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【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
1章 王立学園入学

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王女が、2人もいる‥‥‥

「あ、あれっ‥‥‥?」


 目を覚ましたアイトは、学園の医務室にいた。割と本格的に意識を失っていたのだ。


「しかもいないし‥‥‥通り魔かよ」


 そして、マリアはもういなかった。その後アイトは渋々、寮の自室へ帰宅した。


(いきなり殴られたから、理由がわからない‥‥‥)


 アイトはなんで殴られたのか、全く理解していなかったのである。




 翌日。


(今度こそ平穏な学園生活を送るんだ!)


 朝早くに起きて制服に着替え、寮で朝食を食べて外に出る。


「‥‥‥‥‥‥(ジロ)」


 学園付近を歩いていると、門の付近で仁王立ちしている自分と同じ黒髪黒目の女の子が。


「げっ」


 アイトは昨日のことを思い出し、しゃがみ歩きで穏便に通り過ぎようとする。


「ーーーお姉ちゃんが待ってるのに無視すんな!!!」


「グェッッ」


 だが首根っこを勢いよく掴まれ、アイトは呻き声を出しながら引き戻される。


「え? 俺を待ってたの?」


「そうに決まってるでしょ!! お姉ちゃんが守ってあげるって約束忘れたの!?」


「‥‥‥?」


 本気で思い出せないアイト。

 しかも昨日自分を倒した張本人に言われても、違和感しかない。そして、周りの視線が痛い。


「ほらっ、教室まで送ってあげるから! 1年Dクラスよね!」


「はい、そうです‥‥‥」


 もはや、なんで自分のクラスを知ってるか。もう聞く気力すら湧かないアイトだった。




「着いた! それじゃアイト、また後でね!」


「は〜い‥‥‥はぁ」


 マリアが教室前から去っていった。アイトはすでに目立ちまくったおかげで気が萎えている。

 そして、クラスメイトと話をする事も無かった。




 魔法や歴史学の授業などが終わって、正午。


「ーーーアイト、来たわよ!」


「な、なに?」


 当然のようにマリアが姿を現す。


「私の友達が、あんたと話してみたいって! しかも向こうの妹がね、あんたと同じ新入生らしいわよ!」


「いや、そんなことどうでもーーー」


「早く行くわよ!!」


「話聞いてっ!?」


 姉に腕を力強く掴まれ、泣く泣く引っ張られていくアイトだった。 





 食堂。アイトたち4人は目立ちまくっていた。


「あ、アイト・ディスローグです。1年Dクラスです。よ、よろしくお願いします」


「はい、よろしくお願いしますね。では次は私が」


 目立つのは仕方なかった。


(グロッサ王国の王女が、2人もいる‥‥‥)


 そして、アイトは戦々恐々としていた。


「ステラ・グロッサ。3年Aクラスです。マリア先輩には、いつもお世話になっています」


「ふふん、そんなことないでしょっ」


 笑顔で振り下ろされたマリアの手を、ステラが華麗に躱して優しく微笑む。


「あなたの事はよく聞いていたので、ぜひお話ししてみたかったの。よろしくお願いしますね♪」


「は、はい。よろしくお願いします」


 アイトはとりあえず返事するだけで精一杯。



 ステラ・グロッサ。グロッサ王国の第一王女。


 水色の綺麗な髪を背中あたりまで伸ばし、綺麗な水色の目をした超絶美人。平穏を望むアイトにとって、間違いなく関わりたくない相手の1人である。


「ごめんなさいね。兄さんは今日任務に出ているの。ぜひお会いしてもらいたかったのだけど」


 ステラが申し訳なさそうに言う。


「いやお気遣いなく」


 アイトは苦笑いを浮かべて手を振る。ちなみに、彼の本心はこうである。


(聖騎士の魔眼持ちの王子に会ったら、もうっ‥‥‥終わりだ!!)


 血の涙を流しそうなほどの、感情の濁流。


「ルーク先輩は今、単独任務だから仕方ないわね。隊員の私も出番無しだし。先輩、ちゃんと休めてるかしら」


「ーーーへ?」


 すると、マリアから穏やかじゃない発言が飛び出た。アイトは思わず、机を叩いて見つめてしまう。


「ちょっと待って?? 姉さんが隊員?」


「‥‥‥あんた知らなかったのね? 私が『ルーライト』に所属してるってこと!」


「‥‥‥ルーライト??」


 素直に聞き返すと、マリアが呆れた様子を見せる。


「あんた‥‥‥そんなことも知らないの? 『ルーライト』はね、ルーク先輩が隊長を務めてる、王国内の実力者で構成される精鋭部隊よ」


「‥‥‥うぇ???」


 アイトは全く知らなかった。いや、部隊の事は知っていた。

 知らなかったのは、姉のマリアが王子の精鋭部隊に所属していることである。


(もしかしてすごいことでは??)


