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これからが楽しみ

 エルジュ本拠地、訓練場。


 既に夜を迎えて辺りを静寂が包んでいる中、規則的に響く音。


 「はあっ、はあっ、はあっ」


 勢いよく息を吐いた少女の鮮やかな金髪は、疲労に比例した大量の汗で湿っている。


 膝に手を置きたくなる気持ちを抑え、再び右手に持っていた剣を振る。


 少女の眼は真っ赤に染まっている。勇者の末裔の証ともいえる聖痕が刻まれている。


 「っ、はあっ!!」


 だが、今の彼女の両眼は濁りきっていた。


 (クソッ‥‥‥クソッ!!!)


 どれだけ剣を振っても、どれだけ身体を鍛えても(イジメ抜いても)、少女の気持ちは晴れない。


 脳裏に刻まれた敗北の記憶。懸命に振り払おうとしてもしがみついてくる、忌まわしい記憶。


 いやそれは自分に対する戒めとして、少女自身が無意識に深く刻み込んでいるかもしれない。


 甘えている自覚は無かった。


 だが甘えていないと自信を持って言えるのか?


 そんな自問自答を繰り返し、自分自身に負荷をかける。


 (私は、私は‥‥‥弱いッ!!!

  あなたに、『天帝』に追いつけない!!)


 構成員たちに『覇王』と言われ、憧れの的とも言える彼女は今、苦悩に蝕まれていた。


 普段のハードスケジュールの合間にも、寝る時間を削ってでも過度な訓練を行うほどに。


 それはオーバーワークという言葉では生ぬるい。


 エリス・アルデナは今までにないほど、精神的に追い詰められていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 襲撃から2日。


 アイトは日常に戻っていた。襲撃の影響で1日休みが入った次の日。


 今日は一時間目から全校集会を行うと言われる。


(赤髪の女にエレミヤ・アマド、舞踏会にいた女。奴らがゴートゥーヘルの主軸。エリスの言った通り、奴らは危険だ)


 1人で登校しているアイトは、思わず長考していた。


(もう受け身でいると対応できないかもしれない。エリスたちが危険な目に遭わないために、俺が奴らを倒さないと‥‥‥)

  


 アイトは一昨日の大襲撃を思い出しながら1人で歩いていると、学園の門の前に一際目立つ人物が立っていた。



(? あれは、天使さん?)



 それは『使徒』シャルロット・リーゼロッテ。眠たそうに欠伸をする彼女は周囲を見渡し、誰かを探している様子だった。


(あ、今日の集会のゲストにでも呼ばれたのかな? 天使さんの話、ありがたい話を楽しみにしておこ)


 アイトが能天気なことを考えて歩いていると、突然シャルロットの目線がバチっとぶつかる。


 「あ」


 「ん?」


 彼女は、アイトをガン見する。当然、目が合う。


 (やっべ、目が合った)


 遠くであるにも関わらず、真正面から見つめてくる彼女に対し、アイトは冷や汗をかきながら視線を逸らす。


 すると次の瞬間、シャルロットは足を動かし始める。その場ではなく、いかにも相手と距離を詰めるべく。


 シャルロットが歩いてくる。どんどん2人の距離が近づく。


 何か嫌な予感がしたアイトはとりあえず回れ右して、その場から離れるように足を進める。


 シャルロットが歩く速度を上げた。


 アイトは逃げるように迂回して歩く。


 シャルロットが軌道修正して追いかける。


 アイトは王都の方へと歩く(学園に入るルートではない)。


 シャルロットが平然とついてくる。どんどん早歩きとは言えない速さで足を動かす両者。


 「‥‥‥!」


 気づけばシャルロットは無表情にも関わらず、鬼気迫る雰囲気でアイトの後を追いかけていた。


 (え、なになになに!?)


 恐怖したアイトは痺れを切らして走り始めーーー。


 「ねえ、待ってよ」


 「ぐえっ!?」


 そんな文字通りの駆けっこが始まる前に、アイトの首根っこを掴んだシャルロットだった。




 「なんで逃げるの」


 そう言ったシャルロットは少し不機嫌そうだった。すぐにも頬を膨らませそうな様子で目を細める。


 「逃げるっていうか、やけに鬼気迫る感じだったし」


 「君に突然逃げられたからムカーってした」


 「え? 俺に用なの?」


 「あそこで待つ理由なんて、君しかいない」


 シャルロットは聞く人が聞けば歯が浮くような言葉を平然と言い放つ。


 人間離れした美貌に鮮やかな金髪、透き通った雰囲気を感じさせる彼女にそんなことを言われれば、魅了されない人はいないだろう。


 今の状況に置かれた、アイトを除いて。


 (こんな所で何言われても動じないけど!?)



