‥‥‥クラスは
種目決めから1週間が経過。
『魔闘祭』が近づいてきた影響で、体を動かす授業が多くなっている。
「‥‥‥もう、むり(はあ、ハァ、フゥ、ゴホッ)」
「シロア先輩、あと2周!」
「‥‥‥うぇ〜(ハア、ゴホッ)」
そのため、恒例であるシロアとの体力強化トレーニングにも熱が入るアイト。
「‥‥‥つい、た(ガクッ)」
「シロア先輩!?」
走り切ったシロアが平原に昏倒するのだった。
翌日。アイトの日常は、なぜか忙しい。
1年Dクラスの教室に、訪問者がやってくる。しかも上級生。
「アイト! ついてきなさい!!」
「げっ、な、なんでここに?」
訪れたのは姉のマリア・ディスローグだった。
「グエッ」
アイトは即座に首根っこを掴まれ連行されていった。
「さ、始めるわよ」
着いた場所は学園の鍛錬場。マリアが貸し切りにしていて誰もいない。
「な、なにを?」
「今からアンタを鍛える」
「え?」
アイトが反応できない間に、マリアは刀を抜き取った。
「最近は謎の組織が王国内で暗躍してる。
アンタにも危険が及ぶかもしれない。
だからせめて自分の身は自分で守れるように」
マリアは夏休み直後に城に潜入した謎の集団 (アイトたち)の強さ、危険性を体感したことにより弟が危険な目に遭わないか心配なのだ。
弟がその集団をまとめている代表とも知らずに。
(え、嫌なんですけど)
アイトがこう感じるのは当然である。なにせ危険と噂されているのは自分なんだから。
「それにあんたはレスタ討伐隊に入るんだから、
もっと強くなってもらわないとね」
自分の身を守れと言いつつ、危険な討伐隊には参加させようとするマリア。矛盾しまくりな発言に、アイトは思わずため息をつき、言葉が漏れた。
「いや、別に必要ないと思うけど」
アイトは断ろうと試みる。
「本当は夏休みに行うつもりだったのよ‥‥‥」
「ーーーわかった」
だが夏休みの件を言われるとアイトは何も言い返せなかった。アイトは強制的に言わせられていた。
「あたしも忙しいから、教えるのは今日だけ。
あとは自分で練習しなさい」
「え、別にーーー」
「【紫電一閃】!!」
「ういやぁ!!?」
1日限りで、姉のマリアの指導を受ける。アーシャの修行を受けたアイトでも、学ぶことは多かった。
(あれ、めちゃくちゃ分かりやすいしタメになる)
アイトはーーー初めて自分の姉を尊敬していた。
そして指導の最中、マリアは刀を振りながらアイトに話しかける。
「そういえば、さっきシロアに首を傾げられたの。
前話したレスタ討伐隊の件で不思議そうにしてて」
「‥‥‥ヘェ〜」
「あんたからもシロアに言ってくれた?」
「もちロンー」
このやりとりの中、アイトは全く視線を合わせなかった。
それから5日後。
「それでは今から練習場に移動します。
森の近くなので迷わないように注意して
移動してください」
担任の誘導により、出場予定の生徒たちは移動を始める。
今日は各学年が1日練習を行う日。5、4、3、2と上の学年から順番に1日練習を行う。今日が1年生の1日練習の日だった。
アイトは『クラッシュ・ボール』に出場予定のため、王国から少し離れた山にある練習場に移動していた。
同じ競技に出場するポーラとクラリッサ、『エリア・ペネトレイト』に出場予定のギルバートも一緒に。
(まさか専用の練習場まで作ってるなんて)
1年生の全クラスが練習するため誰がどの種目に出るか予測ができそうな雰囲気があり、アイトは他クラスを見渡す。
すると、ふと1年Eクラスの学生が目に入る。
「えいっ!」
「メリナちゃん、ナイスパス〜!」
そこには可愛らしくボールを投げるメリナ(三つ編みメガネ)がいた。完全に演技をしている。
(なるほど‥‥‥メリナも『クラッシュ・ボール』か)
そこでアイトとメリナ、両者の目が合う。メリナが微笑んだ瞬間にアイトは目を逸らす。
メリナは組織の任務の時とは違い三つ編みメガネという、いかにもな格好をしているが、それでもしっかりと大人の雰囲気を感じる美人だった。
(どれが本当のメリナなんだ‥‥‥?)
アイトは今でも、メリナのことをあまり知らなかった。
(あ、ユリアも『クラッシュ・ボール』なんだ)
Aクラスのユリアを見つけて眺めていると、Aクラスの男子生徒がアイトに話しかけてくる。2人組だった。
「お前、なに練習見てんの? 偵察?」
「いやふと目に入っただけだよ」
「あ? ユリア様に卑しい目線を向けてただろ!?
