込む。それを一瞬の内にやってのける。


「ぐぼぉぁぁっ!!!」


 兵士は錐揉み回転しながら床を転がり、微塵も動かなくなった。


「「「ひっ‥‥‥!!」」」


(えっ、殺してないよね!?)


 国王や周囲の兵士はその光景を恐れを抱いた。ちなみにアイトも恐怖していた。


「忠告する。レスタ様と私の邪魔をするなら、次はこの程度では済まない。城を吹き飛ばされる覚悟をしろ」


(いやそんな物騒なこと言うのやめよ!?)


 エリスの恐喝を聞いてビビりまくるアイト。そしてアイトよりも恐怖する城の人たち。


「それではレスタ様、行きましょう」


「‥‥‥ああ。戻るぞ」


 話しかけられたアイトは素を出してはいけないと、必死に演技じみた声を出す。

 そしてアイトとエリスは破った城の窓から、空へ飛び出す。


(胃に穴空きそう‥‥‥)


 これにて王女のための異世界式即日配達、完了。

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