 ‥‥‥高度300メートル付近で会話しているのだから。



 いつも目にしている王都のはるか上空。そこに見慣れた景色は無く、日常を過ごしているそんな場所がやけに小さく見える。


 シャルロットが翼でここまで浮上したのだ。アイトの首根っこを掴んだまま。


 今はアイトの両脇に手を入れて持ち上げ、同じ目線で話している(完全に赤ちゃんに『高い高い』をしている状態)。


 「具合はどう? 大丈夫?」


 「な、何のことでしょうか?」


 シャルロットに会った時は『天帝』レスタの状態だったため、アイトはかろうじて知らないふりをする。


 「? 魔力解放、魔燎まりょう創造を同時に発動して

  2日経ったけど、身体はもう大丈夫?」


 (あ、バレてるわ)


 一瞬で悟ったアイトはため息をつく。もう誤魔化す必要はない。アイトは首を傾げたままの彼女に話した。


 「大丈夫。昨日はちょっとキツかったけど」


 「よかった。うん、今はもうどっちも解除されてる。まだ自在に魔力解放と魔燎創造できないでしょ?」


 「たぶん。この前からどっちも使ってないからわからーーーってここで振るのやめて怖い!! この高さはシャレにならんて!!?」


 突然シャルロットが両手をブンブンと振り、揺さぶられたアイトは思わず声を上げた。


「ダメ。せっかく掴んだのに、感覚忘れるよ。1日に両方発動するのは大変だけど、最低でも毎日どちらかは発動すること」


「毎日、ですか」


「じゃないと窮地で発動した瞬間、身体がウガーってなるから」


 (この前ぜったい安静って言わなかった???)


 勝手に話を進めるシャルロットに対して、アイトは思わず小言を挟みたくなるが、それよりも気になることがあった。


 「ていうかそもそも魔力解放と魔燎創造を全然知らないです。だから1人で発動するの怖い」


 「え、知らないの」


 「だからどっちも詳しく教えてください!」


 「‥‥‥私に任せてっ」


 突然目を輝かせたシャルロットは、意気揚々と説明を始めるのだった。




 アイトはそれを熱心に聞いていた。シャルロットが饒舌に語り出したので、それを聞き逃さないように。


 『魔力解放』。本人の奥底に眠る魔力を解き放つこと。これができると自分の力の上限を引き上げられる。つまり自強化。


 魔力解放には、他にも多くの利点がある。

 まず解放した瞬間、魔力が膨張することで身体が万全状態に自動修復される。

 つまり一度だけ全回復できる。ナイフで刺されたにも関わらずアイトが動けたのはこの効果があったからだ。

 次に解放状態の間、眠っていた素質が開花する場合がある。

 今まで使えなかった魔法が、魔力解放によって使えるようになることがある。アイトの場合は治癒魔法が該当する。

 そして、個人差はあるが自身の能力が向上する。簡単に言えば自己強化。


 (なるほど、ゲームでのバフ効果みたいなものか)


 ただ自身の力を無理やり引き出すことになるため、身体への負担は大きい。だがこれも個人差はある。負担が大きい者もいれば小さい者もいる。



 次に魔燎創造。シャルロットが説明を始める。


 「まず魔燎っていうのは魔力を瞬間的に燃やすことで生成される上位互換のようなもの。だから出力が高い」


「その魔燎というものを、使うと?」


「そう。魔燎を大量に消費することで周囲に影響を与え、独自の空間を作り出す」


 口下手なシャルロットにしてはかなり分かりやすい説明。彼女の話はまだ続く。


「魔力を消費して魔燎を作るのにはコツがいるの。それも口では説明できないほど複雑。魔核から魔力を生み出すのも感覚だからね。だから魔燎創造をできる人は本当に限られてくる」


「あの〜‥‥‥その魔核ってなに?」


「‥‥‥それも知らないの?」


「はい、知らないです‥‥‥」


「もう、これだから最近の子は」


(この世界でもそんな言い回しあるんだ!?)


 驚くアイトを無視したシャルロットはす〜っと目を細めながら無表情で見つめる。


「魔核っていうのは心臓と密接していて、自身の魔力を貯蔵している核。簡単にいうと魔力を司る重要器官なの」


「そんなものが‥‥‥」


「だから魔法使いにとっての心臓とも言える。これを破壊されれば、二度と魔法は使えなくなる。自分にとっての本質が眠ってる大切な場所」


(うん、とりあえず超重要ってことはわかった)