お前、たしかDクラスのアイト・ディスローグか?」
「え、なんで知ってるの」
「そりゃあ女を侍らせてるイケすかねぇ奴は
目に入るだろ。ユリア様じゃ飽き足らずステラ様。
そしてあのシロア・クロート先輩も毒牙にかけて」
「はあ‥‥‥?」
(何この人。俺なんでこんなこと言われてんの?)
悪口に無頓着なアイトでもさすがに腹が立った。だがそれを表には出さない。
「そんなつもりないけど」
「ハッ、そうやって誤魔化すんだな。
まあいい、『魔闘祭』で目にもの見せてやるから。
Dクラスのくせに調子に乗るなよ」
「やめろ」
好き放題言っていた男子2人組を突然現れた1人の男が止める。
「! ジェイクっ」
「男の嫉妬ほどみっともないものはない。
しかも色恋なら余計にな。
Aクラスの格を落とすようなことをするな」
「うっ」
「クラスメイトがすまなかった。申し訳ない」
(なんだこのメガネかけた黒髪イケメン。
背は俺より少し高い。分別が良さそうだな)
相手の分析を行うアイトは、悟られないように口を開く。
「いや、別に気にしてないからいいよ。俺はーーー」
「アイト・ディスローグだろ?
ルーライト隊員で『迅雷』と呼ばれる
マリア・ディスローグさんの弟だからな」
「へっ?」
突然早口になるジェイクに、アイトは少し呆気に取られてしまう。
「後に『ルーライト』になる者同士、仲良くしよう。
出る種目では敵同士だが、お互い全力を尽くそう。
僕はジェイク・ヴァルダンだ。
それではな。アイト・ディスローグ」
「あ、ああ」
ジェイクの後にさっきの男子2人組がついていく。ジェイクには頭が上がらない様子である。
(礼儀正しくて真面目な印象は受けたが、
どうにも腹の底が読めなかった。
アイツ、かなりやるな。
対戦相手になったら気をつけないと)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんで一緒に練習しないんだ」
アイトと別れた後、ジェイクは『エリア・ペネトレイト』出場メンバーである少女に話しかけていた。
「余計なお世話よヴァルダンくん。
お前はただ自陣を守ってるだけでいいわ。
残り2人は何もしなくていい。邪魔なだけ」
少女は銀髪ショートの髪を靡かせ、ジェイクに微塵も視線を向けずに剣を振る。一方、ジェイクはため息をついていた。
「相変わらずだなーーーソードディアス」
家名を呼ばれた少女は、一瞬だけギロリと視線を向けた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ポーラ、大丈夫? ほら、水」
「はぁ、はぁ、はあぃ。ありがとうクラリッサ」
アイト、クラリッサ、ポーラは『クラッシュボール』の練習後、その場に座り込んでいた。
(ポーラはともかくクラリッサもかなり疲れてる)
アイトは他人事のように座り込んだ姿勢で2人の様子を眺めていた。自分も練習したはずなのにケロッとしている。
体力は相変わらずの化け物っぷり。アーシャの修行(地獄)を乗り越えて、ますます磨きがかかっている。
「お〜い!」
遠くから別種目の練習を終えたギルバートが大声を出す。
「他のクラス見てくるけど、誰か来るかー!?」
「あたし行ってくる」
クラリッサが立ち上がり、ギルバートの方へ走って行く。
「ごめんなさい、私、医務室行ってきます」
「それなら俺もーー」
「大丈夫です。1人で歩けますので
アイトくんは休んでいてください」
ポーラも離れた。気づけばアイト1人になっていた。
(‥‥‥せっかくだし、のんびりしよう)
アイトが木の下で座って周囲を眺めていると、女子4人のグループが目に入る。『エリア・ペネトレイト』の練習をしていた。
だが彼女たちは場所の確認をした後に走るだけで、どんな魔法を使うかなどはわからない。
(たぶん意図的に人目がある所で手の内を
晒さないようにしてるな。かなり本気だ)
最初はそんなことを考えていたが、途中からぼんやりしながら座っていた。
「‥‥‥あなた、『エリア・ペネトレイト』に出るの」
話しかけられたアイトは相手の顔を見る。長い黒髪で整った顔立ち。今まで見てきた女性の中で1番大人びていて、クールだと感じた。
「‥‥‥そうだけど」
「そう」
その女の子が少し離れた場所に腰を下ろす。
「‥‥‥クラスは」
「え?」
「クラスは」
「Dクラス」
「そう」
「君は?」
「‥‥‥Bクラス」
「そうなんだ」
「そう」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥」
「‥‥‥‥‥‥)
(会話が‥‥‥続かない!!)
