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【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
序章 誕生と組織結成までの軌跡

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初任務

黄昏トワイライトと教官はこの場に残ってくれ。他の訓練生は解散。これからの活躍に期待する」


 アイトがそう言うと、大勢の訓練生が一斉に返事をして解散していく。

 そして訓練場にはアイトと序列上位10名、そして教官のラルドが残った。

 アイトはとりあえず表彰台から降りて、10人と向かい合う。


「まずは自己紹介をしよう。知ってる人もいるし、知らない人もいる。まずはお互いを知ろう」


「その通りです。さすがですレスタ様」


 エリスの合いの手を受け、アイトは若干恥ずかしそうに咳払いをする。


「‥‥‥俺はレスタ。一応この組織の代表になる。これからよろしく」


 アイトは簡潔に自己紹介する。10人から拍手され、少し気恥ずかしそうに頭を掻いた。


「じゃあ、次は君たち。エリスから順番に頼む」


 アイトがそう言うと、それぞれ順番に自己紹介を始めた。


「エリスです。レスタ様には『エルジュ』に入る前から仕えています」


「チッッ」


 誰かが舌打ちしたような気がしたが、たぶん気のせいだろうとアイトは思い込んだ。

 そして、エリスは全く気にせずに話を続ける。


「ここにいる者は同じ立場の同士。だから言います。私は『勇者の魔眼』持ちです」


 エリスの発言に、大半が驚いて声を漏らす。


「信用して話しました。他言したら、わかりますよね?」


 釘を刺すように忠告すると、エリスが微笑む。


「ではみなさん、これからよろしくお願いします」


 アイトは苦笑いを浮かべて拍手していた。エリスの笑顔に、相当な圧を感じたからだ。

 そして、自己紹介は続く。


「‥‥‥ターナだ。元暗殺者。以上」


(短かッ!!)


 序列2位、ターナ。

 冷静沈着で一匹狼な少女に、アイトは驚きながらも拍手を送る。


「カンナだよ! この目を見たらわかるよねっ! そういうこと! みんなはすでに知ってると思うけど一応エリスと同じで他言無用でよろしくね!」


(確か、前もそんな事言ってたな‥‥‥)


 序列3位、カンナ。

 天真爛漫で明るい少女に、アイトは拍手を送る。


「アクア」


(さらに短いッ!?)


 序列4位、アクア。

 眠たそうに名前だけ呟いた少女に、アイトは驚きつつも拍手を送る。


「カイルだ!! 弱いやつに興味ねえ!! レスタを倒すためにこの組織に入った!!」


(宣戦布告かよっ!!)


 序列5位、カイル。

 好戦的に笑い両手の拳をぶつける大柄の青年に、アイトは少し怖気付きながらも拍手を送る。


「ミア。おにいちゃん以外の有象無象には興味ない。おにいちゃん、ミアがんばったんだよ? あとでいっぱい褒めて♡ それとさっきの脳みそ筋肉はミアが後で殺しとくから〜♪」


(1番反応に困るんだけど‥‥‥)


 序列6位、ミア。

 相当な口の悪さと満面の笑みを浮かべる少女に、アイトは困惑しながらも拍手を送る。


「オリバーです。エリスさんの紹介でここに来ました。エリスさんの主であるレスタさんを尊敬してます。よろしくお願いします」


(エリスの紹介‥‥‥だから俺は知らないわけか)


 序列7位、オリバー。

 柔らかい態度で穏やかに微笑む美青年に対し、アイトは納得しながら拍手を送る。


「リゼッタ‥‥‥レーくん、みんな、よろすく」


(前より話せるようになってるッ‥‥‥がんばってるんだな、リゼッタ!)


 序列8位、リゼッタ。

 無表情で必死に口を動かす少女に、アイトは保護者のように喜びながら拍手を送る。


「ミストですっ!! ら、ラルド様の元側近です‥‥‥あ、足を引っ張らないようにがんばりますぅぅぅ!!」


(ビビりな所は変わってないみたいだ‥‥‥)


 序列9位、ミスト。

 涙目で勢いよく頭を下げる少女に、アイトは苦笑いを浮かべて拍手を送る。


「メリナ。戦闘はあまり得意じゃないけど、頭を使って貢献していくから。よろしくね、みんな」


(本当に賢そう‥‥‥あとすごく大人っぽい‥‥‥)


 序列10位、メリナ。

 妖艶に微笑む女性に対し、アイトは目を奪われながらも拍手を送った。


 こうして、エリスたち全員の自己紹介が終わる。


(‥‥‥うん。やっぱり個性が強すぎるな。それとできれば特技とか知りたかった)


 アイトは内心焦っていた。個性派集団が、自分直属の精鋭部隊であることに。


「レスタ殿、これを」


 すると教官のラルドが、かなり分厚い書類を手に持っている。アイトは少し戸惑いつつも、冷静に聞き返した。


「ラルド、これは?」


「全訓練生の能力資料だ。指揮するときに役に立つかと」


「‥‥‥わかった」


 アイトは神妙な表情で受け取りながら、左手に持つ。


(330人の指揮って、素人がしていいものなの?)