 シャルロットの複雑な説明に対し、簡略的な感想を述べたアイト。


 シャルロットはその後も詳しく説明を続けた。そんな彼女の口は、普段の数倍増しに饒舌だった。


 アイトは自分なりに解釈して彼女の説明を理解した。



 『魔燎創造』。魔力を瞬間的に燃やして生成される魔燎を大量に消費することで独自の空間を作り出す。その時点での自分の極地と言ってもいい。

 それを、魔燎を創造すると言うらしい。


「あの、極地ってなに」


「発動した時点での自分の最高地点。文字通りの限界値って言った方がわかりやすい?」


 魔核から作られた魔力をさらに練った魔燎を独自空間として形にするため、多くの融通が聞く。能力や性質は発動者によって大きく変わる。魔力解放とは対となる奥義に分類されるもの。


 だが魔核に相当な負荷をかけるため、魔燎創造中は本人が弱体化する。範囲を広げれば広げるほど弱体化の相対値も跳ね上がる。

 魔力出力が落ちたり、発動可能な魔法が減ったりなど、さまざまな弱体化がある。それも個人差はあるが、自己が強化されることはまずない。


(つまり単純な自己強化が魔力解放。自己を弱めて独自の空間を作るのが魔燎創造か)


 わかりやすく自分なりに考えをまとめていると、今だからわかる新事実に気づいた。



(え、じゃあ修業中のアーシャは弱体化してた!? あれで!? 俺、完膚なきまでボコられたけど!?)



 修行中のアーシャは自身の魔燎創造で、創造した空間内の時間経過を早めていた。その効果範囲もシャルロットの言う融通が聞くという点に含まれている。


 その分アーシャは弱体化していたということにもなるが。


 自分の師匠の恐ろしさを再認識していると、2つについて不意にとある疑問にたどり着く。


「え、じゃあ魔力解放と魔燎創造を両方発動すれば良いじゃん。空間作れて弱体化も防げるし」


「そう簡単じゃない。だから君に興奮しているの」


(言い方っ!!)


 目を輝かせたシャルロットの紛らわしい言い方と共に、アイトの意見に待ったが入った。


「両方とも発動した後の負担が大きい。特に魔燎創造は魔法の心臓である魔核を普段よりも活性化させる。だから発動者自身が拒絶反応を起こす場合もある」


「あ、だからこの前あんなに辛かったのか」


 アイトは2日前の発動直後を思い出していた。


 「そういうこと。最悪の場合、君は死んでた。

  だから私も、とてもヒヤヒヤした」


 「怖っ!!」


 彼女の発言を引いてアイトは内心ヒヤヒヤした。


 「それにどちらも、習得するための条件は一切不明。人によって変わってくる。特に魔燎創造は水物なの」


 (あ、だからアーシャはあんなこと言ったのか)


 アイトは以前聞いた時の、曖昧な助言をした彼女の言葉を思い出していた。


 「君はどうだった?」


 「‥‥‥死ぬ寸前だった気がする」


 アイトの発言を聞いたシャルロットは少し考えた様子を見せてから、ゆっくりと口を開く。


 「つまり君の場合は生と死の狭間で掴んできた。しかも両方。間違いなく君には素質がある。君のように両方同時に覚醒したのは1人しか知らない。だから、君にとても興味がある」


「へ、へぇ〜‥‥‥」


 「それに魔力総量、魔力出力、魔力制御もすごいし普段から鍛えてるのが分かるくらい身体能力も高い。剣術、体術もなかなかのもの。うん、面白い。まさに才能の塊。未完の大器。そういう子だいすき」


「へ、へぇ〜!」


 ベタ褒めされて、まんざらでもないアイト。勘違いで褒められることは多々あるが、実際に褒められるとやはり素直に嬉しかった。


 それも伝説と讃えられる相手からの数々の称賛。嬉しくないわけがない。


 「私も今は両方発動できるけど習得時期は違ったし、きっかけも全く違った。でも、たった1つだけ両方に共通してることがある」


 「え、なに?」


 「それは『何物にも変えがたい経験』。もしかしたら、それがトリガーなのかも」


 (‥‥‥俺の場合は『死と後悔』という経験。確かに、あんまり覚えてないけどあの経験はあの時、あの状況でしかできなかった気がする)



 エリスが眼を抉られそうな場面をみた精神の極限状態、そして自身が体験した死への一歩手前。溢れかえった走馬灯に、自分に対する無力感と絶望感。


 アイトにとって考えうる限りの最悪の形で死んでいてもおかしくなかった。



 そんな地獄を一度に体験したことで、特別な()()が目覚めたのかもしれない。


 そして、アーシャとは違って律儀に詳しく教えてくれるシャルロットに、アイトはもっと気になることを聞くことにした。


 「自分と相手の魔燎同士が重なったらどうなる?」


 「基本は後出しした方の魔燎空間が残る。後に出した方の発動者の魔燎がその場を支配する。で、先に出して乗っ取られた方は魔燎が破壊される」


 「破壊、って」


 「魔燎を創造するために活性化していた魔核に大きなダメージが入る。大変」


 「それってやばいの?」


 アイトが聞き返すと、シャルロットは何度も頷いた。


 「すごくやばい。間違いなく身体に異常が出るし下手をすると命を落とす」


 「こ、こわっ!」


 「あのね、魔燎創造は発動直後が1番出力があるの。だから余程魔燎の強さに差がある場合を除いて、先に発動していると後に発動した相手の魔燎出力に耐えられないことがほとんど。基本は先に発動しないように意識して」