アイトはものすごく気まずくなっていた。彼女は木にもたれて本に目を落としている。
(そりゃあ初対面だしな。
むしろお喋りなやつの方が珍しいか)
そう考えたアイトは頭の中にダブルピースをした銀髪ツインテ能天気少女が浮かび上がり、頭を左右に振る。
「どうしたの」
「いや、別に何でもない」
「そう」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
(な、なんとか間を持たせて‥‥‥あ!)
「そういえばさっきの練習中、
何も魔法使ってなかったよな」
「‥‥‥見てたの?」
「あ、たまたま目に入ったっていうか‥‥‥
やっぱり、本番まで知られたくない?」
「そう。私以外、すべて敵よ」
「私以外、って‥‥‥同じクラスの味方がいるじゃん」
「敵」
「え」
「敵よ」
「あ、そうなんだ」
「あなたも含めて、すべて敵」
「ま、それはその通りだけど。
いや同じクラスのチームメンバーでさえ
味方じゃないなら、味方は誰なんだ?」
「私の味方は、王子様だけ」
「はい?」
「っ、なんでもない」
黒髪少女が立ち上がる。
「邪魔するものは、全員蹴散らす。
あなたも本番、邪魔しないことね」
そう言った黒髪少女は歩いてどこかに行ってしまう。
(王子様って‥‥‥ルーク王子のこと?
へぇ〜王子のことが好きなんだなぁ)
アイトは最後に言われたことをあまり聞いていなかった。
「お、おいアイト! あの女と話してたのか!」
どこからか突然ギルバートがアイトの肩を掴みながら現れる。
「え、見てたのか」
「アイツ、有名人だぜ?
1年Bクラス、アヤメ・クジョウ」
「アヤメ・クジョウさん」
「衣類ブランド『クジョウ』の令嬢だ。
一匹狼で無愛想な態度だが、
あの容姿と地位だ。男たちの人気は凄まじいぜ。
1年の中では、ユリア王女に勝るとも劣らないと
言われてるほどの人気だ。
交際を申し込んだ男たちは今まで全員玉砕。
噂では王子の婚約者候補ではないかと言われてるぜ」
(‥‥‥あ、だから味方は王子様だけって言ったのか)
「実力についてはあまり聞かねえな。
だが『エリア・ペネトレイト』に出る以上、
もちろん油断はできねえ。
それにあの女は何考えてるかわからねえ。
アイト、お前も他の男みたいにならねえようにな」
「あ、うん」
全くそんな気はなかったアイトだが反論するとめんどくさいので一応頷いた。
「そういえばクラリッサと一緒に偵察してたんじゃ?」
「アイツは途中でポーラが心配になって探しに行った」
「それじゃあ俺、ポーラの様子見に行ってくる」
「オレも行くぜ」
アイトたちは施設の医務室を目指して歩き出した。
「っ‥‥‥!?」
だが突然謎の感覚に襲われる。何かが体が抜けていくような感覚。
(この感じ‥‥‥魔力が体外に出ている?)
アイトは即座に全身の魔力を体の中央に寄せ集める。そうすると魔力が勝手に体外に出ていかなくなった。
アーシャの修行を経て、魔力制御にさらに磨きがかかったアイトは、意図的に魔力を体の一部に集まることが可能になっていた。これはアイトだからこその芸当である。
「‥‥‥う」
突然ギルバートの体がフラつく。
「どうした?」
「いや、なんか急に力が抜けてよ‥‥‥」
(まさか今の現象に気づいてないのか?)
「ギルバート、実は」
「うっ‥‥‥」
アイトが原因を話そうとした瞬間、ギルバートは地面に膝を付く。
「大丈夫か!?」
アイトが周囲を見回すと、次々と生徒たちが倒れていく。ギルバートと同様に体外に出た魔力が多くなったからだ。
「はっはっはっ!! この程度で倒れていくか!
最近の学生は貧弱じゃな! 将来が不安じゃわい!」
上空からそのような声が聞こえ、アイトは上を向く。相手がそのまま真下に降りて地面に着地する。
アイトは周りの様子に合わせて身動きが取れないフリをして、その場に膝をついて様子を伺う。
見た目は頭がツルピカ、だが髭はゴージャスな老人だった。
(なんだあのハゲ。まさか、みんな動けないのか?)
「わっはっは!! こいつは大量大量!!
どいつもこいつも、魔力だけは一丁前に持ち寄って!」
老人が笑い出した後、右手を広げ謎の空間を作り出す。そこから現れたのは覆面を被った人間たち。
(覆面‥‥‥! 間違いない、『ゴートゥーヘル』だ)
敵の正体に気づき、アイトの表情は暗くなっていく。老人は気づくことなく、高笑いを始めた。
「ハッハッハ! ここはワシたちが占拠した!!
死にたくなければ、今から指定する場所に集まれい!
