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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
10章前編 交易都市ベルシュテット

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幕間 シャルロットの修行

 ヴィオラ大橋が壊れたことで、海に囲まれた交易都市が完全に隔離された頃。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥」


 かなり離れた魔の森に‥‥‥黒い布を巻いて両眼を遮り、息を乱す金髪の少女がいた。

 彼女の名はエリス・アルデナ。勇者の聖痕を両眼に宿す正真正銘の末裔。アイトの強さと人柄に惚れ込み、彼の右腕として秘密組織『エルジュ』を結成した。

 だが怨敵である犯罪組織『地獄行ゴートゥーヘル』の最高幹部に敗れたことで、自身の未熟さを痛感。そのため更なる強さを求めて伝説の魔法使いであるシャルロットの弟子となり、組織エルジュを一時離脱中。


「ぐぁっ!?」


 そんな彼女は身体をのけ反らせ、地面を転がっていた。目の前に立っているはずの()()の方へ顔を向ける。


「‥‥‥」


 何も喋らない、いや喋るはずがない等身大の人形の気配を察知すべく。



『はい、これ』


 シャルロットが交易都市ベルシュテットへ向かう直前に置いていったもので、当然エリスは困惑していた。


『この人形には私の魔力を込めてある。設定も完了したから自由自在に動けるよ。だから、()()()()()戦って』


 そんな言葉を思い出し、エリスは今でもため息をついていた。シャルロットの言葉を、次々に思い出していく。


『エリスは勇者の魔眼に依存しすぎ。確かに唯一無二の力だけど、数秒先の未来が見えるのは雑念にもなり得る。中途半端な実力だと、尚更』


(つまり、私がまだまだ弱いってことよね‥‥‥)


 目隠しをしたままのエリスは悔しそうを唇を噛んでいた。言われた通りに目を隠して人形と戦ってみると、まるで歯が立たない。


『基礎を高く積み上げてこそ魔眼の力が活きてくる。眼だけで受け取った情報を鵜呑みにするのは二流だよ』


 シャルロットの言葉は的を得ていた。エリスは言われっぱなしで悔しかったが事実であるため真摯に受け止め、目隠ししながら人形と戦っているのだ。


「ーーーそこっ!!!」


 エリスが振り返りながら後ろ回し蹴りを放つと、確かな手応えを感じた。だが、その感触は続く。


(防がれてるわね!!)


 瞬時に判断したエリスは足を下ろして僅かに距離を取る。だが構えようとする前に、()()にいた人形に投げ飛ばされていた。


(っ、距離を取ることを意識し過ぎて注意が散漫になってた!!)


 すぐに反省するエリスだったが目を隠しているため距離感が掴めず、投げ飛ばされた勢いのまま地面を転がることになった。


「‥‥‥まだまだね、私も」


 土が身体に付いたエリスは自虐気味に息を吐き、自身を戒める。


「こんなのじゃあ‥‥‥アイに合わせる顔が無いわ」


 そして今誰よりも会いたい少年の名を呟くことで、自分自身を奮い立たせる。


(アイ‥‥‥貴方に会う時は、喜んでもらえるくらい強くなってるんだから)


 そう誓ったエリスは、目隠し状態のまま根気強く人形へと挑んでいくのだった。


「私はこれ以上、彼に置いていかれるわけにはいかないのよッ!!!」


 今、アイトがどんな目に遭っているのかも知らずに。

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