 「は、はい。あ、じゃあ同時だったら?」


 「そんな事はほとんど起きないけど、魔燎、つまり極致の強い方が支配する。その時に攻め合いに負けた方の魔燎が破壊される」


 「破壊されたらどうなる?」


 「しばらくの間、魔燎を創造できない。魔核に負荷が掛かって精神的苦痛が伴う。弱体化状態も継続されるから、圧倒的に不利になる」


 魔燎創造は後出しの方が有利という基本理論はあるが、極致(現在の自分の最高地点)が相手よりも極端に強い場合は先に出しても攻め合いに勝つ。


 つまり圧倒的な実力があれば策を練らなくても魔燎の攻め合いに必ず勝てる。


 自分の魔燎、つまり自分の極致(魔核)に自信ある場合は即座に魔燎創造すればいい。まさに実力主義の奥義といえる。



 この後も、アイトは質問を続けていく。もはやシャルロットによるありがたい授業となっていた。


 「じゃあ魔力解放と魔燎創造、どっちが強い?」


 「場合による。魔力解放は単なる自己強化だけど、魔燎創造は人によって能力や性質が全く違う。中には意味不明な魔燎を持つ人もいるし」


 (あ、俺も知ってるわ。この世の理を無視してるやつ)


 アイトの頭の中で、自分の師匠であるドS銀髪女性が高笑いしていた。


 「魔燎創造の方が得意な人もいるし、逆に魔力解放しか使わないような人もいる。毎回同じこと言ってごめんなさいだけど、本当にこの2つは人によって全く違うの」


 シャルロットがどこか申し訳なさそうに目を細める。


 「教えてくれてありがとう! 超わかりやすい! もっと聞いていい?」


 アイトは本心でそう話すと、シャルロットは翼をバサバサしながら「うん、もっと聞いて」と口角が少し上がった。心なしか興奮しているようにも見える。


 折角の機会だと察し、この際アイトは聞きたいことを聞きまくる。


 「魔燎を創造されたら、破壊する方法はある?」


 「空間の壁を破壊するのはかなり大変。ていうか周囲の景色が変わることが多いから空間の境界線が全然分からない」


 「なるほど‥‥‥」


 「だから発動者本人を攻撃するのが鉄則。魔燎創造は尋常じゃない集中力を使うから少しでも外部の刺激を受けると持続が困難になる」


 (じゃあ修行の時、アーシャに攻撃を当てることができればあの魔燎空間も解除されてた? ‥‥‥つまり俺の攻撃が当たらない前提で修行しやがったのか!! あのドSアーシャ!!)