足は動かせるように加減したんじゃ、感謝せい!!」
練習場付近はーーーゴートゥーヘルに占拠された。
(‥‥‥今は要求を受け入れるしかない)
アイトは歯を噛み締める。アイト以外も同じように感じたのか、他の生徒たちも覆面の誘導に従い歩き出す。アイトもその流れに続く。
「ーーー代表、大丈夫?」
すると、アイトは小さな声で後ろから話しかけられる。アイトは一瞬驚くも、後ろを振り向かずに話を続ける。
「‥‥‥メリナか」
「うん。これは少しマズい状況だね。
おそらくこれは魔力吸収の結界。
結界内にいるだけでどんどん魔力が吸われてく」
「魔力吸収の結界‥‥‥か」
アイトが反芻している間にも、メリナは話を進めていく。
「私もけっこう魔力を吸われちゃった。
私は訓練しているからまだ平気だけど、
普通の学生なら魔力が無くなると身体に異変が出る。
魔力は生命エネルギーとほぼ同義だから。
だから魔力が完全に無くなった状態が続けば、
大半の生徒が危険に晒される」
(この状況が続けば、命の危機ってことか)
「みんなに連絡したいところなんだけど、
さすがに目立ちすぎて難しい。もちろん変装も。
このままだと、取り返しがつかなくなる」
みんなというのは『黄昏』のことである。エリスたちへ連絡を取ろうにも、周囲の覆面の目が厳しいのだ。
(メリナが焦るほどの窮地ってことか。
今のところ動けそうなのは、実質俺だけか)
アイトは目を瞑って、一呼吸置く。そしてメリナに言い放った。
「‥‥‥俺がなんとかする」
「え? 代表が?」
「俺は今、魔力を吸われていない」
「ほ、ホントにっ?」
メリナは信じられないと言った顔をするが、すぐに気を引き締めた。『代表なら、それくらい当然だ』と。
「だからメリナは俺が動き出した時に
すぐに行動できるように待機してくれ」
「‥‥‥任せて。さすが代表、頼りになる」
(‥‥‥その気持ちに応えないとな)
こうしてアイトは苦笑いを浮かべ、急いで作戦を練り始めるのだった。
老人が指定したのは山の中の崖付近の地帯。
2種目の練習に来ていた1年生の全員が集まってその場に座っていた。
「変な気を起こすなよ? 起こせばすぐに
ここの崖から突き落としてやるぞっ!!」
老人が大きな声で叫ぶと、周囲の生徒が息を呑む。中には恐怖で泣き始める生徒もいた。
「パナマ様、どうやらここには王女がいるようです」
「なにっ!? 朗報じゃ!!」
覆面に話しかけられた老人は驚き、嬉しそうな様子を見せる。
(あのハゲ、パナマっていうのか)
アイトはそう思いながら周囲にバレないよう、近くの崖に少しずつ移動する。そして後ろをチラッと見て崖の高さを確認した。
(たっか!? でもここから降りて、アイツらに
見られない場所に行けば『レスタ』になれる)
アイトは自分のことに必死で周囲の声が聞こえていなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おいそこの女!! 泣くなやかましいっ!!」
パナマは怒り狂って近くの少女の腕を掴む。
「きゃあっ!! 離してっ!!!」
周囲の生徒たちも息を呑み、穏便に済んでくれと思っていた時。
「ーーーハゲ」
1人の少女がわざと聞こえるようにそう言った。
「なっ!? 貴様が言ったのか!? この小娘が!!」
パナマは掴んでいた腕を離し、暴言を吐いた少女に近づく。
周囲の生徒は驚いていた。言ったのは1年の中での有名人。
アヤメ・クジョウだったからだ。
「やっぱり来ない。みっともない。頭と同じね」
「き、貴様っ!!」
パナマがアヤメの腕を掴んで崖付近まで引っ張る。
「離せっ!」
アヤメはパナマの腕を払ったと同時に指を鳴らす。
「グアっ!?」
すると、突然爆発が起こる。パナマは驚きの声を上げた。
「な、何をした!?
まだ魔力が残っていたとはな!!」
すると突然爆発が起こり、パナマに直撃。アヤメは目の前の崖から離れて距離を取る。
その光景にパナマの部下の覆面集団と周囲の生徒たちが驚く。
「ワシにそんな攻撃、効くわけなかろう!!」
パナマは右手をアヤメの前に出し、魔法を発動。
「【ウィンド】!!」
「きゃっ!」
パナマが使った魔法は風魔法【ウィンド】。それも魔力がかなり強め。アヤメの体が後方に飛ぶ。さっきいた場所とは別の方の崖まで吹き飛ばされた。
「いっ!? え、ちょっ!!」
アヤメは誰かに背中から激突する。アヤメとぶつかった相手が変な声を上げた。
「きゃああああああっ!!」
「おいあああぁぁぁっ!?」
2人は、崖から落ちてしまった。
「余計なことを‥‥‥」
そして1年生の中で、誰かがそう呟いた。