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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
10章前編 交易都市ベルシュテット

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不可抗力、偽装デート

 交易都市ベルシュテット、南地区にある小さな宿。


 「男2人、女3人の部屋で」


 5人の中で最年長のスカーレット(19歳)が部屋のチェックインを済ませている間、アイトたち4人は後ろで待機していた。スカーレットが取っているのはニ部屋。


(ジェイクと相部屋とか、気まずいな‥‥‥)


 アイト、ジェイクで2人部屋。スカーレット、システィア、アヤメの3人部屋である。

 普通に考えればこの組み合わせが最も無難だが、アイトの他にも不安そうな表情浮かべる人物が1人いた。


(私、この2人と同じ部屋で一夜明かすの‥‥‥? でもアイトくんと2人きりなんてまだ早いしっ)


 それはスカーレット(自己中の自覚あり)と、システィア(自己中の自覚なし)というドS銀髪姉妹と同じ部屋になった‥‥‥アヤメ・クジョウである。


(いっそ私だけ別の部屋にしてもらう‥‥‥? でもそれは明らかに感じ悪いよね‥‥‥)


 アヤメはどんどん冷や汗をかいて焦り始める。するとそんな彼女の様子を見て、システィアが訝しげに見つめていた。


「お前、なんか考え込んでない? ‥‥‥あ、夜に女子会でもしようと考えてる? そういうの私、興味無いから」


(あなたといったい何バナするっていうのよ‥‥‥!!)


 システィアの見当違いな発言に、アヤメは青筋を立てていた。不安な気持ちが、一気に憤りへと変化していく。


(システィアさんでも女子会って概念は知ってるんだ‥‥‥想像つかないけど)


 そんな中、アイトは完全に部外者の目線で眺めていた。ちなみに、かなり失礼なことを考えている。


(女子会って言葉をこいつから聞くことになるとは)


 実はジェイクも同じ感想を抱いていたのは誰も知らない。


「部屋取れたぞ。とりあえず明日まで」


 すると話を終えたスカーレットが2本の鍵をクルクル回していた。


「君たちのはこれ」


 スカーレットはそう言うと2人部屋の鍵をアイトに手渡す。


「じゃあ荷物置いたらとりあえず夜までは自由で。それぞれ興味あるものが違うだろうし。せっかくだし夜は5人で外食でもしよう」


 スカーレットの発言にアイトたちは頷く。それぞれ欲しい物も違うだろうし、わざわざ無理に合わせる必要もない。

 だが夕食を別々に済ませるのもそれはそれで気まずい。そのためスカーレットの提案に反対する人はいなかった。


「じゃあ僕は色々買う物があるから失礼する」


 するとジェイクは真っ先に宿を飛び出した。彼はアヤメと違って急に連れてこられたため、荷物が全く無いのだろう。


「ヴァルダンくんちょっと待って」


 だがここで予想外の事態が起きる。システィアが彼の腕を掴んで呼び止めた。


「私が急に呼び出したせいでしょ? だから荷物持ちくらいは請け負うわ」


「「「ーーーえ???」」」


 そして彼女の譲歩するような発言に、1年3人組は開いた口が塞がらない。ちなみに、スカーレットも僅かながら目を見開いている。


「え、ちょっ」


 システィアはその反応を意に介さず、驚いているアヤメの腕を掴む。掴まれたアヤメは当然困惑している。


「お前も急に呼び出されて何かと必要でしょ? だから2人の買い物に付き合うわ」


「「え、別にーーー」」


「行くわよっ」


 断ろうとする2人を強引に引っ張ったシスティアは、そのまま宿を飛び出していった。


「ああせっかくの2人きりがぁぁぁ!!!?」


 そんなアヤメの悲痛な叫び声は、宿まで届かなかった。アイトとスカーレットは3人を見送る形となる。


「どうしたんだシスティアさんは‥‥‥どこか体調でも悪いのかな」


「君もなかなか失礼なことを言うな?」


 3人が出て行ったため当然残ったのはアイト、スカーレットのみ。先に口を開いたのはスカーレットだった。


「どうやら妹は私が君と恋人関係である嘘をお母さまに漏らす気はないらしい。今のも偽装の邪魔はしないという意思表示だろう」


(え、普通に口で伝えればよくない?)


 アイトは率直に感じたが、そうしない理由は何となく分かるため、心の中までに留める。


「ま、気が強くて心底めんどくさい妹だが仲良くしてあげてほしい」


「それ言っちゃうんですね!?」


 驚いているアイトの腕を掴んで、スカーレットは笑って走り出した。


「さあ、お母さまに頼まれた物を買いに行こうか?」


 2人の不可抗力、偽装デートが幕を開ける。


 ◆◇◆◇


 西地区の商店街エリア。


「ねえ、お前たちの買いたいものってなんなの」


「僕は着替えとか」


「もう、どうでもいい‥‥‥」


 システィア、ジェイク、アヤメの3人が服を眺めながら話をする。その中の1人はほぼ魂が抜けた状態だったが。


「はあ? 私、男の服なんて興味ないんだけど」


「君から荷物持つと提案したんだが?」


「はぁ、約束破るなんてシスティアさんはクズ女〜」


「急に会話入ってきたと思ったらそれ!? お前は私に喧嘩売ってるの!?」


 恨みらしくジト目で呟くアヤメ、それに反応して睨みつけるシスティア。そして板挟みに合っているジェイク。


(全員1人で買い物した方が楽しめそうだな‥‥‥)


 ジェイクはため息を漏らした。友人と会話しながら買い物、なんて雰囲気は今の3人には微塵もない。


「ヴァルダンくん、決まったら私に渡して。荷物持って上げるから。クジョウもそれでいいわね」


「あなたの力を借りる気は無いですぅ!!」


「は?? 何言ってんのお前?」


(‥‥‥数ヶ月後の同盟国交流戦、不安だ)


 ちぐはぐ1年生3人の買い物は、まだまだ始まったばかり。



「ーーー今のところ西地区に異変は無いわ。南地区はどう‥‥‥セシル」


 その近くでは‥‥‥黒髪ショートボブの女性が、装着型魔結晶を耳に嵌めて小声を出すのだった。

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