 またも新たな事実が発覚し、ドS銀髪女性の掌の上だったことにアイトは悔しさを感じた。アーシャはまだ全然、力の底を見せていないと。



 その後も、2人の会話は弾んでいた。無表情で口数の少ないシャルロットがぐいぐい詰め寄りながら饒舌になっているほどだ。


 「え? そんな能力の魔燎もあるんだ」


 「あれは厄介だった。意味不明すぎるもん」


 「ちなみに天使さんはどっちの方が得意?」


 「魔燎創造かな。あれ使ったら楽だし」


 「天使さんの魔燎創造か‥‥‥想像つかないな」



 魔王を討伐したとされる伝説のメンバーの1人、『使徒』シャルロット・リーゼロッテの魔燎創造。アイトは全く想像がつかない。



 「見てみる? あ、今から手合わせする?」


 「やめときます」


 まだ本調子じゃないアイトは即座に断った。




 やがてシャルロットは話すことが無くなり、アイトは思いつく限りの聞きたいことを聞けた。お互い満足そうだった。アイトはシャルロットに持ち上げられたままだったが。


 「詳しく教えてくれてありがとう。それじゃあ俺はこれでーーーってホントやめて!?」


 アイトはそう言ってシャルロットの手から逃れようとすると、彼女にブンブン上下に揺さぶられた。


 「待って、私の話が済んでない」


 「あ。そう言えばそうだった。‥‥‥ていうか俺の方も済んでなかった!! レスタが俺って誰にも言わないでください!」


 「わかった言わない。それよりも」


 「それよりもっ!?」


 どうでもいいと言わんばかりに聞き流したシャルロットが話し始める。


 「君にとても興味がある。つまり育てたい。私が手取り足取り。だから、私の弟子になってほしい」


 「‥‥‥はい?」


 斜め上の提案に、アイトはとぼけることしかできない。


 「で・し。私の、でし」


 シャルロットは口を大きく開けて聞き取れるように丁寧に発言した。明らかに論点はそこじゃないと気付かず。


 「いや聞こえてますけど、なんで?」


 「最近、魔物の動きが活発になってるの。それに一昨日のゴートゥーヘルっていう襲撃者。平穏を破壊しようとする勢力がいる」


 「! そう、ですね」


 「それに対抗できるだけの力が必要。君には、その最前線に立つ素質がある」


 「まあ確かに、奴らを倒すのは絶対ですけど」


 「あ、もちろん育てたいのは君の他にもいる。君といっしょにいた金髪の女の子も育てたいし、この国の王子にも興味がある。あとは競技場で見つけた青髪の女の子。育てがいがありそう。すごく楽しみ」


 そう言った彼女は思わず舌舐めずりをしそうなほど嬉しそうだった。


 「? エリスとルーク王子はともかく、アクア?」


 予想外の名前が挙がり、アイトは思わず聞き返してしまう。


 「あの子の気配、既に私たち側にいる。魔力解放を使えるっぽいし」


 「アクアが!? 全然知らなかった。あいつ、いつの間にそんな感覚掴んだんだろ」


 アクアが魔力解放を掴んだきっかけは、エルジュに加入する際に魔族の翼を斬り落とした時。


 その時に見ていたラルドが魔力解放という言葉を教えたのだ。もちろんアイトはそんなこと知らない。


 「とにかく、次の世代の君たちを育てたいの。どう?」


 (ありがたいけど、俺の師匠はアーシャだからなぁ。でもなぁ、この人の修行は絶対わかりやすいよな)


 アイトは腕を組んで葛藤する。


 シャルロットは魔法では右に出るものはいないと言われる伝説の冒険者。


 魔力解放と魔燎創造の説明も詳しく丁寧に教えてくれた。


 そして性格が優しそう(自分の師匠と比較して)。


 でもシャルロットに弟子入りするのは、自分から頼み込んだアーシャに対して失礼な気がした。


 決心が決まったアイトは、顔を上げて返事をする。


 「ごめん天使さん。俺、もう師匠がいるから」


 「師匠が2人になっても別にいい」


 納得してなさそうなシャルロットはすぐに割り込んできて、アイトは少したじろぐ。


 「いや、それなら他の人を教えた方が」


 「放課後ここに集合ね。話の続き。じゃあね」


 「え、いやそれはって!? おい待てぇ〜!!?」


 アイトの両脇から手を離し、すぐにいなくなってしまうシャルロット。そして当然、落下するアイト。



 アイトは上空から地面に着地するのに1時間かかった。


 しかも風魔法の応用、【飛行】を長時間駆使したことで魔力がスッカラカンになってしまったのだった。




 無事に遅刻したアイトは教室に着くと先生に怒られ、全校集会が行われる。


      『明日から1ヶ月、学園を閉鎖する』


 学園長の発言に開いた口が収まらない。アイトにとっての平穏は、確実に遠のいた。




 午後。


 「学園の閉鎖は一昨日の襲撃のせい」


 「そ、そうだよな‥‥‥」


 (何当たり前のように上空で世間話してんだ?)


 落ち込んでいるアイトは上空でシャルロットと約束していた話の続きをしていた。次は首根っこを掴まれた状態である。


 「でもこれで時間ができた。心置きなく修行できるよ。

  君はもっと喜ぶべき、天の導きだね」


 (天使さんに言われると反応に困る‥‥‥)


 冗談か本気か分からない発言に困惑するアイト。そのため、思わずその発言を鵜呑みにしそうになる。


 「ちょちょっと待って? やらないよ?」


 「? なんで??」


 シャルロットは意味がわからないと言った様子でコテンと首を傾ける。


 「それは‥‥‥」


 「なに?」


 「忙しいというかっ‥‥‥」


 「? 学園が閉鎖したのになんで忙しいの?」


 (無垢な視線が痛いっ! 痛いっっ!! でも修行でまた組織から離れるっていったらいよいよエリスたちに怒られるどころか最悪の場合、組織内で暴動が起きるっ!!)