 ちなみに頭の中では、このように率直な疑問が浮かび上がっている。銀髪と仮面が象徴の代表、その内面は普通に一般人。


(とりあえず、この10人の行動について話しておこう)


 アイトはとりあえず咳払いをすると、真剣に前を見て話し始めた。


「まず君たちの普段の行動について。基本自由だ」


「え? 自由、ですか?」


 エリスが聞き返す。他の人も理由を聞きたい様子である。


「君たちは相当強いと思う。単独行動でも良いくらいだ。それぞれ別々に動いた方が効率が良い」


 アイトは率直な言葉を口にして説明した。何より、自分が綿密に行動を指示するのは無理だと察していた。


「さすがでーーー」


「さすがお兄ちゃん♡」


 エリスの言葉に被せるように話したミア。

 エリスは笑顔だが、心の底から笑っていない。


(な、なんだ2人って仲悪いのかっ‥‥‥!?)


 アイトは気まずくなりながらも、また咳払いして続きを話す。


「‥‥‥基本は自由に行動してくれ。自分で何をするか決めて動く習慣をつけた方が、対応力が身につくから」


「さすがレスタ様です」

「さすがお兄ちゃん♡」


 エリスとミアに続くように、他の皆も頷く。

 小さく息を吐くアイトは、ふと疑問が思い付く。


「そういえば、ラルド。この組織を運営するのに、資金とか大丈夫なのか?」


 それは組織運営の費用。別空間に作ってあるとは言え、広大な敷地と様々な建物、設備の維持費。

 また構成員の食費や生活費など‥‥‥考えるだけでキリが無い。アイトは強烈な不安に襲われる。


「それは心配ない。エリスがレスタ殿から聞いたといつ知識や技術を活かし、商売を営んでいるからな」


「商売‥‥‥」


 アイトは小声で呟き、エリスの方を見つめる。

 確かに、彼女には今まで様々な事を話した。


『例えば、もし商売をするならーーー』


『こんな商品とか良いと思ってーーー』


 それは、前世で培った知識や価値観。後の平穏な生活に役立てばと、アイトは積極的に話していたのだ。


「革新的な料理や商品の販売により表向きは飲食店や道具屋として、十分すぎるほど利益を上げている」


 それがまさか、予想をはるかに上回る成果を挙げているとは、思ってもいなかった。


「へぇ‥‥‥それはすごいな」


 アイトは冷静にこんな事を言っているが、心の中では。


(嘘だろっ!? どれだけ利益出してんだっ!? エリスって商売の才能もあったのかよッ‥‥‥!?)


 『勇者の魔眼』持ちの金髪美少女が、ここまでの才能を有していることに驚愕している。


「今では『メルティ商会』として、どんどん規模を拡大している。『エルジュ』の資金を確保するための、表向きな商会をな」


(メルティ商会って最近国内で話題になってる、あの!? 『エルジュ』のフロント企業だったのかよっ!?)


 真顔で佇むアイトは、心の中では暴れまくっていた。


「『エルジュ』には訓練生の他にも商業や産業に長けた者、職人など様々な分野で活躍する者がいる」


 ラルドの話は、まだ続いていく。


「その者たちのおかげで、今は組織の資金は十分に安定しているぞ。余った資金の大部分は保管しているが、この拠点の拡大のため少しずつ投資している」


「驚くほど順調だな」


 アイトはそんな言葉しか送れない。


「すべてはレスタ殿の知恵のおかげ」


(いや前世の偉人たちのおかげだわ。それにエリスの商才が恐ろしすぎる)


 この後、アイトは様々な情報を知ることになり、驚愕と共に時間が過ぎていく。


「‥‥‥とりあえず、今日はこれくらいかな。お開きにしよう。みんな、お疲れ」


 アイトは話を区切ることにした。何より情報過多で、自分が休みたかった。


「それではレスタ様。今から拠点のご案内を」


「レスタくんっ、今から試合しようよ〜! 私にレスタくんの技を見せて〜!」

  

「ずるいぞカンナ! 俺だってレスタと戦いたいんだよ!!」


「お兄ちゃ〜ん♡ 今からミアの部屋に行こ♡」


 エリス、カンナ、カイル、ミアが同時に代表アイトを誘う。


(マジで言ってる? お腹いっぱいなんだけど‥‥‥)


 アイトは既に、これまで驚きの連続で精神的に疲労していた。


「おにいちゃんにそんな時間は無いよ」


 すると、ミアが助け舟を出す。


「今からお兄ちゃんはミアの部屋に来るんだから。他は後日ね」


 その助け舟には網が張っていた。


「はあ? 何言ってんだこいつ!?」


「は??? 脳まで筋肉まみれツノ男には意味わかってないのかな??」


「アアッ!?」


 何故か、カイルとミアが言い合いに発展。


「まあまあ2人ともちょっと落ち着こうよっ! レスタくんが見てるし!」


「そうですよ2人とも。レスタ様が困ってます」


 カンナ、そしてエリスが助け舟を出す。


「アンタたちには関係ない」

「テメェらには関係ねえ」


 その助け舟は、見事に弾き飛ばされていた。


「あははっ、そうカリカリしないでっ!」

「‥‥‥(ブチッ)」


(あのエリスが怒ってらっしゃる!!?)


