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変装というよりコスプレである

 ユリア王女が拉致されたとされる、古びた遺跡付近。


 アイトたちは特殊戦闘服を着ているが、顔の変装は個性が出ていた。


 アイトはいつも通りの変装、エリスは黒い布を口元に巻いて隠し、カンナは普段のツインテールではなくポニーテールで伊達眼鏡。ミアはいつも身につけている黒いフードを深く被っていてリゼッタはなぜか眼帯。


 カンナとリゼッタは変装というよりコスプレである。


 「エリス。あの方法を使う。ユリア王女がどこにいるか教えてくれ」


 「わかりました」


 エリスは以前見せた謎のポーズを取って、遺跡を注視する。


 「いました。ここからだとーーー」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ん‥‥‥え? ここは‥‥‥」


 目が覚めると見たことない場所で眠っていたユリア。


 「!? な、なにこれ!」


 両手には手錠をされていて牢の中にいた。そこで自分が捉えられている事に気がついた。


 魔法を使おうとするが魔力を練ることができない。おそらく手錠に魔力封印の効果が付与されているとユリアは気づいた。


 「やっと目が覚めたかグロッサ王国の王女よ」


 牢の外に覆面をつけた謎の人間が現れた。


 「あなた、誰ですか! どうしてこんなことを!」


 「君が知る必要のないことだ。もうすぐ準備ができるからそのまま待ってろ」


 「じゅんび‥‥‥?」


 ユリアの声に反応せず覆面人間はそのまま牢から離れていった。


 ユリアはなぜここに連れてこられたのか思い出す。


 夕方。ユリアはアイトと別れた後1人で王都を歩いていた。


 夕方にしては人が少ないとユリアは感じていた。そしてそう感じた瞬間に謎の覆面が目の前に現れてからの記憶がない。


 ユリアから見て体格や声などから、少なくとも犯人は女性だった。そう考えていたら突然。


 「!? きゃああ!!!!」


 「な、なにごとだ!!!」


 謎の空間がユリアの周りを包み込み、ユリアはその中に吸い込まれていくのだった。


 覆面の人は全くその現象に対応できず固まっていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「よし、人が入った感触がある。あとは発動した【異空間】の元に行ってユリア王女を救出するだけだ」


 アイトは【異空間】にユリアを入れる事に成功する。ターナの弟、ヨファを救った時と同じ。


 「はいレスタくん! 質問なんだけど【異空間】って自由にどこでも物を出し入れできるよね?じゃあユリア姫をここに出すことはできないの?」


 カンナが気になったことをアイトに聞いた。


 「確かにそうなんだけど、それは重量が比較的少ないものに限られるんだ。人間の重量だとその場に留めておくことが限界」


 「へぇ〜そうなんだ!じゃあ助けないと!」


 「だから俺は最優先で【異空間】の元に向かう。魔眼で場所を把握してるエリスも来てもらいたい」


 「もちろんです。急いで向かいましょう」


 「ってことは、私たちの役目はレスタくんとエリスが目的地に向かうのを援護すればいいんだね!」


 「そういうこと。みんな、頼めるか」


 「もっちろん!そうだよね!」


 「その女は気に食わないけどお兄ちゃんのお願いなら」


 「もち、ろん」


 アイト、エリスはユリア王女の救出。


 カンナ、ミア、リゼッタは2人の援護。


 役割が決まったアイトたちは移動を開始した。





 「うわ、なんでこんなに魔物がいるんだ」


 アイトが言った通り遺跡の少し前になぜか大量の魔物が。


 するとリゼッタがアイトたちの前に出る。


 「さき、いって。レー、くん」


 「でもリゼッタ1人だと」


 「毒、あるから、へいき。レーくん、いそぎ」


 「‥‥‥ありがとう。リゼッタ、任せた。空を飛んで突破する!エリス、ミアを頼む」


 「承知しました!」


 「きゃ!? 何すんのよ金髪女!!!」


 「うぇ!? レスタくん!?」


 アイトはカンナを抱えて風魔法で飛行を始める。エリスもミアを抱えて後に続いた。


 残ったのはリゼッタと大量の魔物たち。


 「とう、ばつ、かいし」


 リゼッタは、独り言を呟く。





 アイトたちは魔物をくぐり抜けて遺跡の入り口手前に到着。その場にカンナを下ろす。


 「びっくりした〜‥‥‥でもありがとう!」


 「羨ましい‥‥‥羨ましい‥‥‥羨ましい!!!!」


 エリスにその場に降ろされたミアが怨念の声を上げる。


 「また機会があったらしてあげるから、今は救出が先だ」


 アイトはミアを軽く受け流す。


 「レスタ様。ユリア王女は地下4階にいます」


 「よし、行くぞ!!」


 アイトたちは遺跡の中に侵入していくのだった。




 1階。大きな広間。


 「あそこに地下に繋がる階段があります!」


 エリスの誘導についていくアイトたち。広間を走り抜け階段に向かおうとする。


 「!! お兄ちゃん!!」


 アイトに向かって火の玉が飛んできた事に気づいたミアが体から呪力を飛ばしてそれをかき消す。すると広間の奥から誰かが出てくる。


 「貴様らが我らの邪魔をする奴らか。全員消してやる」


 そう言ったのは覆面人間。覆面に謎のハートのマークが。すっごくダサい。


 「は、消えるのはアンタ。お兄ちゃんを狙うなんて脳みそ入ってないの??あ〜あ、これだからお兄ちゃん以外の生物は。害は全て消してやる」


 「ミア、任せた」


 アイトがそう言うとは階段で地下に向かった。ミアはアイトが狙われたことが我慢ならず1階に残る。


 「ふふっ、害は1人1人消していかないとね♪」


 「小娘が。邪魔をするな!!!!」





 地下1階。


 「ついてきてください!」


 エリスの後をついていくアイトとカンナ。


 そして廊下に差し掛かった時。


 「!? だ、誰だ貴様ら!!!」


 廊下にまた別の覆面人間がいた。覆面には星形のマークが書かれている。


 「あ、ここは私の出番だねっ!」


 カンナが走る速度を上げてエリスを追い越し、星形覆面に迫る。


 「やあっ!」


 カンナは手首につけていたヘアゴムを外して右手の親指で回す。するとヘアゴムの形状が変化した。その形は、まるでショートソード。


           キィィンッ。


 カンナの擬似ショートソードの攻撃を、星形覆面がナイフで受け止める。


 アイトとエリスはその2人の間を壁走りで通り抜ける。


 「頼んだ!!」

 「先に行きますね」


 「任せといてっ!! 後で追うから!」


 「くっ! なんだ貴様ら!?」


 アイトとエリスは先を急ぐ。そして地下2階の階段を降りて地下3階に向かうのだった。

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