 咄嗟な言い訳に対して容赦無いド正論をかましてくるシャルロットに、アイトは言葉を捻り出す。


 「さ、さっき言ってた師匠に呼び出されてて〜」


 シャルロットはその言葉をぼんやり聞いていた。その反応は納得しているかどうかも分からない。


 (ごめんアーシャ、断る理由に使っちゃって‥‥‥でもやっぱり天使さんに弟子入りするのはアーシャにも失礼な気がするんだ)


 アイトは心の中でドS師匠に謝りながら嘘をついた。


 「‥‥‥その師匠って人、私より強い?」


 「え? う〜ん少なくとも同じくらいは強いかと」


 「もし私の方が強いなら、私に教わるべき。ぜったい私の方が強い。私が育てる、育てるべき」


 シャルロットは普段の態度からは想像できないほど、必死に食い下がる。


 シャルロットはアイトの手を握りしめてガン見する。その視線から逃れようと自分の視線を逸らす。


 「‥‥‥あ」


 するとアイトはとある考えを閃く。別に逃げの一手ではない。2人が納得できるような、そんな一手を。


 「それじゃあーーー」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 エリスたちの潜伏拠点、『マーズメルティ』。


 営業時間が終わったため、後片付けを始めていた。


 「エリス、休憩時間に鍛錬するなんて。それに、なんか様子も変だったし。聞いても何も答えてくれないし。明らかに無理してるよね‥‥‥大丈夫かな」


 掃除当番のカンナは情報収集のため滞在しているターナに話しかける。


 「あいつはああ見えて負けず嫌いだからな。レスタ以外に負けることは許せないんだろ」


 報告によりエリスがルークと戦って痛み分け、ゴートゥーヘルの最高幹部と戦って負けたという自己報告を教官のラルドと『黄昏トワイライト』のメンバーは聞いている。


 ターナたちは衝撃を受けた。オリバーに至っては少し静養をしなくてはならないほどの精神的ショックを受けた。


 「でもルーク王子との死闘はともかく、ゴートゥーヘルの件は仕方ないよね‥‥‥? 消耗した状態で戦って、卑怯な手を受けたらしいし」


 「そんなことはわかってる。でも理屈じゃないんだ。理由はどうであれエリスが負けたのは痛い」


 エルジュの中で最強格であるエリスが、天敵である組織の最高幹部に負けた。その事実がもし他の構成員に知れ渡れば、組織の士気が低下することは避けられない。


 それほど、エリスの存在は組織にとって大きかった。


 「‥‥‥そうだよね。あのエリスが、だもんねっ‥‥‥」


 「おいっ、カンナ‥‥‥!?」


 だが、カンナが泣き出すとはターナでも予想していなかった。


 「くやしいっ‥‥‥くやしいよっ!! 私、何にもできなかったっ!!! レスタくんがエリスが、みんなが頑張ってたのに私は何もできてないっ!! 助けられてばっか!」


 カンナは感極まってモップから手を離し、涙を拭き続けるが止まらない。


 「カンナ‥‥‥前から思っていたんだが」


 「っ、な、なにっ?」


 泣きじゃくるカンナをまっすぐ見つめ、口を開く。



 「なぜ最近、戦闘でその眼を頑なに使わない?」


            「っ!?」


 慰めではない。ターナはこんな状況でも、ただ疑問に思っていたことを聞くだけ。


 「この前の練習場襲撃の件と今回の競技場の件。治癒魔法を除いてコピーを使わなかったよな? そして前回はオリバー、今回はボクに助けられた」


 「っ‥‥‥!!」


 カンナの図星と言わんばかりの反応を見たターナは、苦笑して言葉を続ける。


 「他人の真似事は嫌か? 自分の存在を証明したいか? それとも自分自身の実力とやらで勝ちたいか?そんな子供じみた意識で、よく組織に入っているな」


 「っ!! このっ!!」


 カンナが鬼気迫る表情でターナの胸ぐらを掴み、店内の壁に押しつける。


 「ターナっ!! 本気で怒るよッ!!?」


 「ふっ、やっぱり子どもだな。図星か?」


 だが、ターナは挑発じみた笑みをやめない。カンナは眼を見開いて無意識に顔を近づけていた。



 「私の気持ちなんて、ターナにわかるわけないッ!!」


 「ふざけんなよッ!?」



 次の瞬間、服を掴み返した大声を出すターナに、カンナは一瞬仰け反る。


 「使わないくらいならボクにその眼を寄越せ!! その眼があればもっと役に立てるのにっ!!」


 「た、ターナ‥‥‥?」


 普段のターナからは考えられないような弱音。カンナは怒るのを忘れて困惑していた。


 だが、ターナの口は止まらない。


 「なんでその力を使わない!? 言ってみろッ!!」


 「そ、それは‥‥‥私の力じゃないから」


 そう呟いたカンナの胸ぐらを、ターナは思い切り掴み上げた。


 「(コピー)は他人の力!? ふざけんなっ!!持って生まれたお前の力だろうが!!!!」


 ターナはカンナを睨む。目に涙を溜めて。


 「選ばれた者にしかその眼は宿らないっ! そんな立派な道標があるのに、何を悩んでる!!? 持たない者は必死に探し、足掻いてるんだ!!」


 「ターナ‥‥‥」


 「何もないボクは手の届くところまでしか届かない。でもレスタやエリス、そしてお前はそうじゃない。僕の、他の人の手が届かないところまで届く!!」


 「っ!」


 「じゃあ、もっと必死に手を伸ばせッ!!