 アイトは戦慄していた。普段優しいエリスが起こると、恐怖の次元が違うからである。


(他の6人とラルドは無干渉だし。おいっ、こんなのでこの先やっていけるのか!?)


 アイトは不安を募らせるが、周囲に漂う険悪は空気は次の瞬間に一転する。




「ーーー教官!! ご報告があります!」


 そう言って入ってきたのは『エルジュ』の構成員。


「どうした!?」


「グロッサ王国近辺の村に大量の魔物が! 今はまだ被害はありませんが、破壊される恐れあり!!」


「なに!? 被害の規模は!」


「我々の一部の店舗にも、甚大な被害に遭われることが予想されます!」


「っ‥‥‥数はいくつだ!!」


 ラルドの切羽詰まった言葉に、周囲の空気は重苦しいものとなる。


「見た限り、およそ、500‥‥‥」


「500!? なんて数だ‥‥‥」


 今度はラルドが戦慄することになる。想像付かない数の魔物によって。


 グロッサ王国近辺の村はアイトの家とは全く無関係。だがその村には、王立学園に入学する人が数多くいる。


(その人たちが今死ぬと、もしかしたら学園自体が休みになる‥‥‥!?)


 そしてまた、アイトは戦慄した。


(それはダメだっ、もし学園に行けなくなれば色々困る!! それに俺が『エルジュ』での活動を控える言い訳手段が無くなってしまう!!)


 アイトに残された手段は、もはや1つだった。


(‥‥‥今なら、間に合う)


 心の中でそう呟くと、目を見開いて前を向く。


「みんな、準備してくれ。『黄昏トワイライト』‥‥‥出撃するぞ」


 それは、『天帝』レスタとして下す最初の指示だった。


「了解ですレスタ様。急ぎ支度を!」


「え〜? さっそく忙しいじゃんー」


「よっしゃあああ!!! 待ってたぜ!!!」


「お、お兄ちゃん‥‥‥♡ カッコいい‥‥‥♡」


 アリス、アクア、カイル、ミアが反応を示す。


 アイトは次に、教官であるラルドに話しかけた。


「ラルド。『黄昏トワイライト』以外の、この拠点にいる者たちはここで待機だ」


「まさか其方たちだけで行くつもりか!?」


 そんな言葉に、アイトはしっかりと頷く。


「俺たちは素性を知られてはいけない。多く連れていけばいくほど目立つ。他のみんなは、何かあった時のために待機」


「し、しかし」


「俺たちが戦ってる状況をこっちに同時刻で流すから、戦況を把握してラルドが指示を出してくれ」


「それでは危険がーーー」


 食い下がるラルドに対し、アイトは割り込むように言い放った。


「『黄昏』は、精鋭部隊なんだろ?」


 アイトの発言に、エリスたち(ターナ、アクア、ミストを除く)はやる気に満ち溢れた。


 もはや、ラルドに止められる術は無い。


「‥‥‥そうだな。ではこちらも万全の体制で待機しよう。『黄昏トワイライト』、レスタ殿と共に任務を全うせよ」


 ラルドはそう言うと、アイトに向き直る。


「レスタ殿、これを!」


 そして、手に持っていた物をアイトに投げる。


「?」


 アイトはそれを咄嗟に右手で受け取った。右手で掴んだもの、それは。


「希少な宝石と鉱石、そして指折りの鍛冶屋に頼んで作らせた。レスタ殿のために作り上げた、組織の中で最高の剣だ!」


「剣‥‥‥」


 アイトは確かな重さを感じる重厚な剣を、一心に見続ける。


「鍛冶屋が命名した『聖銀せいぎんけん』、使ってくれ!」

 

 アイトはその剣を確認する。黒の鞘に、銀色の長剣。


「綺麗だ‥‥‥」


 まさしく『聖銀の剣』という名に相応しい上質な剣。


「‥‥‥ありがとうラルド。使わせてもらう!」


 アイトは聖銀の剣を鞘に収める。


「レスタ様、これを」


「ありがとう」


 その時、エリスが剣帯を渡してくる。アイトは受け取った剣帯を付け、左腰に剣を差す。


「チッ‥‥‥」


 それを見ていたミアは舌打ちしていたが。


「‥‥‥みんな。準備はできてるか?」


 アイトの言葉に、皆が一斉に返事をする。


「よしーーー行くぞ」


 アイトたち11人が、拠点から元『ルーンアサイド』の本拠地に転移を始める。


「グロッサ王国に迫る魔物たちを、殲滅する!!」


 こうして、精鋭部隊『黄昏』の初任務が始まった。

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