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【50万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
9章 交流戦代表選抜試験

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禁忌の秘密

 アイト・ディスローグとルーク・グロッサ。

 他の人から見れば学園の後輩と先輩でしかない。だが、見る人によっては最大の警戒心を持つことになる。天帝と呼ばれる男と聖騎士の末裔である男。その2人が対峙する。


「僕は話に聞いた謎の魔物を討伐しようと動いてたところさ。1年生たちの無事も確認したかったしね。君は魔物のこと知ってるのかい?」


 ルークが穏やかな口調で話す。まるで他愛のない雑談でもしている調子だった。アイトは普段の自分を意識しながら言葉を返す。


「はい、知ってますよ。ていうか実際に目撃しました。王子の妹であるユリアさんと共に戦ったのですが、彼女の魔法で吹き飛ばされてしまって。だから今寂しく1人で皆と合流しようと動いてたところです」


「そっか。じゃあ一緒に行こう」


「もちろんです。ルーク王子と会えて本当に助かりました」


 アイトはいかにも普通の学生を装い、強者のルークに遭遇した事に安心した様子を見せる。内心ではどう思っていようと、誘いを断れば確実に怪しまれる。


「王子はやめてくれるとありがたいかな。普段は学園の先輩と後輩だし。君のお姉さんのこともよく知ってるしね」


「わかりました、ルーク先輩」


「よし、じゃあ行こっか」


 ルークが先導して走り出すと、アイトも後を追う。走るといっても学生なら余裕で継続できる速度だった。ルークが、アイトのことを考慮して走っているのだ。


「アイトくん。君はユリアや1年生たちがいる方角は何となく分かるよね」


「はい、おそらく中央付近だと思います。今も移動してなかったら、ですけど‥‥‥」


「わかった。それじゃあ急ごうか」


 アイトは走りながら、少しずつ疑念を強くしていた。ルークと鉢合わせたことは確実に不幸だ。最も2人きりになりたくない人物筆頭。

 だがルークの態度からは特に不審な点は感じられない。話す内容、仕草。怪しまれているとは思えない。その事が‥‥‥かえってアイトの警戒を強めていた。


「ちょっと待って、誰かいる」


 するとアイトの思考を遮るようにルークが呟いた。手を伸ばして走る事を止めるよう促すルーク。アイトは従うしかない。実際、少し先で誰かが倒れているように見える。


「誰か倒れてますっ」


「うん、急ごう」


 ルークは周囲を警戒しながら歩き出し、アイトも跡を追う。倒れている人物に近づくに連れ、アイトは動悸が早くなっていく。


「ーーーーーー」


 そして、アイトは目を見開いた。駆け寄ってしゃがみ込み、仰向けに倒れている人物を確認する。

 華奢な女の子だった。何よりも目を引くのが、銀髪のツインテール。アイトには心当たりがあった。


「ーーーっ!!!!」


 刹那、背中に迫る殺気。アイトは手を前に付いて地面を蹴り、飛び込むように前転して不意打ちを躱す。すぐに体勢を立て直すと、ルーク・グロッサが剣を持って微笑んでいた。


「いきなり何のつもりですかっ!!?」


 アイトは思わず声を荒げて問いかける。ルークはその質問には答えず、独り言を漏らした。


「今のを避けるなんて、やっぱりか‥‥‥」


「え!? どういうつもりなんですか!!?」


 聞こえなかったアイトが更に声を荒げて聞き返すと、ルークは嬉しそうに笑う。


「アイトくん‥‥‥いや、天帝レスタ」


 そして、アイトにとって禁忌の秘密を呟いた。


 ◆◇◆◇


 ユニカとリゼッタは早々に山岳地帯を下り、森の中へ入ろうとしている。


「ローグくんとは連絡がつかないし、森の状況も読めない。とりあえずさっきの爆破地点に急ぎましょう」


「りょ」


 山岳地帯を最短距離で下った2人の現在地は森の入り口付近。王国が管理している森であるため、入り口に看板が設置されているため場所の把握は容易。


「ここからだと結構近いわね」


「うむ」


 ユニカの言葉にリゼッタは率直に頷く。2人は周囲を警戒しつつ、森の中へ足を踏み入れる。


「ーーーァァァァギャァァァァァァ!!!!!」


 突如、表現のしようがないほどの大絶叫が2人に近付いてくる。ユニカは警戒を強めて構えを取り、リゼッタは手を目の近くに置きながら注意深く見つめ始める。


「あ、ミスト」


 そしてリゼッタの言葉通り、板に乗って斜面を滑るミストが2人の近くへ転がり込んで来た。


「ミストさん!? いったいどうしたの!?」


「どしたし」


 ユニカとリゼッタが駆け寄りながら手を差し出すと、号泣のミストは掴みながら立ち上がった。


「カンナが‥‥‥カンナが私に逃げるよう突き飛ばしたんですぅぅ‥‥‥ルーク・グロッサから逃げられないと悟ってぇぇぇっ」


「なんですって!? それじゃあカンナは」


「ほばく?」


 リゼッタが単刀直入に呟くと、目を擦るミストははっきりと頷いた。そして、鼻水を啜りながら2人に話す。


「今から‥‥‥カンナを助けますっ」


 そう呟いたミストの宣言に、2人は何か言うまでもなく首を縦に振る。だが、ユニカは懸念点を口に出した。


「でも今からまた山岳地帯に向かうのは‥‥‥全員の体力的に無理があると思う」


「それは大丈夫です。あの男は既に移動してます」


 するとミストがはっきりと言葉を返し、呟く。


()()()の見立てによると、ルーク・グロッサは必ず森にいて、さっき起こった爆破地点の近くにいると」

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