  何もできないボクの分まで、手を伸ばせよッ!!!」


 ターナは出し切る。これまでの憂いを。嫉妬を。憎悪を。涙を。


 ゴートゥーヘルによる魔闘祭襲撃の後、悩みを抱えた者は少なくなかった。



 「ターナっ‥‥‥ごめんッ、ごめんねッ‥‥‥!!」



 カンナは涙を流しながらターナを抱きしめる。ターナは、拒絶しなかった。


 「レスタくんのために、みんなのために、私のために全力でがんばるからっ!! 絶対のぜったいッ!!」


 2人の抱擁状態が、しばらくの間続く。店の外にまで聞こえていた泣き声は、重なっていたという。




 数分後。


 「ターナ。本当にごめんっ!!」


 カンナが勢いよく土下座していた。この状態はさすがのターナも少し居心地が悪そうだった。


 「なんでお前が謝る。いや、やっぱ謝れ。一生」


 「いっしょう!?」


 カンナが思わず声を出すと、どこからとなく声が響く。


 「あ〜あ、恥ずかしい。どっちも泣き崩れちゃって」


 「ミア、こわこわ」


 話しかけたのは控え室からミアとリゼッタだった。そしてターナはミアを指差しながら睨みつける。


 「よりにもよってこの女に見られた。カンナ、やっぱ謝れ。一生謝れ」


 「ごめんなさい〜!!」


 「フッ、いい気味、ざまぁ〜♪」


 「ミア、おに」


 リゼッタに指摘されたミアはめんどくさそうに背中を向けて歩き出す。


 「ま、せいぜいがんばれ〜?

  そこら辺の有象無象より少しは回る頭を使ってね」


 そう言ったミアは扉を開けて外へ出ていく。後ろ姿を見送ったターナは訝しげな表情を浮かべる。


 「‥‥‥あの女のフォローなんて寒気がするな」


 「えっ!? あれで慰めてくれてたの!?」


 「ミア、つんでれ」


 それから数分後。


 不機嫌そうな顔を見せたミアに対して、リゼッタはプルプル震えるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 それから少し時間が過ぎた後。


 周囲が暗くなるまで時間は残っていない。


 「お邪魔します」


 そんな中、1人の女性が扉を開けて店内へと入る。


 声を聞いた店員のカンナは少し申し訳なさそうに視線を合わせる。


 「あ、すみませ〜ん! もう営業が終わってて〜。って誰もいないのに、扉が開いたっ!? そして勝手に閉まった!? しかも声、聞こえたはずっ! こわっ!!」


 「ごめん、驚かせた」


 「うにゃぁ!?」


 そんな声と共に扉の前に姿を現した女性には白い翼が生えている金髪の女性。


 「『使徒』、シャルロット・リーゼロッテさん!?」


 「うん、しとって言うのは違うけど」


 店員メイドのカンナは驚きのあまり声を出すと、ターナたちが集まりだす。


 「ボクたちに何のようだ? 客じゃないよな?」


 「つばさ、はえてる」


 ターナとリゼッタがまじまじと視線を向けると、シャルロットは淡々と話し出す。


 「ここに金髪の女の子がいるって、あーちゃんに聞いた。合ってるよね?」


 「あーちゃんっ!?」


 カンナは思わず目を見開いて大声を上げる。ターナたちは声を出さなかったが、反応は似たようなものだった。


 「あーちゃんって誰でしょうかっ!? も、もっと詳しく説明ねがいまするよっ!?」


 カンナは慌てすぎて意味不明な口調で聞き返す。だがそれを疑問に感じないシャルロットはいつもの口調で話す。


 「えーと、レスタ? という少年に聞いた。レスタってあーちゃんの仮面あり状態? 彼から聞いた金髪少女の名前は、エリス・アルデナ」


 シャルロットの発言を聞いたターナたちは、疑う気持ちすら失せた。


 「‥‥‥あいつ、また妙なことを考えてるな」


 「れ、レスタくんから聞いてここに!