「今はそんなことよりステラ、あんたの妹ちゃん紹介して!」


 アイトがもっと聞こうとしていた矢先、話をぶった斬るマリアである。


「ほらユリアちゃん、ご挨拶」


 ステラの隣に座る銀髪少女が、意を決した様子で口を開く。


「は、はい! ユリア・グロッサです! 1年Aクラスです、よろしくお願いします!」


(いや新入生代表してたから知ってるよっ?)


 ユリア・グロッサ。グロッサ王国の第二王女。


 銀髪ロングで綺麗な青い瞳。そして今年の新入生代表。とにかく同級生の中で、アイトが1番に関わりたくない相手。


「ユリアちゃん、新入生代表だって? さすがステラの妹ね」


「!?」


 ステラ王女のことを呼び捨てにする姉のマリア。

 それにアイトが戦慄する間にも、3人の会話は続く。


「それは試験は魔法が重視されてたからです。わたし、すっごく運動苦手なんです!」


「そんな謙遜しなくてもいいわ。アイト、あんたも私の弟なんだから負けてられないわよ!」


「マリア先輩からは魔法の扱いがお上手だと話は聞いています。ぜひ機会があれば見せて欲しいです。アイトくん、これからユリアと仲良くしてあげてね?」


「は、はあ」


 かろうじて返事をするアイトだが、内心は穏やかではない。


(え‥‥‥もしかして魔法のことバレてる? いつ見られた? まさか姉さんって勇者の魔眼持ちか?)


 そんな疑いを抱く間にも、ユリアに話しかけられる。


「あ、アイトさん。よろしくお願いします」


「は、はい。お願いしますユリア様」


「様はやめてほしいです、同い年ですし、これから仲良くしたいですから」


 アイトの頭は既に情報過多で限界を超えている。


「わ、わかりましたユリアさん」


「ありがとうございます! 姉さん、初めて友達ができました!」


「よかったわね、ユリアちゃん。マリア先輩に頼んで正解だったわ♪」


(俺のここに呼んだのは、あんたの策略か)


 逆らえないアイトは、心の中でしか姉に悪態をつけない。姉弟という関係が身に染みている。


「あんたたち緊張しすぎよ。とりあえず好きな異性の好みでも話したら?」


(鬼か!!? いやもともと鬼だったわ!!)


 これ以上居続けると本音が口から出てしまうと察し、アイトは咳払いをしながら落ち着こうとする。


「あ、そろそろ昼休み終わるから。俺は戻るよ」


 そして、急いでこの場から離れようと立ち上がった。


「あ、あの! 次の授業って何ですか?」


 だがユリアに話しかけられ、無視して去るわけにもいかなくなる。


「え、え〜と、王国史ですね」


「わたしも一緒です! A、Dクラスの合同授業、わたしも一緒に行っていいですか!」


 合同授業。他のクラスと友好関係を築いたり、また切磋琢磨するために行っている授業。


(まさか次の授業が被っているだなんて! ど、どうする‥‥‥断ったら俺が嫌がってるみたいじゃん!)


 実際に嫌がってるのだから、当然である。


(しかもステラ王女が笑顔で見てくるし!)


 第一王女の眼差しを浴びて‥‥‥アイトは、顔を下げて息を吐く。


(こんなん、逃げ道ないでしょ‥‥‥)


 そして、精一杯笑顔を作りながら、ユリアへ優しく話しかける。


「い、行きましょうカ。ユリアサン」


「!! はいっ!」


 まるで花が咲いたような笑顔を見せるユリア。

 こんな笑顔見せられたら、アイトにはもう断れなかった。


(俺の学園生活、平穏とはかけ離れてる‥‥‥)


 エルジュ代表『天帝』レスタ。今は翻弄され続け、全く良いとこなしである。


「よろしくおねがいしますね!」


「あ、ハイ」


 結局、次の授業はユリアの隣で受けることになり、周囲の視線の嵐に全身を晒されることになった。


「‥‥‥‥‥‥」


 アイトの学園生活、既に平穏とは無縁である。

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