  じゃあ特別な事情がっ! こ、こちらに〜!」


 「おちゃ」


 「翼、すごー」


 ターナは構えを解き、カンナが椅子へ誘導し、リゼッタはお茶を汲み始める。ちなみにアクアは何もしない。


 そして、ターナがシャルロットに詳しい話を聞く。


 「その話って、いったいなんだ?」


 「あーちゃんの言うエリスを、私の弟子にしたい」


 「!? エリスを‥‥‥?」


 ターナは思わず呟く。予想外の展開だったのだ。


 「うん。あの子には間違いなく素質がある。それも何かを極めることができる天賦の才を。あの王子と戦ってるのを見て、興味が湧いた。それにあーちゃんに勧められたの。エリスという子を弟子にしてみてはって」



 「ーーー彼が私にそんなことを!?」



 すると偶然にも材料の調達を済ませて両手に袋を持ったエリスが扉を開けて姿を現す。


 彼女の眼の下にはクマができており、明らかに疲労が溜まっているように見える。


 それを改めて再認識したカンナは目を細め、胸に手を置いていた。


 するとターナはふっと息を吐いた。


 「エリス、ちょうどいいところに来た。『使徒』。後は本人に話してください。これ以上はボクが聞いてても無駄です」


 「わかった。でも私の名前はシャルロット」


 彼女の発言にターナは反応せずに椅子から立ち上がり、扉の前にいるエリスとすれ違う。


 「がんばれよ」


 そしてエリスの耳元でそう言うと、ターナは外に出ていった。


 「‥‥‥私をあなたの弟子にって、彼が言ったの?」


 エリスはシャルロットの隣の椅子に座り、話を伺う。


 「うん。『エリスは俺よりも素質があるから』って」


 その言葉を聞いたエリスの心に、熱が溢れ出す。


 追い詰められて、蝕まれていた心に僅かな光が差す。


 (アイ‥‥‥私は、許されない失態を犯した。絶対に倒さないといけない忌々しい敵に負けた。しかもそのせいであなたに迷惑をかけた)


 エリスは、思い出したくない光景を思い出す。


 (私なんかを助けるためにあなたが危険な目に遭ったと後で知って、恥の上塗りで死にたくなった。アイと私の、絶対的な差を感じさせられた)


 初めて挫折した、あまりにも苦い経験を。


 (それなのにあなたは、まだ私を信じてくれるの‥‥‥? あなたに全く届いていないこんな私を‥‥‥)


 エリスは、目頭が熱くなっていくのを感じた。心の中に残っている後悔と苦悩はそう簡単に消えない。


 だが今は燻っている前に出来ることがあると、そう背中を押された気がした。


 「どう? あとは君の意思次第」


 そう言ったシャルロットがエリスに手を伸ばす。


 (今の私が感じている悔しさをいち早く察知してシャルロットさんに話してくれた。間違いなく世界の頂点を知っている伝説の魔法使いに)


 エリスは笑う。


 (なんでも全てお見通しってわけね。本当に、あなたには敵わない。この人に一目置かれるあなたはやっぱりすごい。あなたは、まだはるかに遠い)


 自身の力不足を、自虐気味に微笑む。


 (今のままだと『天帝』であるあなたの隣を歩けない。でも、必ず追いついてみせるから‥‥‥!)


 そしてエリスは心の中で決意を固めた。まっすぐシャルロットを見つめる。


 「受けるわ。そしてまずあなたを超える。これからよろしくお願いします」


 「うん、これからが楽しみ。あーちゃんも、君も」


 エリスが真剣な表情でシャルロットの手を握る。握手の形。シャルロットはどこか嬉しそうだった。


 カンナは安心した様子で涙を流したが、すぐに満面の笑みを浮かべる。


 「がんばってね! 私、応援してるからっ! 任務は私たちに任せて! 大丈夫だから! 私も、これからはエリスに負けないからね〜!!」


 「リーも、がんばる。なかま」


 「‥‥‥ありがとう。私、強くなって戻ってくる」


 カンナがエリスに抱き着き、リゼッタが隣にちょこんと座る。エリスは涙混じりに感謝と決意を伝えた。


 その様子を、シャルロットは少し羨ましそうに遠い目をして眺めていた。


 「あーちゃんに聞いていた通りの子。これから先が、わからない。とっても楽しみ」


 シャルロットはそう呟いた瞬間。


 「!!!」


 なぜか突然、エリスの目の色が変わる。


 「他にもアイは何か言っていたの!? 私のことなんて言っていたの!? どうなのっ!?」


 「? アイ?」


 声を荒げて椅子から立ち上がるエリスに、シャルロットは?の顔を浮かべた。


 「あ〜、うん。元気になってよかったよぉ〜」


 「でた、これやば」


 察したカンナとリゼッタは遠い目をしていた。


 「んー、うるさい〜」


 そしてアクアは空気を読まずに文句を言ったのだった。


 こうして魔闘祭の一件の後、エルジュ内で新体制が始まろうとしていた。

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